第26回 ダブルパテント

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ダブルパテントは重複特許を意味し、同一の者の同一の複数の特許を重複して登録すると存続期間を延長することとなるため防止すべきであるため、ダブルパテントという理由で拒絶されます。ダブルパテントには、1.法定型ダブルパテント(statutory double patenting)、2.非法定型ダブルパテント(non-statutory double patenting)があります。

法定型ダブルパテントと非法定型ダブルパテント

  1. 法定型ダブルパテントは、複数の同一発明が重複している場合です。たとえば同じ者のaという発明が複数存在するために、これをすべて特許することを回避し、抵触するクレームを補正、取り消すことで対処しています。
    法定型ダブルパテントは101条を根拠に認められず、「法定型」といわれます。101条とは「新規かつ有用な方法、機械、製品、組成物、あるいはこれらの新規かつ有用な改良を発明または発見したいかなる者も、本法の条件および要件を充たす限り、その特許を取得することができる。」と規定されています。この条文を根拠に、一つの発明について一つの特許しか得られないことを読み取っています。
  2. 非法定型ダブルパテントは、同一ではなく一方の発明から他方が自明である場合の複数の発明です。たとえば、”A”と”A+B”という複数の発明で、Aからみて”A+B”が自明である場合です。これは法律に規定されているのではなく、このような複数の発明を特許すべきでない、という公的観点に基づいています。
    非法定型ダブルパテントは、ターミナルディスクレーマによって対処することができます。これは存続期間の一部を放棄してその終期を一致させる制度です。
    ディスクレーマは253条に規定されており、「特許所有者あるいは出願人は、特許査定され、または特許査定される特許の存続期間の全てまたは一部をディスクレームし、または一般に開放することができる」とあります。

MPEP804.02

ダブルパテントについては、MPEP804.02に規定されています。

STATUTORY(法定)

A rejection based on the statutory type of double patenting can be avoided by amending the conflicting claims so that they are not coextensive in scope.

抵触するクレームが範囲において併存しないように、抵触するクレームを補正することにより、法定型ダブルパテントによる拒絶を回避することができる。

Where the conflicting claims are in one or more pending applications and a patent, a rejection based on statutory type double patenting can also be avoided by canceling the conflicting claims in all the pending applications.

抵触するクレームが1以上の係属する出願および特許に存在する場合は、法定型ダブルパテントにもとづく拒絶は、すべての係属中の出願の係属中のクレームを取り消すことにより回避することもできる。

Where the conflicting claims are in two or more pending applications, a provisional rejection based on statutory type double patenting can also be avoided by canceling the conflicting claims in all but one of the pending applications.

抵触するクレームが2以上の係属中の出願に存在する場合は、法定型ダブルパテントによる暫定的拒絶は、抵触する出願のうち一つだけを除いて全ての出願の抵触するクレームを取り消すことによっても回避できる。

A terminal disclaimer is not effective in overcoming a statutory double patenting rejection.

ターミナルディスクレーマ-は、 法定型ダブルパテントによる拒絶を覆すのには有効ではない。

The use of a 37 CFR 1.131 affidavit in overcoming a statutory double patenting rejection is inappropriate.

法定型ダブルパテントによる拒絶を覆す際に、37CFR1.131の利用は適切でない。

NONSTATUTORY(非法定)

A rejection based on a nonstatutory type of double patenting can be avoided by filing a terminal disclaimer in the application or proceeding in which the rejection is made.

非法定型ダブルパテントによる拒絶は、拒絶された出願または手続において、ターミナルディスクレーマを提出することにより回避できる。

In re Vogel, 422 F.2d 438, 164 USPQ 619(CCPA 1970); In re Knohl, 386 F.2d 476, 155 USPQ 586(CCPA 1967); and In re Griswold, 365 F.2d 834, 150 USPQ 804(CCPA 1966). The use of a terminal disclaimer in overcoming a nonstatutory double patenting rejection is in the public interest because it encourages the disclosure of additional developments, the earlier filing of applications, and the earlier expiration of patents whereby the inventions covered become freely available to the public.

