第16回 特許法改正案の新規性

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今回の特許法改正は、Leahy Smith法案が6月に下院を通過し、9月に上院を通過し、9月16日に大統領が署名したものです。新規性(102条)の改正について今回はお話しします。

現在の102条(a)

35USC 102

a)the invention was known or used by others in this country, or patented or described in a printed publication in this or a foreign country, before the invention thereof by the applicant for patent

「特許出願人によるその者の発明前にこの国で知られ、または使用され、この国または外国で特許され、刊行物に記載された発明。」

解説

新規性の条文です。発明がされる前に知られ、使用され、特許され、刊行物に記載された発明は新規性がないとして特許されないという条文です。

  1. いつの時点を基準とするか
    発明がされる前です。発明前に新規でなければOKということです。これは先発明主義であるゆえんです。
  2. 地域的基準
    「知られ(公知)、使用され(公用)」は米国内が基準です。
    「特許され、刊行物に記載され」は、米国と外国が基準です。

改正法案の102条(a)

“(a)NOVELTY; PRIOR ART.—A person shall be entitled to a patent unless
“(1)the claimed invention was patented, described in a printed publication, or in public use, on sale, or otherwise available to the public before the effective filing date of the claimed invention; or

(a)新規性;先行技術
(1)特許請求された発明の有効出願日前に、特許され、刊行物に記載され、公に使用され、販売され、あるいは公衆に利用可能となった発明は特許されない。

解説

発明の新規性を定めた条文ですが、ここでは「米国内」で限定はありません。つまり世界公知(世界のどこかで公知のものは特許されない)が規定されています。
“effective filing date”(有効出願日)という新しい概念が規定されています。

  1. いつの時点を基準とするか
    “effective filing date”(有効出願日)
    実際の出願日、
    優先権主張がされている場合は、第一国出願日
    35USC120条などに規定されている先の出願日
    PCTによる国際出願の場合は、国際出願日
  2. 地域的基準
    米国に限らず世界で「特許され、刊行物に記載され、公に使用され、販売され、公衆に利用可能」となった場合です。

“effective filing date”(有効出願日)の定義(Sec.3)

新規性の条文で基準として出てくる”effective filing data”の定義が3条にあります。

‘‘(A)if subparagraph(B)does not apply, the actual filing date of the patent or the application for the patent containing a claim to the invention; or
‘‘(B)the filing date of the earliest application for which the patent or application is entitled, as to such invention, to a right of priority under section 119, 365(a), or 365(b)or to the benefit of an earlier filing date under section 120, 121, or 365(c).
‘‘(2)The effective filing date for a claimed invention in an application for reissue or reissued patent shall be determined by deeming the claim to the invention to have been contained in the patent for which reissue was sought.

「(A)(B)項が適用されない場合、特許の実際の出願日、または発明に対するクレームを含む特許出願の出願日
(B)当該発明に関して119条, 365条(a),365条(b)による優先権の利益を受ける適格のある特許または特許出願、120条、121条、365条(c)による最先の出願日の利益を受ける適格のある最先の出願の出願日
(2)
「再発行のための出願または再発行特許において特許請求された発明の有効出願日は、当該発明に対するクレームを再発行が求められた特許に含まれていたとみなすことにより決定するものとする。」

改正法案の112条(b)

“(2)the claimed invention was described in a patent issued under section 151, or in an application for patent published or deemed published under section 122(b), in which the patent or application, as the case may be, names another inventor and was effectively filed before the effective filing date of the claimed invention”.

「151条により発行された特許に記載され、出願公開され、122条(b)により公開されたとみなされた特許出願に記載された特許請求された発明(特許あるいは出願であって、他の発明者の氏名が列記され、特許請求された発明の有効出願日以前に有効に出願された発明)」

解説

“patented”(特許され)のみならず、「151条により発行された特許に記載された発明」も規定されています。
また出願公開や出願公開とみなされた出願のクレームに記載された発明も新規性がありません。

  1. いつを基準とするか
    有効出願日以前に有効にされた出願
  2. 誰の出願を対象とするか
    他の発明者の出願

つまりここでも有効出願日が基準であり、またこの出願の発明者以外の発明者による出願に記載されていた場合に新規性がないということになります。
ここで151条、122条(b)という条文が出てきました。これを訳しておきます。

参考条文
35USC151

“If it appears that applicant is entitled to a patent under the law, a written notice of allowance of the application shall be given or mailed to the applicant. The notice shall specify a sum, constituting the issue fee or a portion thereof, which shall be paid within three months thereafter.
Upon payment of this sum the patent shall issue, but if payment is not timely made, the application shall be regarded as abandoned”.

「出願人が法律により特許を受ける適格があると考えられる場合は、書面による出願の査定通知が出願人に与えられ、あるいは郵送される。当該通知が発行料となる合計金額、あるいはその一部をその後3ヶ月以内に支払う。特許の当該合計金額が支払われると特許は発行されるが、支払が時期に間に合ってされない場合は、出願は放棄したものとみなされる。」

解説

これは特許査定、料金納付、特許の発行を定めた条文です。このようにして発行された特許に記載された発明も新規性がないということです。

35USC 122

(b)Publication.—
(1)In general.—
(A)Subject to paragraph(2), each application for a patent shall be published, in accordance with procedures determined by the Director, promptly after the expiration of a period of 18 months from the earliest filing date for which a benefit is sought under this title. At the request of the applicant, an application may be published earlier than the end of such 18-month period.
(B)No information concerning published patent applications shall be made available to the public except as the Director determines.
(C)Notwithstanding any other provision of law, a determination by the Director to release or not to release information concerning a published patent application shall be final and nonreviewable.

(b)出願公開
(1)一般に
(A)(2)の規定に従うことを条件として、本条の利益を受ける最先の出願日から18ヶ月経過後に、各特許出願は特許庁長官が定めた手続により公開されるものとする。出願の請求時に出願人は、18ヶ月の期間経過の末日より前に本条による出願公開を請求することができる。
(B)出願公開された特許出願に関するいかなる情報も、長官が決定するものを除いて公衆が利用可能となる。
(C)法の他のいかなる規定にもかかわらず、長官による出願公開された特許出願に関する情報を公表するという決定は最終的であり、再検討不可である。

解説

これは出願公開の条文であり、出願が出願日から1年6ヶ月後に公開されます。もちろん日本にもこの規定があります。そして122条(b)とは、早期公開の請求を規定しており、18ヶ月以前であっても請求すると出願公開がされます。
ここでは、出願公開、あるいは早期公開により出願公開とみなされた出願のクレームに記載された発明の新規性がないというものです。

今週のポイント

  • 特許改正法案は、102条(a)で「発明の有効出願日前に、特許され、刊行物に記載され、公に使用され、販売され、あるいは公衆に利用可能となった発明は特許されない。」と規定しており、新規性については世界公知を採用している。
  • 現在の102条(a)は、「知られ(公知)、使用され(公用)」は米国内が基準であり、「特許され、刊行物に記載され」は、米国と外国が基準である。
  • “patented”(特許され)のみならず、「151条により発行された特許に記載された発明」も規定されています。
    また出願公開(122条)や出願公開(122条(b))とみなされた出願のクレームに記載された発明も新規性がありません。出願公開(122条(b))とみなされた出願とは、早期公開の請求により18ヶ月以前に公開される出願です。

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