第17回 新102条解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

今回の米国特許法改正により、新規性の条文(35USC 102)が大きく変わります。世界公知になった点、基準時が「有効出願日」となった点は前回説明しましたが、この他に1年の猶予期間(grace period)が認められ、この期間内は、他人の開示よりも発明者が先に開示すると、他人の開示は先行技術とはみなされません。これまで米国には102条にワンイヤールールの規定がありましたが、これが1年の猶予期間という形で新102条に規定されています。

まず102条の原則からです。

Ҥ 102. Conditions for patentability; novelty

“(a)NOVELTY; PRIOR ART.—A person shall be entitled to a patent unless
“(1)the claimed invention was patented, described in a printed publication, or in public use, on sale, or otherwise available to the public before the effective filing date of the claimed invention; or

(a)新規性;先行技術
(1)特許請求された発明の有効出願日前に、特許され、刊行物に記載され、公に使用され、販売され、あるいは公衆に利用可能となった発明は特許されない。

コメント

発明の新規性を定めた条文ですが、ここでは「米国内」で限定はありません。つまり世界公知(世界のどこかで公知のものは特許されない)が規定されています。
“effective filing date”(有効出願日)という新しい概念が規定されています。

“(2)the claimed invention was described in a patent issued under section 151, or in an application for patent published or deemed published under section 122(b), in which the patent or application, as the case may be, names another inventor and was effectively filed before the effective filing date of the claimed invention.

「151条により発行された特許に記載され、出願公開され、122条(b)により公開されたとみなされた特許出願に記載された特許請求された発明(特許あるいは出願であって、他の発明者の氏名が列記され、特許請求された発明の有効出願日以前に有効に出願された発明)

次に例外としての1年の猶予期間の規定です。

“(b)EXCEPTIONS.—
“(1)DISCLOSURES MADE 1 YEAR OR LESS BEFORE THE EFFECTIVE FILING DATE OF THE CLAIMED INVENTION.—A disclosure made 1 year or less before the effective filing date of a claimed
invention shall not be prior art to the claimed invention under subsection(a)(1)if—

(b)開示
(1)特許請求された発明の有効出願日から1年以内の開示。
特許請求された発明の有効出願日から1年以内の開示は、以下の各号による特許請求された発明に対する先行技術ではないものとする。

“(A)the disclosure was made by the inventor or joint inventor or by another who obtained the subject matter disclosed directly or indirectly from the inventor or a joint inventor; or

(A)発明者、共同発明者、あるいは発明または共同発明から直接的または間接的に開示された主題を得た他人が行った開示

“(B)the subject matter disclosed had, before such disclosure, been publicly disclosed by the inventor or a joint inventor or another who obtained the subject matter disclosed directly or indirectly from the inventor or a joint inventor.

(B)開示された主題が、当該開示前に発明者、共同発明者、あるいは発明者または共同発明者から直接的または間接的に開示された主題を得た他人により公に開示されていた場合

解説

有効出願日から1年以内であれば、発明者や共同発明者、それらの者から直接的、間接的に開示された発明を得た他人が行った開示は、先行技術ではありません。
また、この期間内に他人が開示しても、それより前に上記の者が開示していれば他人の開示は先行技術とはみなされません。

“(2)DISCLOSURES APPEARING IN APPLICATIONS AND PATENTS.—
“A disclosure shall not be prior art to a claimed invention under subsection(a)(2)if—

出願および特許に表れる開示
以下の場合は、開示は、(a)(2)項により特許請求された発明に対する先行技術ではないものとする。

“(A)the subject matter disclosed was obtained directly or indirectly from the inventor or a joint inventor;

(A)開示された主題が発明者または共同発明者から直接的または間接的に得られた場合

(B)the subject matter disclosed had, before such subject matter was effectively filed under subsection(a)(2), been publicly disclosed by the inventor or a joint inventor or another who obtained the subject matter disclosed directly or indirectly from the inventor or a joint inventor; or

(B)開示された主題が、当該主題が(a)(2)により有効に出願される以前に、発明者または共同発明者により開示され、あるいは発明者または共同発明者から直接的または間接的に開示された主題を得た他人により公に開示されていた場合

‘(C)the subject matter disclosed and the claimed invention, not later than the effective filing date of the claimed invention, were owned by the same person or subject to an obligation of assignment to the same person.

(C)特許請求された発明の有効出願日以前に開示された主題であって、特許請求された発明を同一人が所有し、あるいは同一人に対する譲渡の義務の対象となる場合。

解説

開示の対象も発明者や共同発明者等の開示と同一のであることが必要です。
(C)では、共有の発明、同一人に譲渡される予定の発明も先行技術とはみなされないことが規定されています。

(c)COMMON OWNERSHIP UNDER JOINT RESEARCH AGREEMENTS.—
Subject matter disclosed and a claimed invention shall be deemed to have been owned by the same person or subject to an obligation of assignment to the same person in applying
the provisions of subsection(b)(2)(C)if—

(c)共同研究契約による共有
(b)(2)(C)項の規定を適用する際に、開示された主題、および特許請求された発明は、以下の場合に同一人が所有していた、あるいは同一人対する譲渡の義務の対象となっていたとみなされる。

“(1)the subject matter disclosed was developed and the claimed invention was made by, or on behalf of, 1 or more parties to a joint research agreement that was in effect on or before the effective filing date of the claimed invention;

「(1)特許請求された発明の有効出願日以前に有効であった共同研究契約の1以上の当事者により、あるいはこれに代わって開示された主題が開発され、かつ特許請求された発明がなされた場合、

“(2)the claimed invention was made as a result of activities undertaken within the scope of the joint research agreement; and

(2)特許請求された発明が、共同研究契約の範囲内で行われた活動の結果としてなされた場合、

“(3)the application for patent for the claimed invention discloses or is amended to disclose the names of the parties to the joint research agreement.

(3)特許請求された発明にかかる特許出願が、共同研究契約の当事者の氏名を開示し、あるいは開示するように補正される場合。

解説

(b)(2)(c)の「特許請求された発明を同一人が所有し、あるいは同一人に対する譲渡の義務の対象となる場合」を規定しています。例えば共同研究活動のとして発明がされた場合がこれにあたります。

今週のポイント

  • 米国特許法改正では、有効出願日から1年以内であれば、発明者や共同発明者、それらの者から直接的、間接的に開示された発明を得た他人が行った開示は、先行技術とはならない。
  • この期間内に他人が開示しても、それより前に上記の者が開示していれば他人の開示は先行技術とはみなされない。
  • 特許請求された発明の有効出願日以前に開示された主題であって、特許請求された発明を同一人が所有し、あるいは同一人に対する譲渡の義務の対象となる場合も先行技術とはみなされない(例えば共同研究活動のとして発明がされた場合)。

特許翻訳のお問い合わせはインターブックスにどうぞ

技術背景を持ち、それぞれの国の法制度の事情を理解したネイティブ翻訳者が翻訳を担当いたします。
日本特許庁・米国特許商標庁・欧州特許庁・中国特許庁・韓国特許庁の出願要件に則って特許明細書を翻訳し、お客様のご要望にお応えいたします。
電話番号 03-5212-4652
お問合せはこちら

関連する記事