第146回 素振り練習

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僕は中国語を教えさせていただく時に、基本的に発音重視でやっています。もちろん、発音に縛られすぎると萎縮して話せなくなってしまうので、実践では大胆に、自宅や教室では細やかに、というのが僕のモットーです。

声調の練習もしかり。僕がよく言うのは、声調の練習は球技で言えば素振り練習だ、ということです。

たとえば中学に入ってテニス部に入ったとしましょう。僕は経験がないですが、友達たちは最初のうちはとにかくず~っとラケットの素振りをやらされていたような気がします。

つまらない練習だろうとは思いますが、これによって正しいフォームが身につくわけですよね。頭で理解するのではなく、体に動きを覚えこませるわけです。

声調の練習もしかり。頭で「第1声は高く平ら」「第2声は云々」というふうに覚えてもぜんぜんだめで、やはり体で覚えなければなりません。そのために、最初の1~2ヶ月は毎回声調の練習をしますし、その後も適宜声調について練習してもらったりしています。

そして、正しいフォームが身についたら、変化球にも対応できますよね。多少フォームが崩れそうになっても、体が覚えているので完全に崩れてしまうことはありません。声調もしかり。声調がしっかり身についていれば、多少感情をこめて言葉を発しても、声調がわからなくなるほどに崩れることはありません。

ですから、まずは声調の練習をしっかりして体に覚えこませる必要があるのですが、ちょっとだけ、崩し方をお教えしましょうかね。(裏技を教える進学塾のようですが…笑)

ちょっと、次の言葉を発音してみましょう。

三国演义
sān guó yăn yì
(いわゆる『三国志』のこと)

ある人から「『国』という字は第2声の字だと思うのですが、中国人の話しているのを聞くと sān guō yăn yì というように聞こえます。僕の耳がおかしいのでしょうか?」と質問されました。

いやいやいや、耳がおかしいどころか、相当耳の敏感な人ですよね。この人のおっしゃるとおり、この場合の「国」は限りなく第1声に近く発音されることが多いようです。

もちろんゆっくり発音すると、ちゃんと第2声で発音されるのですが、ふつうの速さでしゃべると、第1声の「sān」を発音した直後ですから第2声を発音しようと声を低くすることは、さすがの中国人でも難しいわけです。

ですから、第1声の直後の第2声は、あまり低くない状態から引き上げるようにして発音するのですが、事実上そんなに上がり調子に発音できないので、第1声のように聞こえてしまうわけです。

次の文も面白いことが起こります。

我比你小五岁。
Wŏ bĭ nĭ xiăo wŭ suì
私はあなたより5歳年下です。

第3声がたくさん並んでいますね。

第3声は2つ並ぶと前の第3声が第2声に変わります。たとえば「我走。Wŏ zŏu. 私が行く。」なら、実際の発音は「wó zŏu」となるわけです。ですから上記の文は実際にはこんな発音になるわけです。

我比你小五岁。
Wó bí ní xiáo wŭ suì

さて、このように第2声が続くのも、ちゃんと発音するのは結構大変です。何度も声をいったん低くしてから引き上げるのを高速で(笑)連発しなければならないからです。

ですから、第2声が続く場合も先ほどと同じような現象が起こり、2回目以降の第2声は第1声のように発音されます。

つまり、上記の文はこんなふうに聞こえると思います。

Wó bī nī xiāo wŭ suì.

第3声が続くから低く抑えてばかりいるのかと思いきや、実は結構高い声になるのですねぇ。

何のことかよくわからない場合は、近くにいる中国人に早口で読んでもらって下さい。実際の声調どおりに発音しているようには聞こえないと思いますよ。

でも、これも自分でやろうと思ってやらなくても、きっちりフォームが身についていたら、早く読めば勝手に第1声に近くなります。だからやっぱり初心者の皆さんがやるべきことは、まずは正しい声調の練習であることに変わりありません。語学に王道なし。地道にがんばりましょうね。(自戒もこめて…笑)。

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