第37回 特許表示

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今回の特許法改正により、特許表示の方法が追加されました。これまで、”patent”, “pat.”等の文字を製品に付することが認められていましたが、これに加え、インターネット上のアドレスを”patent”, “pat.”の文字と共に製品に付することも特許表示として認められるようになりました。特許表示の規定である287条が改正されました。

新287条

Patentees, and persons making, offering for sale, or selling within the United States any patented article for or under them, or importing any patented article into the United States, may give notice to the public that the same is patented, either by fixing thereon the word “patent” or the abbreviation “pat.”, together with the number of the patent, or by fixing thereon the word ‘patent’ or the abbreviation ‘pat.’ together with an address of a posting on the Internet, accessible to the public without charge for accessing the address, that associates the patented article with the number of the patent, or when, from the character of the article, this cannot be done, by fixing to it, or to the package wherein one or more of them is contained, a label containing a like notice. In the event of failure so to mark, no damages shall be recovered by the patentee in any action for infringement, except on proof that the infringer was notified of the infringement and continued to infringe thereafter, in which event damages may be recovered only for infringement occurring after such notice. Filing of an action for infringement shall constitute such notice”

特許権者、および米国内で特許された製品を製造し、販売の提供をし、販売する者は、特許番号と共に”patent”(特許)あるいは省略された”pat.”(特許)を製品に表示すること、あるいは、‘patent'(特許)または省略された‘pat.'(特許)の文字を、特許された製品を特許番号に関連させ、アクセスに費用が発生せずに公衆がアクセスできるインターネット上の掲載アドレスと共に製品に表示すること(製品の性質上、表示が不可能な場合は、製品またはパッケージに表示すること)により、その製品が特許されていることを公衆に知らしめる(同様の告知を含む1つ以上のラベルが含まれる。
このような表示をしない場合は、侵害訴訟において特許権者はいかなる損害賠償請求もすることができない。ただし、侵害する者が侵害を警告されたが、その後も侵害を継続した場合は、その警告後に生じた侵害についてのみ損害賠償請求ができる。侵害訴訟の提起はかかる警告を構成する。

この改正の背景には、虚偽表示に対して、虚偽表示であることを理由に特許権者に対し訴訟を提起するマーキングトロール(marking troll)といわれる者の出現があり、これを抑えようというマーキングトロール対策がありました。
虚偽表示に対する訴訟はQui Tm Action(クイタム訴訟)といい、罰金は国と私人が折半することになっています。これを防止するために、改正法Sec. 16(2)により、米国のみが訴訟を提起できることが規定されました。
またこの新規定は、改正法の施行日である2011年9月16日から発効しており、この日に係属中、あるいはこの日以降に開始した事件にも新規定が適用されます。これに例外はありません(Sec.(c))。

Virtual Marking(仮想表示)

今回の改正で導入された、インターネット上のアドレスと共に”patent”、”pat.”の文字を付する特許表示を”virtual marking”といいます。インターネットは一般公衆がアクセス可能であり、アクセスに料金がかからない、という点が規定されています。これも当然のことです。また改正以前からの規定にもありますが、製品の性質上、特許表示を付することが不可能である場合(食品で文字を表示できないものなど)は、パッケージに表示すればよいことも規定されています。
“patent”、”pat.”の文字を製品に付する従来からの表示を、仮想表示に対して、”physical marking”(物理表示)ということが規定されています。
仮想表示は新しい制度であるため、その効果について検討し、本法の制定日から3年以内に特許庁長官は議会に報告することになっています。

  1. 「仮想表示の有効性の検討」(“physical marking”「物理表示」に代わるものとして)と規定されていることから、従来の表示を「物理表示」ということがわかります)。
  2. 仮想表示は、特許に関する情報にアクセススする公衆の能力を改善するか、制限するものであるかの検討。
  3. 仮想表示から何らかの法律問題が生じる場合の検討。
  4. 仮想表示の欠点がある場合の検討。

損害賠償の請求

特許表示をしていない場合は、損害賠償を請求することができません。ただし、侵害の警告を受けたにもかかわらず侵害行為を継続した場合は、特許表示をしていなくても損害賠償を請求することができます。侵害訴訟の提起は警告にあたります。

虚偽表示(false marking)

今回の改正で虚偽表示の訴訟は米国のみが提起できることとなりましたが、虚偽表示とはどのような行為をいうのでしょうか?
292条に規定されています。

  1. 特許権者の同意を得ないで、米国内で製造、使用、販売のための提供、販売した物に関して、特許権者の氏名やその模倣、特許番号、”patent”(特許)、 “patentee”(特許権者)などの文字を付し、その意図としては、特許権者の表示を偽造し、または模倣する意図、特許権者の同意により、製造、販売のための提供、販売、米国に輸入したと公衆に信じさせる意図があった場合等です。
    あるいは特許されていない製品に”patent”(特許)等の文言や番号を付する行為です。また特許出願されていない製品に”patent applied for”(特許出願中)、”patent pending”(特許出願係属中)等の文字を付する行為です。

今週のポイント

  • 今回の特許法改正により、インターネット上のアドレスを”patent”, “pat.”の文字と共に製品に付することも特許表示として認められるようになった。これまで特許表示としては、”patent”, “pat.”等の文字を製品に付することが認められていた。
  • この改正の背景には、虚偽表示に対して、虚偽表示であることを理由に特許権者に対し訴訟を提起するマーキングトロール(marking troll)といわれる者の出現があった。
  • 虚偽表示に対する訴訟はQui Tm Action(クイタム訴訟)といい、罰金は国と私人が折半することになっていた。このため、今回の改正で虚偽表示に対しては米国のみが訴訟を提起できることになった。
  • この新規定は、改正法の施行日である2011年9月16日から発効しており、この日に係属中、あるいはこの日以降に開始した事件にも新規定が適用される。
  • 製品の性質上、特許表示を付することが不可能である場合(食品で文字を表示できないものなど)は、パッケージに表示すればよいことは改正以前から規定されている。
  • 仮想表示は新しい制度であるため、その効果について検討し、本法の制定日から3年以内に特許庁長官は議会に報告することになっている。
  • 特許表示をしていない場合は、損害賠償を請求することができない。ただし、侵害の警告を受けたにもかかわらず侵害行為を継続した場合は、特許表示をしていなくても損害賠償を請求することができる。
  • 虚偽表示(false marking)には、特許権者の表示を偽造する意図で、特許権者の同意を得ないで、米国内で製造、使用、販売のための提供、販売した物に関して、特許権者の氏名やその模倣、特許番号、”patent”(特許)、 “patentee”(特許権者)などの文字を付する行為等がある。

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