非法定型ダブルパテントによる拒絶を覆す際のターミナルディスクレーマの利用は、公衆の利益に適っている。なぜなら、これは追加された開発の開示、早期出願、特許期間の早期満了を促し、これにより保護される発明を公衆が自由に利用できるからである。

In re Jentoft, 392 F.2d 633, 157 USPQ 363(CCPA 1968); In re Eckel, 393 F.2d 848, 157 USPQ 415(CCPA 1968); and In re Braithwaite, 379 F.2d 594, 154 USPQ 29(CCPA 1967).
The use of a 37 CFR 1.131 affidavit in overcoming a double patenting rejection is inappropriate because the claim or claims in the application are being rejected over a patent which claims the rejected invention.
ダブルパテントによる拒絶を覆す際の37CFR1.131の利用は不適切である。なぜなら、出願における1または複数のクレームは、拒絶された発明を特許請求する特許にもとづき拒絶されているからである。

*37CFR1.131は、クレームが拒絶された場合に、拒絶されたクレームにつき宣誓書(affidavit)や宣誓(oath)を提出するという制度です。

In re Dunn, 349 F.2d 433, 146 USPQ 479(CCPA 1965). 37 CFR 1.131 is inapplicable if the claims of the application and the patent are “directed to substantially the same invention.”

37CFR1.131は、出願および特許のクレームが「実質的に同一の発明を対象とする」場合には適用できない。

It is also inapplicable if there is a lack of “patentable distinctness” between the claimed subject matter. Knell v. Muller, 174 USPQ 460(Comm’r. Pat. 1971), citing the court decisions in In re Ward, 236 F.2d 428, 111 USPQ 101(CCPA 1956); In re Teague, 254 F.2d 145, 117 USPQ 284(CCPA 1958); and In re Hidy, 303 F.2d 954, 133 USPQ 65(CCPA 1962).

特許請求された主題の間に「特許可能な区別」がない場合も、これは適切でない。

A patentee or applicant may disclaim or dedicate to the public the entire term, or any terminal part of the term of a patent. 35 U.S.C. 253.

特許権者または特許の期間の全部または一部をディスクレームし、あるいは公衆に放棄することができる。253条。

The statute does not provide for a terminal disclaimer of only a specified claim or claims. The terminal disclaimer must operate with respect to all claims in the patent.

法律は、特定の1または複数のクレームのターミナルディスクレーマを規定していない。
ターミナルディスクレーマは、特許のすべてのクレームに関し機能する必要がある。

The filing of a terminal disclaimer to obviate a rejection based on nonstatutory double patenting is not an admission of the propriety of the rejection. Quad Envi¬ronmental Technologies Corp. v. Union Sanitary District, 946 F.2d 870, 20 USPQ2d 1392(Fed. Cir. 1991).

非法定型ダブルパテントによる拒絶を防ぐためのターミナルディスクレーマの提出は、拒絶の妥当性を認めるものではない。

The court indicated that the “filing of a terminal disclaimer simply serves the statutory function of removing the rejection of double patenting, and raises neither a presumption nor estoppel on the merits of the rejection.”

ターミナルディスクレーマの提出は、ダブルパテントによる拒絶を取り除く作用を有し、拒絶の実体の推定もエストッペルも与えるものではない。

*エストッペル(禁反言)とは自分の行動と矛盾した行動をとることはできないという原則です。存続期間の一部を放棄することは矛盾した行動ではないという意味です。

A terminal disclaimer filed to obviate a double patenting rejection is effective only with respect to the application identified in the disclaimer, unless by its terms it extends to continuing applications.

ダブルパテントによる拒絶を未然に防ぐために提出されたターミナルディスクレーマは、継続出願にまで及ばない限り、ディスクレーマで特定された出願に関してのみ有効である。

If an appropriate >”provisional” nonstatutory< double patenting rejection ** is made in each of two or more pending applications, **>the examiner should follow the practice set forth in MPEP § 804, subsection I.B.1. in determining in which of the applications an appropriate terminal disclaimer must be filed.<

該当する場合は、「暫定的」な非法定のダブルパテントによる拒絶は、2以上の係属中の出願の各々においてなされ、審査官は、どの出願につき該当するターミナルディスクレーマが提出される必要があるかを判断する際に、MPEP804 I.B.1で規定された実務に従う必要がある。

今週のポイント

  • ダブルパテントは重複特許を意味し、同一の者の同一の複数の特許を重複して登録すると、存続期間を延長することとなるため防止すべきであるため、ダブルパテントという理由で拒絶される。
  • ダブルパテントには、①法定型ダブルパテント(statutory double patenting)、②非法定型ダブルパテント(non-statutory double patenting)がある。
  • 法定型ダブルパテントは、複数の同一発明が重複している場合であり、抵触するクレームを補正、取り消すことで対処している。
  • 法定型ダブルパテントは101条を根拠に認められない。
  • 非法定型ダブルパテントは、ターミナルディスクレーマにより対処している。つまり存続期間の一部または全部を放棄し、終期を一致させている。

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