第24回 医学用語は易しい表記へ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

医学用語は易しい表記へ イメージ韓国では,いまから10年ほど前に,一般の人向けに,医学用語を易しくわかりやすいものにしようという言い換え運動が起こりました。当時の韓国の統計庁は「韓国標準疾病・死因分類」に出ている漢字語,ラテン語,日本語式疾病用語および身体部位の名前を,韓国固有の言葉で書き直すようにと言う通達を出したのです。

しかし,長い間使ってきた専門用語を変えるというのは,簡単なことではありません。まして,専門用語とふだん日常で使っている言葉との間には説明しがたい微妙な違いがありますから,専門用語を易しい言葉に変えたと言っても越えられない壁は存在するのです。

韓国では「漢方医学」を韓醫學(한의학)に変えてしまった悪しき前例があります(もっとも彼らにしてみれば,中国の漢方と韓国の韓方は違う,という考えなのでしょうが)。

日韓の間では,漢字があるからお互いに意志の疎通ができている,と思うのはすでに昔の話かも知れません。若い世代では日本語を勉強している学生以外は,筆談で漢字を書いてもほとんど通じなくなっていると思います。

医学用語だけに限らず,韓国では漢字語を否定し,たかが日本式だと言うだけでどんどん用語を変えてしまいます。漢字語だからこそ的確に表現できるという漢字の利点を忘れています。いや,韓国では,若い世代に漢字教育をしないから「音」から意味をくみ取ることができなくなってしまっているので,漢字の利点なんて考えていないのかも知れません。

たとえば肩甲骨(견갑골)を,어깨뼈(肩の骨)と言い換えなさいといっても,「鎖骨」だって肩の骨ですからね。こっちの方は何というのかということになります。

韓国語を勉強している日本人にとって,固有語が増えるとかえって意味がわかりにくくなりますが,韓国人にとっては안구건조증(*1)と言うよりは,눈마름증(*2)とハングルで固有語表記をしたほうが,理解力がやや増すようです。(*1:眼球乾燥症 *2:目乾き症)

しかし,수족구병を손발입병と言い換えることはあまり普及しませんでした。ちなみに수족구병は手足口病です。日本語ではまさに손발입병(てあしくち病)なのにと思うと,この言い換えが普及しなかったのは不思議です。

もう一つ普及しなかった言い換えが골다공증を뼈엉성증と言い換えよと言うものです。골다공증は読んで字のごとく骨粗鬆症ですが,뼈엉성증と言うのは,敢えて翻訳すると「骨(ほね)すかすか病」です。엉성하다と言うのは,締まりがない,間が抜けているという意味の形容詞です。なにかふざけた名前に聞こえませんか。


その他の「成功した」言い換え例:

수근관증후근 → 손저림증
手根管症候群 → 手しびれ症

맥립종 → 다래끼
麦粒腫 → ものもらい

소양증 → 가려움
掻痒症 → かゆみ

누선염 → 눈물샘염
涙腺炎 → 涙の泉炎

한진 → 땀띠
汗疹 → あせも

韓国語翻訳のお問い合わせはインターブックスにどうぞ

それぞれの国の事情を理解したネイティブ翻訳者が翻訳を担当いたします。
韓国語DTPにも対応いたします。
電話番号 03-5212-4652
お問合せはこちら

関連する記事