第183回 背景の文化

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伊藤が中国に留学していた頃、中国人としゃべっている時に、何かについて質問されました。内容は忘れてしまいましたが、その時伊藤は答えに自信が無かったので「多分そうでしょうね。」と言うつもりで、

可能……。
kě néng

と言ったのです。すると、聞いていた中国人が僕の口真似をしながら「可能……」と言いながら笑い転げるのです。

何が面白いのか尋ねてみると、伊藤さんはいつもそう言うから面白くて、とのこと。

なるほど。確かに中国人の口からそうたびたびは「可能kě néng」とか「也许yě xŭ(〜かもしれない)」といった自信のない言葉は聞こえてこないようにも思いますね。

一概には言えませんが、確かに中国人って多くの場合自信に満ち溢れています(笑)。中国に個人で旅行に行ったことのある人は、旅行代理店などで列車のチケットの手配をお願いすると

没问题!
méi wèn tí
問題ない。大丈夫。

と自信満々に言われて安心していると実は希望の列車のチケットが取れなかった、というような経験をしたことがある人もいるのではないでしょうか。

大雑把に言って、日本人は断言しない、中国人は断言しちゃう、という傾向があるようです。ですから、冒頭でご紹介したエピソードでは、伊藤はどうも断言したくなかったので「多分ね」みたいな答え方をして中国人に違和感を与えてしまったのでしょう。

中国語として正しくても、そして実際にそういう言い方があったとしても、中国の文化としてはあまりそう言わない、という場合、連発すると相手に違和感を与えるのですね〜。

話は変わりますが、先日友達の中国人夫婦の家で新年会をやるというので僕も参加させてもらいました。

餃子パーティということで、僕も久しぶりに餃子を包み、楽しかったです。餃子の皮もちゃんと小麦粉を水で練りこんで作るのです。留学時代によく中国人の家でやっているのを見ていましたが、日本でやるのは初めてでした。

さて、時間も遅くなったのでみんなでおいとましようということになり、ホスト役の中国人夫妻がマンションの下まで一緒に降りてきてくれたのですが、その時奥さんがみんなに言いました。

我不送了!
wŏ bú sòng le
(みんなを)見送らないことにする。

もう見送りはここまでにする、ここから私たちは帰る、みんな駅まで行けるよね?というような感じでこういうことを言うのです。これは中国語ではよく聞かれる表現だと思います。

日本では、これはあまりホスト側から言いませんよね。多分、ゲスト側が「もうここまでで結構です。」とかなんとか言って、見送りを遠慮するのが日本風。もちろん中国でも日本風の状況が無いわけではないのですが(ゲスト側が「不送,不送!」と言ったりします)、意外とアッケラカンとホスト側が「見送らないよ」と言ってくれます。お互い気を使わない関係が多い中国では全然おかしくないのです。日本で中国風に「もう見送りはしませんからね。」なんて言うと、ちょっと冷たいと思われるかも。言い方にもよるし、相手との関係の度合いにもよりますけどね。

言葉って、背景の文化も背負っていますから、ちょっと厄介です。どんなにペラペラ話せても、背景の文化が分かっていなければ、相手に違和感を与えたり、ひどい時は相手に不快感を与えることもありますから、気をつけたいものです。

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