第20回 当事者系レビュー

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

現行法の当事者系再審査(inter partes reexamination)に代わって当事者系レビューという制度が置かれました。改正後の35USC311以降に規定されています。当事者系再審査に似ているが異なる制度です。なお、当事者系再審査は当事者系レビューに置き換わりましたが、査定系再審査はそのまま存置されています。

当事者系レビューの請求人

特許権者以外の者が請求できます。これは以下の新311条より明らかです。

Ҥ 311. Inter partes review

“(a)IN GENERAL.—Subject to the provisions of this chapter, a person who is not the owner of a patent may file with the Office a petition to institute an inter partes review of the patent.

本章の規定により、特許権者以外の者は、当事者系レビューを提起するために、特許庁に請願書を提出できる。

現在の当事者系再審査はいかなる第三者も請求できます。

当事者系レビューの請求理由

新規性(102条)、非自明性(103条)に限定されています。そしてこの主張を支える特許や刊行物を提示します。これは当事者系再審査も同様です。以下の条文より明らかです。

“(b)SCOPE.—A petitioner in an inter partes review may request to cancel as unpatentable 1 or more claims of a patent only on a ground that could be raised under section 102 or 103 and only on the basis of prior art consisting of patents or printed publications.

当事者系レビューの請求人は、102条または103条により提起できる理由によってのみ、かつ特許あるいは刊行物からなる先行技術に基づいてのみ、1つ以上の請求項を特許できないものとして取消を請求することができる。

“reasonable likelihood”(合理的蓋然性)の存在

当事者系レビューを提起するには、合理的蓋然性というものが必要です。つまり、特許が取り消される合理的可能性があることが必要です。これに対し当事者系再審査は、前回説明したように、特許性に関する新たな争点が提起されているか否かが開始の条件となります。この点で当事者系レビューの要件は当事者系再審査より緩和されています。

請求の時期の制限

3. 当事者系レビュー請求の期限

特許査定からすぐ請求できるわけではなく、むしろ一定期間を経過しなければ請求できません。

i)特許査定から9ヶ月後、あるいは、
ii)付与後レビューが提起された場合は、当該付与後レビューの終結

の「いずれか遅い時の後」に請求するという期限が定められています。
付与後レビューは、これも特許査定がされた後に異議を述べる制度であり(同様に今回の改正で設けられた制度)、これは特許査定から9ヶ月以内に申し立てるという期限の制限があります。これが例えば7ヶ月くらいで終わっても、特許査定から9ヶ月後でなければ当事者系レビューを請求できません。
この期限の制限は以下の条文により定められています。

“(c)FILING DEADLINE.—A petition for inter partes review shall be filed after the later of either—
“(1)the date that is 9 months after the grant of a patent or issuance of a reissue of a patent; or
“(2)if a post-grant review is instituted under chapter 32, the date of the termination of such post-grant review.

(c)提出期限
当事者系レビューの請願は、
(1)特許許可または特許の再発行の後9ヶ月経過日、
(2)第32章の下で付与後レビューが提起された場合、当該付与後レビュー終結日
のいずれか遅い時の後に提出する。

*「レビュー(review)」という文言が出てきますが、これは「再検討する」も意味があります。
「請願(petition)」も特許実務ではよく使われる文言で、”petition”を「上申」と訳すこともあります。ここでは「請願」が適訳です。

当事者系レビューの手続

当事者系レビューはどのようにして開始するのでしょうか。

Ҥ 312. Petitions

“(a)REQUIREMENTS OF PETITION.—A petition filed under section 311 may be considered only if—
“(1)the petition is accompanied by payment of the fee established by the Director under section 311;
“(2)the petition identifies all real parties in interest;
“(3)the petition identifies, in writing and with particularity, each claim challenged, the grounds on which the challenge to each claim is based, and the evidence that supports the grounds for the challenge to each claim, including—
“(A)copies of patents and printed publications that the petitioner relies upon in support of the petition; and
“(B)affidavits or declarations of supporting evidence and opinions, if the petitioner relies on expert opinions;
“(4)the petition provides such other information as the Director may require by regulation; and
“(5)the petitioner provides copies of any of the documents required under paragraphs(2),(3), and(4)to the patent owner or, if applicable, the designated representative of the patent owner.

(a)請願の要件―311条の下で提出された請願書は、以下の場合にのみ再審査される。
(1)請願書と共に、311条の下で特許庁長官が決定した料金が支払われている場合
(2)請願書が、すべての実質的利益当事者を明らかにしている場合
(3)請願書は、異議が述べられた各請求項、各請求項に対する異議の理由、その理由を支持する証拠を書面にて詳細に明らかにすること。
(A)請願者が根拠とする、請願書を支持する特許、刊行物のコピー
(B)請願者が鑑定に依拠する場合、証拠および見解を支持する宣誓供述または宣言
(4)請願書が規則により長官が要求する当該他の情報を規定していること。
(5)(2),(3),(4)項の下で特許権者、または必要な場合は特許権者の指定代理人が要求する書面のいずれかのコピーを請願者が提供すること。

すなわち、請願において必要なのは

  1. 料金の支払い
  2. 実質的当事者
  3. 異議の対象となるクレーム
  4. 異議理由
  5. 証拠
  6. 特許、刊行物写し
  7. 宣誓供述書または宣言
  8. 他の情報等

の特定です。
これがあれば当事者系レビューは開始されます。

請願書の公衆による閲覧

請願書は受理された後に実行可能であればすぐに公衆が閲覧できる状態となります。以下の条文より明らかです。

§312(4)(b)

“(b)PUBLIC AVAILABILITY.—As soon as practicable after the receipt of a petition under section 311, the Director shall make the petition available to the public.

(b)公衆の閲覧可能性
311条により請願書が受理された後、可能であればすぐに特許庁長官は、請願書を公衆が閲覧可能な状態とする。

*”available”とは「利用可能」の意味ですが、これは結局、閲覧することができるという意味です。

今週のポイント

  • 現在の当事者系再審査(inter partes reexamination)は第三者が請求できる。当事者系レビューも特許権者以外の者が請求できる。
  • 当事者系レビューの請求人は、102条または103条にもとづき、特許または刊行物を提示して、1つ以上のクレームにつき取消を請求できる。
    ことができる。
  • 当事者系レビューの開始には、「合理的蓋然性(reasonable likelihood)」が必要である。すなわち特許が取り消される合理的可能性があることが必要である。当事者系再審査よりも開始の要件は緩和されている。
  • 当事者系レビューは、i)特許査定から9ヶ月後、あるいは、ii)付与後レビューが提起された場合は、当該付与後レビューの終結の「いずれか遅い時の後」に請求するという期限が定められている。
  • 請願において必要なのは、
    1. 料金の支払い
    2. 実質的当事者
    3. 異議の対象となるクレーム
    4. 異議理由
    5. 証拠
    6. 特許、刊行物写し
    7. 宣誓供述書または宣言
    8. 他の情報等

    の特定である。

特許翻訳のお問い合わせはインターブックスにどうぞ

技術背景を持ち、それぞれの国の法制度の事情を理解したネイティブ翻訳者が翻訳を担当いたします。
日本特許庁・米国特許商標庁・欧州特許庁・中国特許庁・韓国特許庁の出願要件に則って特許明細書を翻訳し、お客様のご要望にお応えいたします。
電話番号 03-5212-4652
お問合せはこちら

関連する記事