第62回 時代に置いてけぼりを食った医学用語のハングル化

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この連載の第24回(2012年11月14日)に,韓国では医学用語を易しくわかりやすいものにしようと,言い換え運動が起こったと言う記事を書きました。きょうはその続編です。

韓国では,若い世代に漢字教育をしないため「音」から意味をくみ取ることができなくなってしまっています。たとえば,삼차신경を「三次神経」と書く学生や医師がいると言います。嘆かわしいことです。

韓国の統計庁は「韓国標準疾病・死因分類」に出ている漢字語,ラテン語,日本語式疾病用語および身体部位の名前を,2003年1月から韓国固有の言葉で書き直すようにと言う通達を出しました。

たとえば안구건조증〈眼球乾燥症を〉눈마름증に,견갑골〈肩甲骨〉を어깨뼈に,한진〈汗疹〉は땀띠に,한선〈汗腺〉は땀샘に,맥립종〈麥粒腫〉は다래끼に,소양증〈搔痒症〉は가려움にという具合です。

韓国語を学習している日本人にとっては,固有語が増えるとかえって意味がわかりにくくなりますが,韓国人にとっては漢字語を使おうが,ハングル固有語表記をしようが,一般の人にとってさほど理解力は変わらないのではないかと思います。

しかし専門用語とふだん日常で使っている言葉との間には説明しがたい微妙な違いがあります。漢字語だからこそ的確に表現できるという漢字の利点を忘れて専門用語を易しい言葉に変えたことにより,専門家たちにとってはかえって不便が生じることとなりました。

たとえば,前回の改訂では지라,이자,창자,염통,허파などの固有語も,本来ならば人間以外の動物の臓器に対して使われていたものを,あえて,人の体にも適用させようとしたのです。これらは専門用語では,それぞれ비장〈脾臟〉,췌장〈膵臟〉,장〈腸〉,심장〈心臟〉,폐〈肺〉に相当するもので,지라と医学用語の비장〈脾臟〉は同等ではないという見解に達したのです。

つまり漢字の利点を考えずに,ただ漢字語=日本式だと言う感情論として漢字語を否定し,医学用語だけに限らずどんどん学術用語を「固有語」に変えた結果,結局は現場に混乱が起き,再び元にもどさざるを得なくなったのです。

*敢えて漢字を付記しませんでしたので各自考えてください(右側が復活したもともと使っていた漢字語の術語です)。

손저림증 → 수근관증후근
손발입병 → 수족구병
콩팥 → 신장
갑상샘 → 갑상선
넓적다리뼈 → 대퇴골
무릎뼈 → 슬개골
단단입청장 → 경구개

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