第144回 挨拶

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何語でも、新たに外国語を勉強するとき、とりあえず挨拶言葉を覚えたいですよね。挨拶言葉さえ覚えれば、とりあえず相手との距離を縮めてコミュニケーションをとった気持ちになれて楽しいです。

というわけで、よく中国語での挨拶言葉を教えてほしいと言われることがあるのですが、なんとなく困っちゃうことがあります。中国語ってあまり形式的な挨拶はしないんですよね〜。

もちろん、有名な「ニーハオ(你好nĭ hăo)」は挨拶言葉です。「こんにちは」と訳されていますよね。それから「おはようございます」なら「早上好zăo shang hăo」、「こんばんは」なら「晚上好wăn shang hăo」、「おやすみ」なら「晚安wăn ān」というように、一応言葉は用意されています。しかし、親しくなるとそんなに頻繁には言わないようです。

こういう決まりきった言い方ではなく、普通の言葉を使って意味のあるやり取りで挨拶しているような気がしますねぇ。

日本の中国語学習者たちの間で古くから時々話題にのぼる中国語の挨拶で、こういうものがあります。

吃饭了吗?
chī fàn le ma

直訳すると「ご飯食べましたか?」ですが、これが庶民の挨拶のように紹介されることが以前は多かったようです。ご存知ですか?

実は先日、久しぶりにある生徒さんから「吃饭了吗?」について質問を受けました。その生徒さんは、「この言葉は英語のHow are you ? のような感じで使うと聞いたことがあるのですが、本当ですか?」とおっしゃるのです。

僕もこれについては昔何かの本で読んだことがありました。食糧事情の悪かった中国では庶民は食事をちゃんとしているかどうかお互いに確かめ合うのが習慣のようになっていて、顔を合わせると「吃饭了吗?」と尋ねあっていたのだ、というような説明だったと記憶しています。

これにしても、決して形式的な単なる挨拶言葉ではなく、本当に相手が食事したかどうか聞いているわけで、言われた相手は「吃了chī le(食べたよ)」とか「没有méi yŏu(まだだよ)」というように返事するのだと思いますので、しっかり意味を持ったやり取りでしょう?中国語はこういうふつうの表現を使って顔を合わせたとたんにふつうの会話を始めるのだ、と思っておいたほうがいいように思います。

でも、ひとつ、面白いな〜と思う挨拶があります。誰もそんなに意識していないのか、他の人が指摘しているのをあまり聞いたことがないのですが、僕には不思議に見えるのです。

北京でバスに乗っていた時、2歳くらいの小さい子供が親に抱っこされて乗ってきました。ちょうど僕が立っているところにきたので、カワイイナ〜と思って顔芸などしていたのですが(笑)、親がそれに気づいて子供に言いました。

叫叔叔。
jiào shū shu
(直訳)おじさんって言いなさい

すると子供は僕に向かって「叔叔!」と一声大きな声で呼んでくれました。かわいい〜(笑)。

まぁ、これなんか日本だと「『こんにちは』は?」とか言って子供に「こんにちは」と言うよう促す場面に相当すると思うのですが、中国では相手のことを呼ぶことが一種の挨拶のような感じなのかなぁと思ったのです。

もちろん、呼ぶといっても相手の名前を呼ぶのではなく、この場合は「おじさん」というように相手の年齢的な呼び名や、「老師lao3 shi1」のような肩書きのようなものです。要するに、相手に対しての態度表明なのでしょうね。私はあなたを「おじさん」と呼びますが、あなたを上の世代の人として尊敬しますよ、というような態度表明。それをすることで挨拶に代えるような、そういう表現なのかなと感じています。

余談ですが、この経験はまだ21歳くらいの頃のこと。「おじさん」と呼ばれるにはまだ早い年齢だったのですが、中国ではこれがふつう。相手をちょっと上の言い方で呼ぶほうが尊敬の念をあらわすことになるらしいです。相手がうら若き女性だったら「阿姨ā yí(直訳:おばさん)」と言われます。「あーいー」って呼ばれても怒ってはいけませんよ(笑)。

逆に、けっこう年上の相手を自分と同じ世代として例えば「哥哥gēge」「姐姐jiějie」と呼ぶと大変失礼になるそうです。また、相手を自分より下の世代の者あつかいすることで相手を貶めることができます。その有名な例が、こんなののしり言葉です。

我孙子
wŏ sūn zi
(直訳)わたしの孫

同世代くらいの相手にこの言葉を言うと、相手を自分より2つも下の世代とすることになり、相手を貶めることになるのです。日本語の世界に生きる我々には、どうして「わたしの孫!」と言われて腹が立つのか、ちょっと感覚がつかみにくいですね。

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