第65回 「飲む」と「食べる」の違い

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韓国には面白い名前の除湿剤があります。その名も물 먹는 하마です。なぜ물 마시는 하마ではなくて,물 먹는 하마なのでしょうか。
「飲む(마시다)」と「食べる(먹다)」の違いを見てみましょう。

国立国語院の辞書を見てみましょう。次のような解説が出ています。

  • 먹다:음식 따위를 입을 통하여 배 속에 들여보내다.
  • 마시다:물이나 술 따위의 액체를 목구멍으로 넘기다.

※ 참고 어휘

  • 삼키다:무엇을 입에 넣어서 목구멍으로 넘기다.
  • 들이켜다:물이나 술 따위의 액체를 단숨에 마구 마시다.

1. 液体の場合

(1)おもに마시다を使います。

  • 물을 마시다./주스를 마시다./오늘 술 마시자.

(2)먹다という表現も可能です。

  • 물을 먹다./주스를 먹다./오늘 술 먹자.

※「液体の場合は마시다だけが使え,먹다は使えない」という主張もありますが,먹다には「食物のたぐいを口を通じて腹の中に入れる」という定義がされていますので②の表現も可能です。また日常の言語生活でも,この2つはほとんど区別されないで使われています。韓国の童謡にはこんな一節があります。

깊은 산속 옹달샘 누가와서 먹나요/맑고 맑은 옹달샘 누가 와서 먹나요
새벽에 토끼가 눈 비비고 일어나/세수 하러 왔다가 물만 먹고 가지요~♬

2. 道具の使用可否による区別

(1)국(汁物)や찌개(チゲのような鍋物)

  • (국그릇을) 들고 마시다. (器を手で持って飲む)
  • (국그릇+숟가락) 떠서 먹다. (器からさじを使ってすくって食べる)

(2)빨대(ストロー)の使用

  • 주스를 빨대로 빨아 먹다. (自然な言い方)
  • 주스를 빨대로 빨아 마시다. (ぎこちない言い方)

(3)죽(粥)や수프(スープ)

  • 죽을 먹다. (自然な言い方)
  • 죽을 마시다.(器を手に持って飲む場合)
  • 식기 전에 먹어라. (自然な言い方)
  • 식기 전에 마셔라. (不自然。しかし器を手に持って飲む場合は不自然ではない)

※スプーンやストローのような道具を使う場合には,마시다を使うとはぎこちない表現になります。

3. 摂取する量

(1)국(汁物)の場合

  • 마시다を使うと,比較的多い量をいっぺんに飲みほす感じがします。
  • 먹다を使うとスプーンなどで,すくって飲む感じで,마시다に比べて少量です。

(2)주스(ジュース)の場合

  • 병째 들고 마시다(ビンごともって飲む)3-(1) 마시다
  • 주스를 빨대로 먹다(ストローを使って飲む)3-(2) 먹다

※ このように,液体の摂取量によって마시다と먹다を区別する傾向もあります。しかし국을 조금 마시다가 입맛이 없어 내려놓았다.(お吸物を少し飲んだが,うまくないのでお椀を下ろした)という言い方もできるので,これも絶対的なものではありません。使う人の概念の差でもあると言えます。

4. 攝取物の状態による区別

(1)액체(液体)になった약(薬)
※液体薬の場合は약 먹어라.とも言えるし,약 마셔라.とも言えます。しかし알약(錠剤)の場合には,약 마셔라.とは言えません。

(2)겔 타입(ゲルタイプ)の薬

  • 속이 쓰려서 겔포스를 먹었어. (自然な言い方)
  • 속이 쓰려서 겔포스를 마셨어. (不自然な言い方)

※겔포스というのはゲル状の위장약(胃腸薬)です。

5. 意志の介入

(1)물에 빠졌을 때(水におぼれた時)
※この場合は自分の意志と関係なく起ったことなので,물에 빠지는 바람에 물을 많이 먹었다.(おぼれたせいで,水をたくさん飲んだ)のように먹다を使います。물에 빠지는 바람에 물을 많이 마셨다. 먹었다.と言うと不自然に聞こえます。
(2)물에 뛰어들었을 때(水に飛びこんだ時)
※しかし,갈증에 시달리던 철수가 냇물을 보자마자 뛰어들어 물을 꿀꺽꿀꺽 마셨다. (喉が乾いてどうしようもなかったチョルスは,小川の水を見るやいなや飛びこんで水をゴクゴクと飲んだ)のような表現は可能です。

※このような状況での마시다には,自分の意志が入っていると見られます。すなわち, 水におぼれた時は(意志とは関わりなく)水を飲んでしまうので마시다ではなく먹다を使いますが,のどが渇いて水に飛びこんだ時は(自分の意志で)水を飲むので마시다を使います(먹다も可能である。下の文(副詞の使用可否)を参照のこと)。

6. 副詞の使い方による

水を飲む時に使う副詞の代表的なものは,벌컥벌컥(ぐいぐい)と꿀꺽꿀꺽(ゴクゴク)ですが,
(1)벌컥벌컥はコップで飲むという感じが強い。
(2)꿀꺽꿀꺽は川のほとりなどに体を伏せて,手を使わないで飲む感じが強い。
(3)후루룩も使える。これは少量の液体や麺などを「スルスル」「ツルツル」と吸い込むように掻き込む動作に使われる。
건더기(具)が入っている味噌汁などもこれにあたる。

※たとえば,미역국을 (들고) 후루룩 마셨다. (ワカメの味噌汁を[手に持って]すすった)という言い方ができます。ただし,中に入っている具などが「スルスル」「ツルツル」と口の中に入るものでなければなりません(塊の入った味噌汁などに使うのは適当ではない)。
一方,この후루룩は,単純につゆのみを飲むこむ時にも使われます。

7. 頭の動き

(1)마시다は,あごを上げて頭がそり返る行為をする時に使われます。つまり,コップを持って飲む時の状態を表します。
(2)一方,먹다は,逆に頭が下がる行為と一緒に使われます。つまり,お膳の上に置かれた汁物(スープ)などをスプーンと箸ですくって食べる場合です。

いかがでしたか。きょうのレクチャーはちょっと細かく動詞の使い方を分析しましたが,これでみなさんも「飲む」と「食べる」の違いは間違いなく使えると思います。

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