第29回 特許査定と特許の発行

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審査が終了すると特許査定がなされます。特許査定に対し料金を納付すると特許が発行され、出願から20年の存続期間が開始します。特許査定および特許の発行については米国特許法151条に定められています。

151条

If it appears that applicant is entitled to a patent under the law, a written notice of allowance of the application shall be given or mailed to the applicant. The notice shall specify a sum, constituting the issue fee or a portion thereof, which shall be paid within three months thereafter.

出願が法律により特許を受ける適格を有するときは、書面による出願の許可の通知が出願人に交付され、あるいは郵送される。当該通知には、発行料の合計額またはその一部が特定されており、その後、3ヶ月以内に支払うものとする。

解説

いわゆる特許査定(notice of allowance)です。審査の結果、特許してもよいという判断がされたときはこの通知がされます。オフィスアクションに応答して拒絶理由が覆ったときも特許査定がされます。特許発行料は前回記載したように、改正後の新料金で 1,740US$です。

Upon payment of this sum the patent shall issue, but if payment is not timely made, the application shall be regarded as abandoned.

この合計額の支払いにより特許は発行するが、支払が適切な時期までにされなかったときは、出願は放棄したものとみなされる。

解説

わが国でも同様ですが、折角特許査定が下っても、料金を支払わなければ特許にはなりません。

Any remaining balance of the issue fee shall be paid within three months from the sending of a notice thereof, and, if not paid, the patent shall lapse at the termination of this three-month period. In calculating the amount of a remaining balance, charges for a page or less may be disregarded.

発行料の残額はその通知の送付から3ヶ月以内に支払われるものとし、これが支払われなかった場合には、この3ヶ月の期間の終了時に特許は消滅する。残額を算定する際には、1頁以下についての料金は無視される。

解説

発行料を全額支払っていない場合にはこれを通知し、その通知から3ヶ月以内に支払われない場合には、3ヶ月経過時に特許は消滅します。

If any payment required by this section is not timely made, but is submitted with the fee for delayed payment and the delay in payment is shown to have been unavoidable, it may be accepted by the Director as though no abandonment or lapse had ever occurred.
本条により要求されるいずれの支払も適切な時期までにされなかったが、延納料金と共になされ、延納がやむを得なかったことを立証した場合には、長官は放棄または消滅が生じなかったものとして受理することができる。

解説

やむを得ない理由”unavoidable reason”(天災地変など)を示して延納料金とともに者来を行った場合には放棄等がされなかったものと扱われる場合があります。”may be accepted”ですから「受理される場合がある」ということです。

152条

Patents may be granted to the assignee of the inventor of record in the Patent and Trademark Office, upon the application made and the specification sworn to by the inventor, except as otherwise provided in this title.

特許は、発明者が行った出願および発明者が宣誓した明細書に基づき、特許商標庁の記録にある発明者の譲受人に付与することができる。

解説

特許は発明者に付与されますが、その譲受人に付与されることもあります。たとえば発明者が会社に発明を譲渡したような場合です。そして今回の米国特許法改正により、これまでの発明者が出願できるという原則に加え、譲受人が出願できるようになりました。

153条

Patents shall be issued in the name of the United States of America, under the seal of the Patent and Trademark Office, and shall be signed by the Director or have his signature placed thereon and shall be recorded in the Patent and Trademark Office.

特許が米国特許庁の印章の下にUSPTOの名で発行され、特許庁長官が署名し、あるいは署名を特許証に添付してもらい、米国特許商標庁に記録する。

解説

米国の特許証にはUSPTOの印章が押してあり、特許庁長官の署名がされています。
そして特許が発行されると出願日から20年の存続期間が開始します。ただし、存続期間が開始するのはあくまでも特許の発行日です。それまでは特許は存在しないからです。そして、出願から20年で終了します。したがって「出願から20年」というのは、存続期間の終期を定めているのです。
優先権主張を伴う出願は。米国出願日(第2国出願日)から起算され、優先期間は存続期間にはカウントされません。この根拠条文は、154条(2)です。

154条

(2)TERM –
Subject to the payment of fees under this title, such grant shall be for a term beginning on the date on which the patent issues and ending 20 years from the date on which the application for the patent was filed in the United States or, if the application contains a specific reference to an earlier filed application or applications under section 120, 121, or 365(c)of this title, from the date on which the earliest such application was filed.

(2)期間
本法の料金の支払いを行うことを条件として、かかる特許査定は特許が発行される日から起算し、特許が米国で出願された日から20年で終了する。あるいは出願が120条、121条365条(c)により先にされた1又は複数の出願に対する特定の言及を含んでいる場合は、最も先の出願がされた日から20年で終了する。

解説

120条、121条、365条(c)という条文が出てきました。これは米国特許法ではよくセットで出てくる条文です。120条は先の出願が放棄された場合に、その同一発明者で同一発明についての後の出願が先の出願時にしたものとみなされる、という条文です。121条は分割出願が先の出願の利益を受けられるという条文です。365条(c)は、米国を指定する国際出願は120条の利益を受けられる、という規定です。米国を指定する国際出願は通常の米国出願とみなされるからです。
そしてこのような先の出願の利益を受けられる後の出願は、先の出願から存続期間の終期がカウントされることが定められています。

(3)PRIORITY-
Priority under section 119, 365(a), or 365(b)of this title shall not be taken into account in determining the term of a patent.

(3)優先権
119条、365条(a)、365条(b)による優先権は、特許の存続期間を判断する際に考慮されないものとする。

解説

119条はパリ条約優先権主張を規定したものです。同一対象について1年以内に優先権主張をして出願すると、先の出願時で特許要件が判断される、という優先権の効果を定めた条文です。365条(a)は米国国内出願が優先権を享受できるという条文、365条(b)は米国を指定した国際出願であっても優先権を享受できるという条文です。
優先権は存続期間を判断する際には考慮されない、つまり、優先期間は存続期間にカウントされないということです。

今週のポイント

  • 審査の結果、特許してもよいという判断がされたときはこの通知がされる。特許査定は151条に規定されている。
  • 特許査定には、発行料の合計額またはその一部が特定されており、その後、3ヶ月以内に支払う。
  • この合計額の支払いにより特許は発行するが、支払が適切な時期までにされなかったときは、出願は放棄したものとみなされる。
  • やむを得ない理由”unavoidable reason”(天災地変など)を示して延納料金とともに支払いを行った場合には放棄等がされなかったものと扱われる場合がある。
  • 特許は米国特許庁の印章の下にUSPTOの名で発行され、特許庁長官が署名し、あるいは署名を特許証に添付させ、米国特許商標庁に記録する。
  • 優先権は存続期間を判断する際には考慮されない、つまり、優先期間は存続期間にカウントされない

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