第22回 アドバイザリー・アクション(advisory action)

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今回からは、米国における特許出願の審査手続についてお話しします。米国では出願審査請求をすることなく審査官による審査が開始されます。その結果、最初のオフィスアクション(first office action)、最後のオフィスアクション(final office action)がなされます。これに対し、出願人は意見書(remarks)、補正書(amendment)などを提出して対処します。
最後のオフィスアクションに対する意見書、補正書によっても拒絶が覆らない場合は、アドバイザリー・アクション(advisory action)がされます。これは審査官による意見通知といわれ、日本でいう「拒絶査定」に対応するものです。つまり「拒絶は覆りません」という審査官による意見の通知です。
これに対し出願人は、再審査請求(RCE:request for continued examination)、審判請求(appeal)などの対処方法があります。
アドバイザリー・アクションに何ら対応しないと、出願は放棄されたものとみなされます。対応の期間について以下のような規定があります。

MPEP714.13

“If an applicant initially replies within 2 months from the date of mailing of any final rejection setting a 3-month shortened statutory period for reply and the Office does not mail an advisory action until after the end of the 3-month shortened statutory period, the period for reply for purposes of determining the amount of any extension fee will be the date on which the Office mails the advisory action advising applicant of the status of the application, but in no event can the period extend beyond 6 months from the date of the final rejection. This procedure applies only to a first reply to a final rejection. The following language must be included by the examiner in each final rejection:”

出願人が当初、応答の3ヶ月の法定期間を設定した最終拒絶の発送日から2ヶ月以内に応答し、特許庁が3ヶ月の短縮された法定期間の最終日までアドバイザリー・アクションを発しない場合は、延長料を決定するための応答期間は、特許庁が出願の状況を出願人に知らせる意見通知を発する日となるが、いかなる場合にも最終拒絶の日から6ヶ月以上延長できない。

解説

「短縮された応答期間(shortened statutory period)」とは理解し難い用語ですが、通常のオフィスアクションに対する応答期間のことです。
ここでは、出願人が最終のオフィスアクションから2ヶ月以内に応答しているのに、それをみて判断した結果であるアドバイザリー・アクションが最終オフィスアクションから3ヶ月以内にされなかった場合は、応答期間の延長は、そのアドバイザリー・アクションの日から起算されると規定しています。
アドバイザリー・アクションに対する応答期間が最終オフィスアクションから3ヶ月というのが、出願人としては大変なところです。つまり、アドバイザリー・アクションが3ヶ月直前に来た場合は、すぐに審判請求する必要があります。もちろん期間の延長はできるので、出願人が2ヶ月以内に応答し、アドバイザリー・アクションが3ヶ月満了後に来た場合は、延長期間はアドバイザリー・アクションの日から起算するというのがこの規定です。
しかしいずれにしても最終拒絶から6ヶ月を超えることはできません。

審査官からは以下のような通知がされます。

“A shortened statutory period for reply to this final action is set to expire three months from the date of this action. in the event a first reply is filed within two months of the mailing date of this final action and the advisory action is not mailed until after the end of the three-month shortened statutory period, then the shortened statutory period will expire on the date the advisory action is mailed, and any extension fee pursuant to 37 CFR 1.136(a)will be calculated from the mailing date of the advisory action. in no event will the statutory period for reply expire later than six months from the date of this final action”.

本最終アクションに対する応答についての短縮法定期間は、本アクションの発送日から3ヶ月で満了するように設定されている。最初の応答が本最終アクションの発送日から2ヶ月以内に提出され、審査官の意見通知は3ヶ月の短縮法定期間の最終日まで発送されない場合は、短縮法定期間は、審査官の意見通知は発送される日に満了し、37CFR1.136(a)による延長料は、審査官の意見通知の発送日から算定される。しかし、応答のための法定期間は、本最終アクションの発送日から6ヶ月より遅く満了することはない。

MPEP714.13

“For example, if applicant initially replies within 2 months from the date of mailing of a final rejection and the examiner mails an advisory action before the end of 3 months from the date of mailing of the final rejection, the shortened statutory period will expire at the end of 3 months from the date of mailing of the final rejection. In such a case, any extension fee would then be calculated from the end of the 3-month period”.

