第162回 聞いて反応できるかどうか

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杜の都「仙台」。きれいな街ですよね。この美しい街で、3年に一度、国際音楽コンクールが開かれます。第1回は2001年に行われました。第2回が2004年、第3回が2007年、第4回が2010年、そして2011年の東日本大震災にも負けず、第5回が2013年に予定通り開催されました。本当によかったと思います。

実は僕は、第2回と第3回と第4回に呼んでいただきました。といっても、音楽については素人の域を出ない伊藤ですから、当然音楽関係で呼ばれているのではなく、通訳として呼ばれたのです。

どんな通訳をするのか、というと、国際音楽コンクールですから審査員も出場者も国際色豊かです。当然中国からもお見えになります。伊藤の仕事は、主に、中国人の審査員の通訳です。

音楽が大好きな伊藤ですから、この仕事は本当に楽しい素敵な仕事です。ただ、音楽関係の通訳というのは、結構難しいです。どの分野でもそうですが、専門用語が結構やっかいです。

三回目ともなると、仕事内容にはすっかり慣れてやりやすくはなったのですが、音楽用語だけは、どんなに仕入れても足りない。いや、せっかく調べても8割方は使わないのですが、反対に聞き取れない単語、もしくは中国語でどういえばいいか分からない単語が、毎回必ず1つは出てきます。いやはやまったく。

以前、ピアノ部門の予選で敗退した出場者と審査員の先生方との交流会で、中国人の先生が日本人の出場者にアドバイスをしているのを通訳していた時、「黑键练习曲hēi jiàn liàn xí qŭ」という言葉が出てきました。

漢字で見ればすぐ分かりますよね。ピアノの黒鍵の練習曲。すなわち、ショパンのエチュード第5番変ト長調Op.10-5。まぁ作品番号とかまで分かっていなくても、「黒鍵のエチュード」というのがあるのだな、くらいは、漢字を見れば分かります。

しかし通訳というのは、発音を聞いて反応できなければならないわけですよね。これが結構大変。知識がないと突然「黑键hēi jiàn」と言われても反応できません。

この時は、「おそらく『黑键』とおっしゃったんだろうな」と想像し、恐る恐る「黒鍵のエチュードを課題曲で選んでいたと思うのですが、、、」というように言って相手の反応を確かめたりしました。内心冷や汗タラタラです。どんなにしっかり準備しても、冷や汗の場面が必ず1回はあるのですよねぇ。

この仕事が終わるといつも「次回までの3年間じっくり知識を仕入れるぞ!」とは思うのですが、どうしても日々の忙しさに取り紛れて、結局近づいてきて慌てだす。まったく進歩の無い伊藤です。まぁ2013年の第5回は中国人の先生を呼ばなかったとのことで、僕もお呼びがかかりませんでしたが(苦笑)。

通訳のような場面でなくても、ふだんからやはり「耳で聞いて反応できるようにしておく」というのは必要な練習だと思っています。

我々日本人は、漢字が読めてしまうので、つい色々な単語を知っている気になってしまうのですが、自分でも発音でき、耳で聞いて反応できて初めてその単語を「覚えた」ことになるのですね。

たとえば、日本人なら誰でも知っている「富士山」という固有名詞。これを中国人は中国語読みで「fù shì shān」と読みます。

我々は日本で生活しているわけですから、「富士山」という単語を知らないはずはありませんよね?でも「fù shì shān」と聞いて反応できなければ、(中国語を話す時限定ですが)「富士山」のことを知っていることにはならないわけです。

まぁこれは少し極端な例ではありますが、ふだんから単語を覚える時は、自分でも発音して、できればCDなどで正しい音を聞いて、音声としてその単語をとらえるような勉強方法をするのがオススメです。

そういえば僕は、初めて中国語を教わった先生(日本人)から「発音や声調を間違えるなんてことはありえない。そんなことは、テープを聴いていたら絶対に起こりえないはずだ。君たちはどんな勉強方法をやっとるんだ!」と、すごい剣幕でしかられたことがあります。

あの時は、そんなに怒らなくても〜、と思いましたが(笑)、今思うと、あれだけしっかり厳しくしてくださったのは確かに「愛のムチ」であったな、と思いますねぇ。

皆さんも、音声で反応できるように、頑張ってくださいね(←自戒もこめて…苦笑)。

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