第13回 早期審査の請求

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特許出願の審査を請求により早期に行う制度があります。主に3つの早期審査制度があり、(1)出願人の健康、年齢によるもの、(2)改正された早期審査制度、(3)審査ハイウエイプログラム(PPH)です。

(1)出願人の健康状態、年齢によるもの

MPEP708.02

“An application may be made special upon a petition by applicant accompanied by any evidence showing that the state of health of the applicant is such that he or she might not be available to assist in the prosecution of the application if it were to run its normal course, such as a doctor’s certificate or other medical certificate”.

出願人は、出願が通常のコースで進んだ場合には、審査遂行に支援することができない可能性がある、という出願人の健康状態を示す医者の証明書、診断書を添付して、出願人による上申を行うことができる。

解説

出願人の健康状態、年齢(65才以上)により審査促進の上申を行うことができます。

(2)改正された早期審査プログラム(Revised Accelerated Examination Program)

これを規定しているのは、MPEP708.02です。
petition to make special under accelerated examination program“というフォームを提出します。

708.02(a)Accelerated Examination)

“All petitions to make special, except those based on applicant’s health or age or the Patent Prosecution Highway(PPH)pilot program, filed on or after August 25, 2006 must meet the requirements set forth in subsection I below. See MPEP § 708.02 subsection III or IV(where appropriate)for the requirements for filing a petition to make special based on applicant’s health or age”.

「出願人の健康又は年齢に基づくもの、あるいは特許審査ハイウエイ(PPH)パイロットプログラムを除き、2006年8月25日以降に提出された全ての上申書は、以下のⅠ項に規定の要件を充たしている必要がある。出願人の健康又は年齢に基づく上申書を提出するための要件については、MPEP708.02 Ⅲ又はⅣ項(該当する場合)参照。」

解説

早期審査制度は改正され、2005年8月以降の出願には改訂早期審査制度が適用されます。”petition to make special”という上申書を提出します。

“Applications filed prior to August 25, 2006 are not eligible for the accelerated examination program set forth below. A petition to make special filed on or after August 25, 2006 will only be granted if it is based upon applicant’s health or age or is under the PPH pilot program, or if it complies with the requirements set forth below”.

「2006年8月25日以前に提出された出願は。以下に述べる早期審査プログラムを受け権利を有しない。2006年8月25日以降に提出された上申書は、出願人の健康又は年齢に基づくもの、あるいはPPHパイロットプログラムによるもの、あるいは以下に規定する要件を充たすもののみ認められる。」

解説

早期審査制度が改訂され、2006年8月25日以前の出願はこの改訂早期審査請求の適用が受けられません。また、この日以降に提出された上申書は、出願人の年齢、健康上の理由によるものであれば認められ、またPPHパイロットプログラムによるものであれば早期審査が認められます。

改訂された早期審査請求の要件

“I. REQUIREMENTS FOR PETITIONS TO MAKE SPECIAL UNDER ACCELERATED EXAMINATION
A new application may be granted accelerated examination status under the following conditions:

新規な出願は、以下の条件により早期審査を認められる場合がある。

(A)The application must be filed with a petition to make special under the accelerated examination program accompanied by either the fee set forth in 37 CFR 1.17(h)or a statement that the claimed subject matter is directed to environmental quality, the development or conservation of energy resources, or countering terrorism. See 37 CFR 1.102(c)(2). Applicant should use form PTO/SB/28 for filing the petition”.

「出願は、早期審査プログラムによる上申書と共に提出する必要があり、37CFR 1.17(h)に規定された料金、あるいは特許請求された主題が環境基準、エネルギー資源の開発又は保護を対象したものであること、あるいはテロに対抗するものである、という陳述を伴う必要がある。37 CFR 1.102(c)参照。出願人は、様式PTO/SB/28 for filing the petitionを使用すること。」

解説

改訂された早期審査制度は、環境基準、エネルギー資源保護などの必要がある場合など、早期審査の必要がある事由を列挙し、これに適合することを陳述させることとしています。

(B)The application must be a non-reissue utility or design application filed under 35 U.S.C. 111(a).

出願人は、35USC 111条(a)による非再発行実用又は意匠出願であることが必要である。

解説

再発行特許とは、特許になってから2年以内に誤りの訂正のために再発行される特許をいいます。再発行でない実用特許、意匠出願であり、植物特許は含まれないということです。

“(E)The application must contain three or fewer independent claims and twenty or fewer total claims”.

出願には、3つ以下の独立クレーム、及び20以下の全クレームを含んでいる必要がある。

“The application must also not contain any multiple dependent claims”.

