第36回 こっちなの?あっちなの?

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トラベル韓国語会話手帳私が韓国語を勉強し始めてから,もうかれこれ30年以上になります。当時は韓流ブームなどとはほど遠く,韓国に個人旅行する人などほとんどいない時代でした。その頃の韓国語会話のテキストが出てきましたのでパラパラとめくってみました(語研・1984年10月初版)。

昔のサザエさん,フクちゃん風のイラストとともに,こんな会話が載っています。
“여권 보여 주세요.”
今の時代,入国審査の列に並んでいて,こんな会話はほとんど使わないでしょう。

その本をさらに開いていくと,店員さんなどに呼びかける時,こんなふうに言うように書いてあります。
“여보세요!”

これは,老若男女,誰にでも使える非常に便利な表現でした。しかし,今ではこんな古い言い方をしたら失笑を買うかもしれません(笑)。“아가씨!”,“아저씨!”,なんて言い方も載っていましたね。しかし,これらの言葉も,相手が嫌がる言葉としてだんだんと姿を消してしまいました。では,今はどうやって他人に呼びかけたらいいのでしょうか。

“여기요, 주문요!”(すみません,注文お願いします)
“여기요, 물 좀 주세요.”(すみません。お冷やください)
せっかちな韓国人は,何かあると,こう大声を張り上げて従業員を呼びます。

このように,最近では親しくない人や,あまり知らない人を呼ぶ時は,“여기요!”と言うのが一般的です。

この“여기요.”は直訳すると「ここです」という意味で,それが転じて,“이쪽으로 와 주세요.”つまり 「こっちに来てください」「自分に関心を向けてください」という意味で使われるようになりました。

この여기요と同じようによく使われる言葉に저기요というのがあります。
여기요の代わりに저기요と言う人も少なくありません。
この二つの言い方は,ほぼ同じ意味で使われているといってもいいでしょう。

しかし“여기요.”は「こっちに来てください」なのに,“저기요!”は「あっちに」…,と考えるとおかしいことになります。

여기요は「指示代名詞・여기+尊称・요」ですが,저기요は「感嘆詞・저기+尊称・요」の構造を持っていて,両者は「文法的構造」が違うのです。

저기요の저기は,何か思い出さないときや,何か言葉に出すのが気まずいときに発する,저が저기になり,それにていねいの요が付いた形です。日本語でも「あのぅ」というが,それが저기요です。つまり저기요は「あちら」を意味する저기とは関係がない語なのです。

“저[저기, 저기요], 말씀 좀 여쭙겠습니다. ”(あのぅ,ちょっとお伺いしますが)
“저기요, 물 좀 주세요.”(あのぅ,お冷やください)

ほんの少しの違いでも,知っていて使うのと知らないで使うのとでは大違いです。

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