第180回 月に代わっておしおきよ!

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このタイトルの台詞、皆さんはご存知でしょうか?もう古いでしょうかねー。

そう、漫画『美少女戦士セーラームーン』の決め台詞ですよね。

僕はこの漫画を全然見たことがないのですが、この決め台詞「月に代わっておしおきよ!」くらいは聞いたことがあります。よほど流行っていたのだろうと思いますね。

いつだったか、テレビで台湾出身のタレントのビビアン・スーさんが出ていました。彼女は小さい頃セーラームーンが大好きだったようで、「月に代わっておしおきよ!」の台詞を中国語で言ってくれました。

我要代表月亮,消灭你们!
wŏ yào dài biăo yuè liang, xiāo miè nĭ men
(直訳)私は月に代わってお前たちを殲滅してやる!

ここで、中国語では「代表dài biăo」という動詞を使っています。

この動詞は「代表する」と訳されることが多いのですが、僕は日本語の「代表する」という動詞と全く同じ意味ではないような気がしています。たとえばこのセーラームーンの中国語の決め台詞をこんなふうに日本語に訳すと、違和感がありませんか?

「私は月を代表してお前たちを殲滅してやる!」

たとえば、もし月に多くの人が住んでいてコミュニティを作っていたとして、地球に住む人と交流会でもする時の月側の人の代表者の挨拶の中で「私は月を代表いたしまして一言ご挨拶申し上げます」と言うのであれば、おかしくないですが、月という単体を「代表して」、と言うのは、なんだか僕にはおかしく感じます。

つまり、日本語の「代表する」は、1つの団体とかコミュニティとか、少なくとも2人以上の人からなるグループの中から1人を選んで、その人にグループの総意を表明させる、というような場合に使うと思うのです。

ところが、中国語の「代表dài biăo」は、グループでなくてもいいみたいです。個人でもいいのですね。ところが、そういった場合日本語では「代表する」とは言わず「代わる、代理をする」と言うと思うのです。

たとえば、「妻が私を代表して伺います。」と言いますかね?ふつうは「妻が私の代理で伺います。」のように言うのではないでしょうか。

ところが中国語ではこういうふうに言うことができます。

我爱人代表我去。
wŏ ài ren dài biăo wŏ qù
私の妻(夫?)が私の代理で伺います。

中国語も日本語も同じ漢字という文字を使うので、中国語を習ったことの無い日本人でも、見ればなんとなく意味がわかる、ということがままありますよね。日本語と中国語で意味がほとんど変わらないものは安心ですし、見た目は同じ字面なのに意味が全く違うものは注意するのでかえって大丈夫だったりします。しかし「代表」のようにほとんど同じなのに少しずれている単語は要注意です。よ〜く用例を観察すると、今まで全く同じだと思っていた言葉に少しズレが見えてきたりします。

他にも、例えば:

椅子
yĭ zi

この単語は日本語にもありますよね。そう、「いす」です。

でも、この単語の表すモノと日本語の「いす」の指すモノとは少しずれています。

実は、中国語の「椅子yĭ zi」は背もたれのあるいすのみを指します。背もたれのないいすは、「凳子dèng zi」と言い、違う単語なのです。

日本語は、背もたれがあろうとなかろうと、どちらも「いす」です。

日本語と中国語で微妙にずれている単語って、意外と多そうです。色々調べてみると面白いかもしれませんね。

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