出願は、多数従属クレームを含んでいてはならない。

“By filing a petition to make special under the accelerated examination program the applicant is agreeing not to separately argue the patentability of any dependent claim during any appeal in the application”.

審査促進プログラムによる上申書を提出することにより、出願人は出願の審判において、いずれの従属クレームの特許性も別個に主張しないことに同意している。

“Specifically, the applicant is agreeing that the dependent claims will be grouped together with and not argued separately from the independent claim from which they depend in any appeal brief filed in the application(37 CFR 41.37(c)(1)(vii))”.

特に出願人は、従属クレームが出願の提出された理由補充書において、これらの従属クレームが従属する独立クレームと共にグループ化され、これと別個に争わないことに同意している。

“The petition must include a statement that applicant will agree not to separately argue the patentability of any dependent claim during any appeal in the application. See form PTO/SB/28”.

上申書は、出願人が出願の審判において、いずれかの従属クレームの特許性を別個に争わないという陳述を含んでいる。

“(F)The claims must be directed to a single invention. If the USPTO determines that all the claims presented are not directed to a single invention, applicant must make an election without traverse in a telephonic interview. The petition must include a statement that applicant will agree to make an election without traverse in a telephonic interview. See form PTO/SB/28”.

クレームは単一の発明を対象としていることが必要である。米国特許商標庁が、提出された全てのクレームが単一の発明を対象としていない、と判断した場合は、出願j人は、電話会談による反論をすることなく、選択をしなければならない。上申書には、出願人が電話会談による反論なしに選択をすることに同意するとの陳述が含まれている必要がある。

“(G)The applicant must be willing to have an interview(including an interview before a first Office action)to discuss the prior art and any potential rejections or objections with the intention of clarifying and possibly resolving all issues with respect to patentability at that time. The petition must include a statement that applicant will agree to have such an interview when requested by the examiner. See form PTO/SB/28”

出願人は、(最初のオフィスアクション以前の面接を含め)自発的に面接をすることにより、その時点での特許性に関し、全ての争点を明確にし、かつ解決する意図をもって、先行技術及び起こり得る拒絶又は異議を議論する必要がある。上申は、出願人が審査官が要求した際に、面接をすることに同意するという陳述を含む必要がある。

“(H)At the time of filing, applicant must provide a statement that a preexamination search was conducted, including an identification of the field of search by United States class and subclass and the date of the search, where applicable, and for database searches, the search logic or chemical structure or sequence used as a query, the name of the file or files searched and the database service, and the date of the search”.

出願時点において、出願人は、審査前調査が行われたことを提示し、これは米国特許分類及び副分類による検索の分野、必要な場合は検索の日付、データベースサーチの特定、検索ロジック、化学構造、クエリーとして使用されたシーケンス、検索されたファイル名、データベースサービス、検索の日付を含む。

解説

早期審査プログラムは、クレームの数が限定され、従属項も別個に争わない、審査官が要求する際には面接も行うなど、早期審査のための上申をすることとなっています。

(3)審査ハイウエイプログラム

日米特許審査ハイウエイ計画が2008年1月4日より始まりました。これは日米特許庁が審査資料を出し合い、審査協力をすることにより審査促進を図るというものです。具体的には、日本特許庁や米国特許庁が国際調査機関や国際予備審査機関となって審査し、この結果出される見解書や国際予備審査報告の肯定的な結果を審査資料として活用します。
手続としては、出願人が早期審査の請求をして、その際に見解書、引例、クレームの対応表などを添付します。

(4)Prioritized Examination(優先審査)

2011年5月4日より”Prioritized Examination”が始まっています。
4,000US$の料金を支払い、12ヶ月以内に最終処分(特許査定の通知や最終オフィスアクションなど)が得られることとしています。これについてのUSPTOのPress Releaseがあります。

今週のポイント

  • 米国の早期審査の制度としては主に、(1)出願人の年齢、健康によるもの、(2)改正された早期審査制度、(3)審査ハイウエイプログラム(PPH)がある。
  • 早期審査制度は改正され、2005年8月以降の出願には改訂早期審査制度(Revised Accelerated Examination Program)が適用される。”petition to make special”という上申書を提出する。
  • “petition to make special”(上申書)においては、審判で従属クレームを独立クレームと別個に争わないこと、審査官が要求した場合には面接をすることなどに同意するなどの陳述を行う。
  • 2011年5月4日より”Prioritized Examination”(優先審査)が始まっている。4,000US$の料金を支払い、12ヶ月以内に最終処分(特許査定の通知や最終オフィスアクションなど)が得られる。

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