第68回 サムスンによるAppleの販売差し止め却下(東京地裁)

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サムスンがAppleに対して製品の販売仮差し止めを請求していた事件で、東京地裁はサムスンの申請を認めず、Appleによる特許侵害はないと判断しました。
8月に同期化の技術についてサムスンによる特許侵害はないと東京地裁で判断されましたが、今度はAppleに軍配が上がりました。

今回仮差し止めが却下された対象となる特許は、「機内モード」です。
飛行機の機内で電源をOFFにしなくても通信機能が中断できるという技術、そしてアプリのダウンロードという技術です。
Appleの「iPhone 4」と「iPhone 4S」がこの特許を侵害しているかが争われました。
これらの機種がサムスンの特許を侵害していない上に、サムスンの特許の進歩性も否定されました。

英国ではサムスンに有利な判決が出ています。
Galaxy TabがiPadの特許を侵害していないことを求めた確認訴訟で、英国高等法院は、今年7月にサムスンによる特許侵害はないと判断し、これを新聞やウエブサイトで広告することを命じました。
これに対しAppleは控訴していましたが、この度、英国控訴院が控訴を棄却しました。
したがって、再び、サムスンに有利な判断がされたことになります。

ところでiPS細胞に関する手術の虚偽疑惑で話題になった元東大病院の森口尚史氏ですが、マサチューセッツ総合病院の医師と共同で米国でiPS細胞に関する特許を2011年7月に出願しましたが、これを取り下げていたことがわかりました。
そういえば森口氏も知的所有権が専門だそうです。

昨年改正された米国特許法は、そろそろ様々な規定が施行日に入っています。
もちろんすでに施行されている規定もあります。
日本弁理士会で米国特許法改正セミナーが相次いで開催され、先日出席してきました。
今回のセミナーは、特許発行後に特許を取り消す制度、つまり付与後異議申立、当事者系レビューです。
そして補充審査という制度もあり、これらはすべて、今年の9月16日から施行されています。
また、ビジネス手法特許の異議申立制度もあり、これも9月16日から施行されていますが、暫定的制度であるため、8年間しか存在しない制度です。

  • “more likely than not”(きっと認められる)
  • “reasonable likelihood”(合理的な蓋然性)

という2つの基準が規定されています。

当事者系レビューが“reasonable likelihood”であり、付与後異議申立が“more likely than not” です。

324条

(a)THRESHOLD.–The Director may not authorize a post-grant review to be instituted unless the Director determines that the information presented in the petition filed under section 321, if such information is not rebutted, would demonstrate that it is more likely than not that at least 1 of the claims challenged in the petition is unpatentable.

「特許庁長官は、321条により提出された請願書に提示された情報が、当該情報が反論されない場合に、請願書で異議を述べた少なくとも一つクレームが特許できない可能性がおそらく存在することを立証すると判断しない限り、付与後レビューが開始されると許可することはできない。」

というのが付与後異議申立の条文です。
つまり”more likely than not”「特許を取り消せる可能性がおそらく存在する」のでなければ、付与後異議申立を開始できないとされています。

当事者系レビューの“reasonable likelihood”と、付与後異議申立の”more likely than not”ではどちらが高いのでしょうか?
つまり、どちらの方がそうであると認められやすいのでしょうか?
答えは、”more likely than not”です。
つまり付与後異議申立の方が、特許を取り消せる高い可能性がないと手続を開始してもらえないということです。

今週のポイント

  • サムスンがAppleに対して製品の販売仮差し止めを請求していた事件で、東京地裁はサムスンの申請を認めず、Appleによる特許侵害はないと判断した。8月に同期化の技術についてサムスンによる特許侵害はないと東京地裁で判断されたが、今度はAppleに軍配が上がった。
    対象となる特許は、飛行機の機内で電源をOFFにしなくても通信機能が中断できるという「機内モード」の技術、そしてアプリのダウンロードという技術である。Appleの「iPhone 4」と「iPhone 4S」がこの特許を侵害しているかが争われた。これらの機種がサムスンの特許を侵害していない上に、サムスンの特許の進歩性も否定された。
  • iPS細胞に関する手術の虚偽疑惑にある森口尚史氏は、マサチューセッツ総合病院の医師と共同で米国でiPS細胞に関する特許を2011年7月に出願したが、これを取り下げていたことがわかった。
  • 昨年9月に改正された米国特許法のうち、特許発行後に特許を取り消す制度として、付与後異議申立、当事者系レビューがある。これらは今年の9月16日から施行されている。特許を取り消せる可能性として、当事者系レビューには“reasonable likelihood”、付与後異議申立には“more likely than not”が必要である。”more likely than not”の方がハードルが高く、付与後異議申立の方が、特許を取り消せる高い可能性がないと手続を開始してもらえない。

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