第25回 限定要求と選択要求

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審査の過程で限定要求(requirement for restriction)、選択要求(requirement for election)というアクションが審査官よりされることがあります。これは一つの出願に複数の発明が含まれている場合に、一つに限定せよという審査官の要求です。原則として一つの出願には一つの発明しか含めることができないからです。その根拠は121条にあります。

121条 分割出願

“If two or more independent and distinct inventions are claimed in one application, the Director may require the application to be restricted to one of the inventions”.

2以上の独立で区別可能な発明が一つの出願で特許請求された場合、長官は出願人に対し、複数の発明のうち一つに限定するように要求することができる。
この条文を根拠に、限定要求、選択要求がされます。

限定要求

37CFR1.142

“(a)If two or more independent and distinct inventions are claimed in a single application, the examiner in an Office action will require the applicant in the reply to that action to elect an invention to which the claims will be restricted, this official action being called a requirement for restriction(also known as a requirement for division). Such requirement will normally be made before any action on the merits; however, it may be made at any time before final action”.

2以上の独立かつ識別性のある発明が一つの出願で特許請求されると、特許庁の審査官は、出願人に対し、当該アクションに対する応答において複数のクレームがどの発明に限定されるかを選択するように要求し、このオフィスアクションを限定要求という(分割の要求としても知られる)。かかる要求は通常、何らかの実体上のアクションより以前になされるが、最終アクション以前のいずれかの時点でなされる。

“(b)Claims to the invention or inventions not elected, if not canceled, are nevertheless withdrawn from further consideration by the examiner by the election, subject however to reinstatement in the event the requirement for restriction is withdrawn or overruled”.

選択されなかった一つまたは複数の発明のクレームは、取り消されないのであれば、限定要求が取り下げられ、あるいは破棄された場合は復活することを条件として、審査官による更なる審査から除外される。
つまり、限定要求に対する応答で選択されなかった発明は審査の対象から除外されます。

選択要求

選択要求は、一つの出願に複数の属(genus)に対するクレーム(包括クレーム)、および種(species)が含まれている場合に、いずれの属クレームも特許できない場合に、種を選択するように要求する手続です。包括クレームとはたとえば、複数の実施態様を包含するクレームです。
審査官からは以下のような通知がなされます。

MPEP809.02

“This application contains claims directed to the following patentably distinct species [1]. The species are independent or distinct because [2]”.

本願は、以下の特許的に区別可能な種[1]を対象とするクレームを含んでいる。種は、[2]という理由により、独立または区別可能である。

審査官は、「グループⅠ(クレーム1、2)、グループⅡ(クレーム3〜5)」のようにクレームをグループ分けして、グループを選択するように要求します。

ここで”independent and distinct”(独立かつ区別可能な)という用語が出てきました。これはどういう意味でしょうか。MPEP802.01に規定があります。

“Independent”, of course, means not dependent, or unrelated. If “distinct” means the same thing, then its use in the statute and in the rule is redundant. If “distinct” means something different, then the question arises as to what the difference in meaning between these two words may be. The hearings before the committees of Congress considering the codification of the patent laws indicate that 35 U.S.C. 121:”enacts as law existing practice with respect to division, at the same time introducing a number of changes.”

「独立」は当然のごとく、「従属していない」または「関連していない」という意味である。「区別可能」の用語が同じ意味を有するのであれば、法律および規則におけるその用語の使用は冗長となる。「区別可能な」は若干、異なる意味を有し、これら2つの用語の意味にいかなる相違があるかに関して疑問が生じる。

“Two or more inventions are related(i.e., not independent)if they are disclosed as connected in at least one of design(e.g., structure or method of manufacture), operation(e.g., function or method of use), or effect. Examples of related inventions include combination and part(subcombination)thereof, process and apparatus for its practice, process and product made, etc. In this definition the term related is used as an alternative for dependent in referring to inventions other than independent inventions”.

2以上の発明が、デザイン(たとえば構造または製造方法)、動作(たとえば機能または使用方法)または効果の少なくとも一つにおいて関連するものとして開示されている場合は、2以上の発明は関連性がある(すなわち独立していない)。関連性ある発明の具体例としては、コンビネーションとその一部(サブコンビネーション)、方法とそれを実施する装置、方法および製造された製品等がある。この定義では関連性ある用語は、独立した発明以外の発明に言及する際に従属性に代わるものとして使われる。

“Related inventions are distinct if the inventions as claimed are not connected in at least one of design, operation, or effect(e.g., can be made by, or used in, a materially different process)and wherein at least one invention is PATENTABLE(novel and nonobvious)OVER THE OTHER(though they may each be unpatentable over the prior art). See MPEP § 806.05(c)(combination and subcombination)and § 806.05(j)(related products or related processes)for examples of when a two-way test is required for distinctness.
It is further noted that the terms “independent” and “distinct” are used in decisions with varying meanings. All decisions should be read carefully to determine the meaning intended”.

発明がデザイン、動作、効果(実質的に異なる方法により製造され、あるいは使用される場合等)の少なくとも一つにおいて関連していない場合は、関連性ある発明は区別可能であり、少なくとも一つの発明は他の発明からみて特許可能である(新規かつ非自明)(ただし、これらの発明が先行技術からみて特許できない場合はある)。コンビネーションとサブコンビネーションについてはMPEP806.05(c)参照。関連性ある製品と関連性ある方法については806.05(j)参照。
「独立」かつ「区別可能な」の用語は、様々な意味を判断する際に使用されることに更に留意すべきである。すべての判断を注意深く解釈し、意図する意味を決定する必要がある。

37CFR1.146

“In the first action on an application containing a generic claim to a generic invention(genus)and claims to more than one patentably distinct species embraced thereby, the examiner may require the applicant in the reply to that action to elect a species of his or her invention to which his or her claim will be restricted if no claim to the genus is found to be allowable. However, if such application contains claims directed to more than a reasonable number of species, the examiner may require restriction of the claims to not more than a reasonable number of species before taking further action in the application.”

包括的発明(属)に対する包括クレーム、およびこれが包含する複数の特許的に区別可能な種を含む出願に関する最初のアクションにおいて、審査官は出願人に対し、属に対するいずれのクレームも許可できないと認定される場合に、応答の際にクレームが限定される発明の種を選択するように要求できる。ただし、当該出願が合理的な数を超える種を対象とするクレームを含んでいる場合は、審査官は出願の更なるアクションの前に合理的な数のクレームに限定するように要求できる。

今週のポイント

  • 審査の過程で限定要求(requirement for restriction)、選択要求(requirement for election)というアクションが審査官よりされることがある。
  • 限定要求と選択要求は、一つの出願には一つの発明しか含めることができないという122条に規定された原則にもとづいている。
  • 限定要求に対する応答で選択されなかった発明は審査の対象から除外される。
  • 独立かつ区別可能な2以上の種(species)を含んでいる場合は、選択要求がされる。
  • 選択要求は、一つの出願に複数の属(genus)に対するクレーム(包括クレーム)、および種(species)が含まれている場合に、いずれの属クレームも特許できない場合に、種を選択するように要求する手続である。
  • 「独立」は「従属していない」または「関連していない」を意味する。
  • 関連性あるものの例としては、コンビネーションとその一部(サブコンビネーション)、方法とそれを実施する装置、方法および製造された製品等がある。

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