第96回 マイクロソフトとモトローラの訴訟の話題です

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MicrosoftとMotorolaの訴訟の話題です。Microsoftの「xBox」というゲーム機がMotorolaの特許を侵害しているとして2010年に提訴されました。ITC(国際貿易委員会)は5月23日にとうとう、Microsoftのこのゲーム機はMotorolaの特許を侵害していない、と判断しました。ITCの判事は当初は特許侵害であると認定しましたが、3月、4月と非侵害の仮認定がつづき、5月23日の非侵害の判断に至ったものです。これで「xBox」が米国で販売差止にされるおそれはなくなりました。
当初は5件の特許が対象となっていましたが、2件は期間が満了しており、さらに2件は訴訟から除外され、残る1件(米国特許6,069,896号)についての争いとなりました。
どのような技術でしょうか? ワイヤレスネットワークの技術です。
この特許のAbstractです。

A wireless, peer-to-peer, capability addressable network (22) is disclosed. The network (22) accommodates any number of peers (20). Network connections are formed based upon proximity between peers (20) and upon a needs and capabilities evaluation (82). Networks (22) support three classifications of service capabilities: service requesting, service providing, and service relaying. Wireless communications occur at a sufficiently low power to form a detection zone (28) of less than five meters for many peers (20).

奥田訳

「ワイヤレスのピアツーピアの性能アドレス可能なネットワーク(22)が開示されている。
ネットワーク(22)は、いかなる数のピア(20)も収納可能である。ネットワーク接続は、ピア(20)間の近接性、およびニーズと性能評価(82)にもとづいて形成される。ネットワーク(22)は、サービス能力の3つの分類に対応する。サービス要求、サービス提供、サービス中継である。無線通信は、多くのピア(20)について5メータ以下の検知領域(28)を形成するために、十分低い電力で生じる。」

FIG. 1

ピアツーピアネットワークとは、ご存知のように、同等であって、どちらが主、どちらが従ということのないネットワークです。

ニーズと性能評価(82)の意味がわかりません。これに関係する明細書の部分を抜き出してみます。

“If authorization is accepted, a task 82 evaluates peer needs with peer capabilities. In other words, task 82 causes the message-receiving peer to compare its available capabilities (if any) to any needs listed in a received unsolicited need/capability message 64 (see FIG. 7) and to compare its available needs (if any) to any capabilities listed in the message 64”.

奥田訳

「認証が受け付けられると、タスク82は、ピアのニーズとピアの性能を判断する。つまり、タスク82は、メッセージ受信ピアに対し、その利用可能な性能(存在する場合)と、未承諾ニーズ/性能メッセージ64(図7)にリストアップされたニーズと比較させ、さらにその利用可能なニーズ(存在する場合)と、メッセージ64にリストアップされた性能と比較させる。」

FIG. 7

さらにタスク82に出てくる文章です。

“After task 82, a query task 84 acts upon the result of the evaluation of task 82. If no internal capabilities match needs indicated in an unsolicited message 64, and if no internal needs match capabilities indicated in an unsolicited message 64, then neither peer 20 can be of service to the other. Program control loops back to task 60, and the receiving peer 20 need not reply or otherwise acknowledge the attempted setup connection”.

奥田訳

「タスク82の後、クエリータスク84は、タスク82の判定結果により動作する。いずれの内部性能も未承諾メッセージ64に表示されたニーズにマッチしないとき、そしてずれの内部性能も未承諾メッセージ64に表示された性能にマッチしないときは、いずれのピアも他のピアに対して有用ではあり得ない。」

ここまで読んで、無線データ通信に際して、ピアのニーズと性能を判断する技術であることは少しわかってきました。このようなデータ通信方法の技術をゲーム機が侵害しているか争われたのが、今回の事件です。
来週以降もこの特許をさらに読み込んでいきたいと思います。

今週のポイント

  • Microsoftの「xBox」というゲーム機がMotorolaの特許を侵害しているとして2010年に提訴された。ITC(国際貿易委員会)は5月23日にMicrosoftのこのゲーム機はMotorolaの特許を侵害していない、と判断した。
  • この事件でITCの判事は当初は特許侵害であると認定したが、3月、4月と非侵害の仮認定がつづき、5月23日の非侵害の判断に至った。
  • 当初は5件の特許が対象となっていたが、2件は期間が満了しており、さらに2件は訴訟から除外され、残る1件(米国特許6,069,896号)についての争いとなった。

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