第114回 Googleが電子書籍の効果音の特許を出願

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先週の焦点はデフォルトが回避です。17日ぎりぎりまで不安でした。なぜなら特許業界も影響を受けるからです。リーマンショック直後は私も仕事が激減し、立ち直りつつある特許業界、特許翻訳業界がまた衝撃を受けないことを祈っていました。
ところで明るいニュースと言えるかどうかわからないのですが、赤ちゃんの遺伝子予測の特許がアメリカで認められたとのこと。9月24日に発行した23andMeという米国カリフォルニア州の会社の特許です。
配偶子を(ここではヒトの精子と卵子のこと)を受け取る側(レシピエント)の遺伝子型とドナー(提供者)の遺伝子型を受け取り、レシピエントとドナーのペアを組み合わせて、好ましいドナーを特定する、という特許です。USPTOサーチ画面で調べてみると、ありました。米国特許8,543,339号と思われます。
発明の名称は、Gamete donor selection based on genetic calculations(「遺伝子予測にもとづく配偶子ドナーの選択」)です。
しかし好ましい人間をつくるデザイナーベビーにつながるとして、生命倫理の観点から批判が出ているようです。今後もこの特許をどのように医療その他の分野に応用していくか、議論になるでしょう。

ところで、Googleがまたまたおもしろい特許を出願しました。これはまだ出願公開の段階です。8月15日に出願公開されました(公開番号2013/209981号)。
電子書籍の効果音に関する特許です。

Trigger point information is generated for an eBook to play sounds in an eBook. A request for trigger point information is received from a client. The eBook is analyzed to determine trigger point information for the eBook. The trigger point information includes location information identifying a location of a trigger point in the eBook. The trigger information also includes sound information indicating a sound to play at the trigger point. The determined trigger point information is transmitted to the client in response to the request for trigger point information. The client is configured to track a user’s reading location in the eBook and play the sound indicated by the sound information responsive to the user reading the eBook at the location of the trigger point.

電子書籍で音を再生するために、電子書籍のためにトリガーポイント情報が生成される。
トリガーポイント情報に対するリクエストは、クライアントから受信される。電子書籍は、電子書籍のためのトリガーポイント情報を決定するために分析される。トリガーポイント情報には、電子書籍でトリガーポイントの位置を特定する位置情報がある。トリガーポイント情報には更に、トリガーポイントで音を再生することを示す音情報がある。決定されたトリガーポイント情報は、トリガーポイント情報のリクエストに応答して、クライアントに送信される。クライアントは、電子書籍中でユーザが読んでいる位置を追跡し、トリガーポイントの位置で電子書籍を読んでいるユーザに応答して、音情報により表示される音を再生するように構成される。

Abstractを読んだだけでも、興味深い特許とわかりました。電子書籍を分析して、どこでどういう効果音が必要かを判断し、これをクライアントに送る。クライアントは、ユーザが今どこを読んでいるかを追跡し、トリガーポイントと呼ばれる効果音を鳴らすべき箇所をユーザが呼んでいるときは、効果音を再生する、というものです。

ところでトリガーポイント情報とは?
効果音を鳴らす場所の情報です。
ではクライアントとは?
クライアントは依頼人と訳しますが、この特許では人なのか? 端末なのか? 著者なのか?

検索していって、実施例でClientを説明している箇所を探しました。

FIG. 1 is a high-level block diagram illustrating an environment 100 for using triggered sounds in eBooks according to one embodiment. As shown, the environment 100 includes multiple clients 110 connected to a sound server 130 via a network 120. While only one sound server 130 and three clients 110 are shown in FIG. 1 for clarity, embodiments can have multiple servers and many clients. Moreover, the sound server 130 may be implemented as a cloud-based service distributed across multiple physical servers.

「図1は、一つの実施形態に係る電子書籍のトリガーされた音を利用する環境100を記述するハイレベル・ブロック図である。図示するように、環境100は、ネットワーク120を介して音声サーバ130に接続された複数のクライアント100を含む。明確化のために唯一の音声サーバ130と3つのクライアント110が図1に図示されており、一方で実施形態は複数のサーバと多くのクライアントを有していても良い。更に音声サーバ130は、複数の物理サーバにわたって配信されるクラウドベースのサービスとして実行されてもよい。」

The clients 110 are electronic devices used by one or more users to read eBooks. A client 110 can be, for example, a mobile phone, desktop, laptop, or tablet computer, or a dedicated eBook reader (“eReader”). The client 110 may execute one or more applications that support activities including reading eBooks and browsing and obtaining content available from servers on the network 120. For example, in one embodiment the client 110 is a computer running a web browser displaying eBook content from a remote website on the network 120. An eBook is a form of electronic content that is primarily textual in nature. The content of an eBook may be, for example, a novel, a textbook, or a reference book. As used herein, the term “eBook” also includes other electronic content that is primarily textual, such as magazines, journals, newspapers, or other publications.

「クライアント110は、電子書籍を読む1人以上のユーザにより使用される電子デバイスである。クライアント110は例えば、携帯電話、デスクトップ、ラップトップ、タブレットコンピュータ、専用電子書籍リーダ(eReader)であってもよい。クライアント110は、電子書籍を読み、ネットワーク120上でサーバから入手可能なコンテンツを閲覧し、取得することを含む活動をサポートする1つ以上のアプリケーションを実行することができる。電子書籍は、性質上主にテキストである電子コンテンツの形式である。例えば一つの実施形態では、クライアント110は、ネットワーク120上で遠隔ウエブサイトから電子書籍コンテンツを表示するウエブブラウザを起動するコンピュータである。電子書籍のコンテンツは例えば、小説、教科書、参考図書であってもよい。本明細書で使用される場合、「電子書籍」の用語には、雑誌、ジャーナル、新聞、他の刊行物等、主にテキストである他の電子コンテンツを含む。」

図面はGoogle Patentのこちらをご覧下さい。

US20130209981.pdf

ここまで読んできて分かりました。クライアントとは、電子書籍リーダのことです。たとえばAmazon Kindleです。電子書籍リーダが効果音を受信し、ユーザが読んでいる箇所に合わせて音を再生するというものです。
電子書籍への流れは止められないのですね。今後は電子書籍関連の特許も増えるでしょう。紙の本を読んでいても効果音など出してもらえないのですから、安くダウンロードできて効果音も付けてくれる電子書籍はますます利便性が高いと思います。

今週のポイント

  • 赤ちゃんの遺伝子予測の特許が9月24日に米国で発行した。23andMeという米国カリフォルニア州の会社の特許である。
  • これは配偶子を(ここではヒトの精子と卵子のこと)を受け取る側(レシピエント)の遺伝子型とドナー(提供者)の遺伝子型を受け取り、レシピエントとドナーのペアを組み合わせて、好ましいドナーを特定する、という特許である。
  • Googleが電子書籍の効果音に関する特許を出願した。電子書籍を分析して、どこでどういう効果音が必要かを判断し、これをクライアントに送る、クライアントは、ユーザが今どこを読んでいるかを追跡し、トリガーポイントと呼ばれる効果音を鳴らすべき箇所をユーザが呼んでいるときは、効果音を再生する技術である。

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