例えば、出願人が当初、最終の拒絶の郵送日から2ヶ月以内に応答し、審査官が最終拒絶の郵送日から3ヶ月の末日より前にアドバイザリー・アクションを通知する場合は、短縮法定期間は、最終拒絶の郵送日から3ヶ月の末日に満了する。かかる場合、いかなる延長も3ヶ月の期間の末日から起算する。

解説

出願人が2ヶ月以内に応答し、アドバイザリー・アクションが3ヶ月以内に来た場合は、応答期間は3ヶ月満了の日までということになります。

“If the examiner, however, does not mail an advisory action until after the end of 3 months, the shortened statutory period will expire on the date the examiner mails the advisory action and any extension fee may be calculated from that date. In the event that a first reply is not filed within 2 months of the mailing date of the final rejection, any extension fee pursuant to 37 CFR 1.136(a)will be calculated from the end of the reply period set in the final rejection”.

しかし審査官が3ヶ月の末日以降までにアドバイザリー・アクションを郵送しない場合は、短縮法定期間は、審査官がアドバイザリー・アクションを郵送した日に満了し、延長料は当該日付から起算することができる。最初の応答が最終拒絶の郵送日から2ヶ月以内に提出されなかった場合は、37CFR 1.136(a)によるいかなる延長料も最終拒絶に規定された応答期間の末日から起算する。

“Failure to file a reply during the shortened statutory period results in abandonment of the application unless the time is extended under the provisions of 37 CFR 1.136“.

短縮された法定期間中に応答を提出しない場合は、出願の放棄となる。但し、期間が37CFR1.136により延長された場合はこの限りでない。

解説

上記したように、短縮法定期間内に応答しなければ出願は放棄したものとみなされます。但し延長が6ヶ月まで可能です。

オフィスアクションに対する応答としてのクレームの補正は、原則として最終拒絶の後は行うことができません。この点もMPEP714.13に規定されています。

“It should be kept in mind that applicant cannot, as a matter of right, amend any finally rejected claims, add new claims after a final rejection(see 37 CFR 1.136)or reinstate previously canceled claims”.

出願人は権利の問題として、最終拒絶後に、最終的に拒絶されたいかなるクレームも補正することができず、新たなクレームを追加することもできず、取り消されたクレームを回復することもできないことを念頭に置くべきである。

“Except where an amendment merely cancels claims, adopts examiner suggestions, removes issues for appeal, or in some other way requires only a cursory review by the examiner, compliance with the requirement of a showing under 37 CFR 1.136(b)(3)is expected in all amendments after final rejection. An affidavit or other evidence filed after a final rejection, but before or on the same date of filing an appeal, may be entered upon a showing of good and sufficient reasons why the affidavit or other evidence is necessary and was not earlier presented in compliance with 37 CFR 1.136(e)”.

補正が単にクレームの取消、審査官の提案の採用、審判に向けての問題の除去、あるいは、他の方法により審査官による一応の検討のみを要求するものである場合を除いては、37CFR1.116(b)(3)により立証の要件に従うことは、全ての最終拒絶後の補正において期待される。最終拒絶後であるが、審判請求の日前または同日に提出された宣誓供述書又は他の証拠は必要であり、37CFR1.116(e)によりであるが、37CFR1.116(e)により以前に提示されなかった必要な好ましいかつ十分な理由を示すことにより、受理される可能性がある。

今週のポイント

  • 最後のオフィスアクションに対する意見書、補正書によっても拒絶が覆らない場合は、アドバイザリー・アクション(advisory action)がされる。これは審査官による意見通知といわれ、日本でいう「拒絶査定」に対応するものである。
  • アドバイザリー・アクションに対し、継続審査請求(RCE)、審判請求(appeal)などの対処方法がある。
  • アドバイザリー・アクションに何ら対応しないと、出願は放棄されたものとみなされる。
  • アドバイザリー・アクションに対する応答期間は、最終オフィスアクションから3ヶ月である、アドバイザリー・アクションが3ヶ月直前に来た場合は、すぐに審判請求する必要がある。
  • 応答期間の延長が可能であるが、出願人が最終アクションから2ヶ月以内に応答し、アドバイザリー・アクションが3ヶ月満了後にされた場合は、延長期間はアドバイザリー・アクションの日からカウントする。

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