第49回 南北の言葉の違い

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ピョンヤン・万寿台の金日成の銅像(2002年)

ピョンヤン・万寿台の金日成の銅像(2002年)。
現在は新しく建て替えられて隣に
金正日の像が並んでたっている。

飯島内閣官房参与の北朝鮮への電撃訪問が話題になっています。日本からは通訳が付いていったのでしょうか。心配なところです。

さて,南と北が分断されてから長い年月がたちます。北朝鮮では1948年に한글 맞춤법 통일안の一部を改め,ハングルの配列順も変えてしまいましたので,いまは南北の辞書では単語の配列が違います。正書法(맞춤법)の中で一番大きな違いは,北では漢字音をそのままの音で書くことに決めたことです。つまり南で用いられている「頭音法則」が適用されていないと言うことです。つまり,ㄴ, ㄹが語頭に来ても여자, 노동とは書かずに녀자, 로동と書いて,その通りに発音するのです。南では「分裂」を분열と書いて[부녈]と発音しますが,北ではそのまま분렬と書いて [분렬] と言います。しかし,ㄴとㄹの音を続けてそのまま発音するのは容易ではありません。

사이시옷の書き方も南北で違ってきてしまいました。1988年に韓国で手直しされた한글 맟춤법は「改悪」と言わざるを得ません。固有語であれ,漢字語であれ사이이옷が使われていたものを,漢字語に関しては곳간, 셋방, 숫자, 찻잔, 툇간, 횟수の6つの言葉に限って適用すると決めたのです。

곳간は「蔵」のことです。漢字で「庫間」と書き[고깐]または[곧깐]と発音します。

셋방は「貸間」のことです。「貰房」と書き[세ː빵]または[섿ː빵] と発音します。단칸 셋방と言ったら「四畳半一間の貸間」というニュアンスです。「部屋を借りる」は셋방을 얻다です。

次の숫자は「数字」のことです。「數字」と書き[수ː짜]または[숟ː짜] と発音します。

찻잔は「茶盞」と書き「湯飲み」のことです。[차짠]または[찯짠] と発音します。

툇간は「退間」で,これは「母屋の横に張り出して作った物置などに使われる部屋」のことです。[퇴ː깐]または[퉫ː깐]と発音します。

最後は횟수で「回数」のことです。「回數」と書き[회쑤]または[휃쑤] と発音します。

上の6つ以外の漢字語には사이시옷が使えなくなり,字を見ただけでは正しい発音ができなくなりました。いままで「代価」は댓가と書いて[대ː까]と読んでいたものを,대가と書かなければならず [대ː가] と発音する「大家」と,字を見ただけでは区別がつかなくなりました。

「少将〈小將〉」「小腸」「所長」はハングルで소장と書いて [소ː장]と発音しますが「訴状〈訴狀〉」は솟장ではなく,소장と書いて[소짱]と発音します。

「湖〈湖水〉[発音は호수]」と「号数〈號數〉[発音は홋ː쑤]」も,호수と書かねばならず,ハングルでは区別がつかなくなってしまいました。

「バラ色」という場合は,漢字語である薔薇(장미)と固有語である光(빛)の合成語ですので장밋빛というように사이시옷を入れて書いてもいいことになっていますが「バラ科」と言うときはすべてが漢字語ですので,사이시옷は使えず장미과と書かなければならないという不合理も生じました。

北ではどうかと言いますと,1966年以降は,사이시옷は使われていなかったのです。韓国では냇가(川辺),빗발(雨足),훗날(後日)と書くものを,北では내가,비발,후날と書いて, [내ː까] [비빨] [훈ː날]のように発音していました。

しかしこれではやはり不便だと感じたのでしょう。1988年に出された北の규범집(規法集)では混乱を避けるために,새별(新星)と샛별(金星)のようにいくつかの単語は,発音の区別がしやすくなるように사이시옷を書くようにしたそうです。そうはいってもこの사이시옷も南北では規定がばらばらです。言葉の表記法や標準語の設定など,こちらの統一も簡単にはいきそうにもありません。

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