第127回 압존법

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압존법

先生:よく言われることですが,韓国語では「絶対敬語」といって,両親や会社の上司など,身内であっても,自分よりも目上の人には必ず敬語を用いなければなりません。でも「自分より目上」の聞き手に,その「聞き手よりは目下の人」のことを話すときは,どうすればいいか分かりますか。

タイゾー:なんか話がややこしいね。

先生:そこで,今日お話しするのは압존법〈壓尊法〉[압쫀뻡]についてです。

ケンタ:聞き慣れない言葉ですね。

先生:話の主体が「自分より目上であるが,聞き手よりは目下の人」である場合,その人に対して敬語を使わないという語法のことです。

マユミ:例を挙げてください。

先生:たとえば,自分の父親のことを,自分のおじいさんに言う場合などがこれに当たります。話の主体は自分の父親ですから,自分よりは目上ですが,聞き手の祖父にとっては,父親は目下になりますよね。

祖父:아버지는 아직 안 들어왔니?
自分(孫):네, 아버지는 아직 안 들어왔습니다.

祖父:아버지는 어디 갔냐?
自分(孫):아버지는 살 게 있다고 집 앞 구멍가게에 갔습니다.

キョースケ:つまり祖父に向かって,父に対する敬語は使わないと言うことですね。

先生:そうです。

ケンタ:職場内ではどうなんですか。たとえば,内線で社長から部長に電話がかかってきたとき,電話を取ったのが部長の部下だったりした場合ですが。

先生:本来ならば,部長の部下は社長に対して,“부장은 지금 자리에 없습니다.”と,社長を立てて,部長に対する敬語を省くのが語法に合った言い方ですが,「絶対敬語」の規則から外れるために,この言い方はだんだん崩れつつあります。使う人の心理状態に左右されるため,会社などでは使われていません。

タイゾー:じゃあ,“부장님은 지금 자리에 안 계십니다.”でいいんですか。

先生:そうです。いまでは,압존법は会社などの上下関係の中では使われません。使われるとしたら,家族関係や師弟関係の中でだけですが,それも厳密に使うケースは少なくなってきています。先ほどのおじいさんとの会話にしても,いまでは“네, 아버지는 아직 안 들어오셨습니다.”,“아버지는 살 게 있다고 집 앞 구멍가게에 가셨습니다.”と言う人が大部分です。압존법は,一昔前までは一般的な語法だったのですが,現代韓国語での敬語法の体系が,全般的に単純化されだんだんと使われなくなってきたのです。

マユミ:実際の言語生活では,압존법を使う世代と使わない世代の不一致がひどいと聞きましたが。

先生:たとえばテレビなどで仲間の出演者を称して言うとき,30代以上の人は,視聴者を意識して‘~씨’といいますが,若い世代の人たちは압존법を無視して,私的関係を基準に‘~선배’, ‘~형’と普通にいっていますね。

キョースケ:じゃあ,現代韓国語の趨勢からして,この압존법は有名無実化していると言っていいんですね。

先生:いまでは,おじいさんが自分の幼い孫に自分の息子(=孫のお父さん)のことを言うときに,実際に“아버지는 어디 가셨어?”と言ったりするぐらいですからね。압존법は,もう軍隊の中でのみ残っている話法に過ぎないと言ってもいいでしょうね。

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