第34回 千字文 実用性のない漢字の勉強

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千字文日中国交正常化40周年と,東京国立博物館140周年を記念して,「書聖 王羲之(おうぎし)」展が3月3日まで上野の森で開かれています。

王羲之は,中国4世紀の東晋時代に活躍した書家です。その書は歴代の皇帝にも愛好されたと言われていますが,その書は,千字文(천자문)にも採用されていたのです。

千字文は,子供に漢字を教えるために用いられた漢文の長詩で,中国の梁(502~557)の時代の武帝が文章家の周興嗣(주흥사)に命じて,王羲之(왕희지)の書の中から1,000字を選び,すべて4字1句の重複のない125首の対の文に仕立てさせたものです。詩は宇宙,政治,忠孝,人間の行動規範などを詠んだもので,1ページ目を開くと写真のように「天地玄黄,宇宙洪荒…」というように4字の熟語が並んでいます。そして,それぞれの漢字の下には하늘 천, 따(땅)지, 검을 현, 누를 황…というように,字の読み方と意味が書かれています。

「天地玄黄」という千字文の漢字の配列は,ものの順番をつけるときにも用いられていました。朝鮮時代の重火器のひとつに天字銃筒(천자총통)というのがあります。長さ180㎝,重さが30㎏もある巨大な大将軍箭(대장군전)という矢を撃つのに使われた武器です。次の級の地字銃筒(지자 총통)は将軍箭(장군전)を,玄字銃筒(현자 총통)は次大箭(자대전)を,黄字銃筒(황자 총통)は皮翎大箭(피령대전)を撃つのにそれぞれ使われました。矢を撃つ銃筒の大きさが「天地玄黄」の順になっているんですね。

また,ソウル市内の景福宮(경복궁)に行ってみると,勤政殿(근정전)の裏に東西に長く建てられた倉庫があり,端から千字文の順番に,天字庫(천자고),地字庫(지자고),玄字庫(현자고),黄字庫(황자고)…という名前が付いています。

周興嗣は一夜でこの千字文を考え,皇帝に進上したときには白髪になっていたという伝説がありますが,MacもWindowsもない時代に,まったくの頭の中で1,000もの漢字を重複なしに,このような含蓄のある文に仕立て上げたということはすごいと思いませんか。

みなさんの中には「千字文」は易しい漢字を1,000字集めたものだと思い,1冊買って勉強しようと思った人もいるでしょう。でも,やめた方が良さそうです。今の時代にこの「千字文」で漢字の勉強をする人はよっぽどの変わり者です。ここに含まれている漢字は,現在の我々の置かれている状況からして,実用性も使用頻度も低いものが結構含まれているからです。

逆によく使われる漢字の中で,千字文の中にないものがありますが,山,川,海,水,空のうちどれでしょうか。

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