第176回 北京偏重

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前回、中華料理屋のおばさんの中国語が南方風だったという話を書きました。

その根拠の1つが、巻舌音が少し弱いということでした。

つまり、巻舌音はピンインでzh / ch / shのように表記するわけですが、あたかも h がなくなってしまったような音になってしまっていたのです。例えば:

张zhāng→zāng
是shì→sì

といった感じです。これは南方の人の話す普通話の特徴の1つです。

これについて、読者の方からご意見をいただきました。

「hの欠落が、南方の特有と言うことですけど、それには確かに反対もしないのですが、東北でも結構ありますよ。」

おっしゃるとおりです。実は東北も結構hが欠落するのです。

僕も中国をくまなく旅したわけではないですし(実は長江流域以南はほとんど行っていません…苦笑)、東北だって瀋陽と大連しか行ったことがありませんので偉そうなことは言えないのですが、瀋陽も大連も「スースー」言っていましたねぇ。聞くところによると、黒龍江省のハルピンはきれいな普通話を話す地域だという話ですが、どうなのでしょうか。

また、西安も似たような状態。面白かったのは、西安で乗ったタクシーの運ちゃん、空海(弘法大師)が建てたという「青龍寺」というお寺に連れて行ってくれたのですが、その時の「青龍寺」の発音が、ちょっとおかしかったのです。

「青龍寺(青龙寺)」は普通話では「qīng lóng sì」と発音しますが、この運ちゃんは「qīng lóng shì」と発音していたのです!

なんでしょね。彼はもしかしたら、自分たちの方言が「shi」を「si」と発音することに気づいていて、「si」と発音するものを全て「shi」と変換して発音していたために元から「sì」と発音する「寺」という字まで「shì」と発音してしまったのでしょうか(笑)。

この現象はさておき、読者の方のご意見のとおり、東北や西安のような北方でも巻舌音のhの欠落現象が見られるわけで、実は南方だけの特徴ではない、というのが真実のようです。

逆に言えば、ちゃんと巻舌音を発音している地域って、どのくらいあるのでしょうか。

ちゃんと統計を取ったわけではないので、あくまで僕の感触ですが、巻舌音ができるのは実は北京だけではないかとさえ思ってしまうくらい、巻舌音を発音している地域って少なそうな気がします。(もちろん最近はきれいに巻舌音を発音できる人も増えていますし、皆さん引越だってするでしょうから、1人や2人の例を以ってその地域の代表とすることはできませんけどね。)

そうやって考えると、この普通話って無理がありますね〜。あまりにも北京に偏りすぎているように見えます。

中国は、時間も北京時間に則っていますよね。北京は中国全体からみると東の果てに位置します。それにもかかわらず、標準時は北京時間なのです。ですから、西の方のシルクロードの地域ですら北京時間が採用されているのですが、実際には約2時間の時差があるようです。現地のウイグル族の人々は北京時間とは別に新疆時間というのに則って生活しているようで、北京時間の午後2時ごろにお昼ご飯を食べるのですよ。なんだかややこしいですね〜。

普通話も、標準時も、ちょっと北京に偏りすぎですよね。首都だから当然だと言われれば、仕方ないですけど。まぁ、今更普通話の発音体系を変更されても、こっちとしては困りますがね(笑)。

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