第150回 ハスの花と頭音法則

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ハスの花と頭音法則

先生:硬い話が続きましたので,ここで息抜きに笑い話をお話ししましょう。

昔,ハスがとても好きだった王様が住んでいました。王様は宮廷に大きな池を作って,朝晩欠かすことなくハスの花を見るのを生き甲斐にしていました。その王様の即位18年になった丙申 [병신] の年のある日の朝,池の真ん中に2つのかわいらしい蕾をつけたハスを見た王様は,うれしさのあまり,舌がもつれてこう叫んだそうです。
“지미 씨팔 년간 이 년 저 년 다 보았지만, 저런 쌍년은 병신년에 처음이네!”

全員:……。

先生:誰も反応無しですか。まじめに聞いていてはだめですよ。笑い話ですから。

ケンタ:まったくわからないですね。

先生:外国語の練習にはシャドーイングが大切です。みなさんも王様になったつもりで“짐이 씨팔 년간 이 년 저 년 다 보았지만, 저런 쌍년은 병신년에 처음이네.”と声を出して読むとどこがおかしいか分かります。それでもわからないようでしたら,今度,韓国の友達の前で,大声で発音して見てください。みなさんの発音がよければ,韓国の人は笑うはずです。ただし,女性の前ではやめたほうがいいかもしれません。

キョースケ:ははっ,わかりました!

先生:王様の言葉をきちんと書き直すと“짐이 십팔 년간 이 연 저 연 다 보았지만, 저런 쌍연은 병신년에 처음이네!”となります。

タイゾー:짐というのは何ですか。

先生:「朕」のことです。天皇や国王は,自分のことを「朕」といいました。翻訳すると「朕は18年間,このハス,あのハスといろいろ見てきたが,あのような双蓮は,丙申の年に初めて見たぞ!」です。

ケンタ:「18年間」は십팔 연간ではなくて십팔 년간と書くんですか。頭音法則では년が頭に来たら연と書かなければならないと習いましたけど。

先生:依存名詞として使われている漢字語には,頭音法則が当てはまりません。この場合の년は,依存名詞ですので,そのまま년と書きます。「何年」というときには,몇 년のように년と書きます。しかし,「丙申年」のように固有名詞として扱う場合には,병신∨년と書かずに,병신년のように付けて書きます。

キョースケ:‘그럴 리가 없다.’(そんなはずはない)というときの리も依存名詞ですね。

先生:有名な「アリラン」に “나를 버리고 가시는 님은 십 리도 못 가서 발병 난다.”とうたわれている「里」も依存名詞ですから‘리’と書き,分かち書きします。

タイゾー:발병 난다は「発病した」って意味ですか?

マユミ:何で急に「発病」が出てくるんですか。これは[발뼝]と発音して「長旅の疲れで生じる足の病気」のことです。昔は徒歩で旅をしていましたから。

先生:また別の機会に発音の勉強のところで述べますが,「発病」の発音は[발병]と濃音にはなりません。話を戻しますが,そのほか,昔のお金の単位である냥も依存名詞ですから한 냥, 두 냥…というようにそのまま냥と書きます。

マユミ:「年一回」というときには‘연’ 1회, ‘년’ 1회のうちどっちが正しいんですか。

先生:この場合は연 1회が正しい表記です。おもに数詞の前に付く「年」は‘연’と書きます。

ケンタ:では複合語の場合,頭音法則はどうなるんですか。たとえば「年末年始」とか。

タイゾー:연말연시か연말년시か迷いますね。

マユミ:最初の「年末」の「年」は頭音法則で연말になりますが、後ろの「年始」の「年」は년시になると思います。つまり연말년시が正しいと思います。

先生:それが,そうはならないんです。もともとは연말と연시の2つの単語にわかれていたものが合体したので연말연시が正解です。

キョースケ:「新女性(신+여성)」,「空念仏(공+염불)」などの場合にも,複合語ですから頭音法則が適用になって신여성,공염불と書きます。

ケンタ:「砂上の楼閣」は사상루각ではなく,사상누각〈沙上樓閣〉なんですね。

正しい表記 間違った表記
新女性 신여성 신녀성 ○ 신+여성
新年会 신년회 신연회 × 신+연회
空念仏 공염불 공념불 ○ 공+염불
年利率 연이율 연리율 ○ 연+이율
熱力学 열역학 열력학 ○ 열+역학
砂上の楼閣 사상누각 사상루각 ○ 사상+누각
半裸体 반나체 반라체 ○ 반+나학
赤裸々 적나라 적라라 繰り返される漢字語
失楽園 실락원 실낙원 × 실+낙원
初老期 초로기 초노기 × 초+노기
独居老人 독거노인 독거로인 ○ 독거+노인

先生:ただ「赤裸々」は,ハングル綴字法に,「漢字語の場合,繰り返される2つの音の第1音は,頭音法則によって書き,第2音節は本音どおり書く」と定められていることから,적라라ではなく적나라と書きます。

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