第127回 時代劇

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レッドクリフpart2、ご覧になりましたか?

なんだか、あまり話題にならなかったところを見ると、そんなに評判よくなかったということなのでしょうか。

ただ、時代劇にしては中国語が分かりやすかったので、中国語の勉強という意味では結構いいと思います。

時代物の映画やドラマ、中国にももちろんあるわけですが、中国語が難しいです。日本の時代劇でも、日常使わないような言葉や言い回しが出てきますから、中国の時代劇の言葉が難しいというのも想像がつくのではないでしょうか。

そういえば、ブラジル出身のタレントのマルシアさんは、日本の時代劇を見て日本語を勉強したとか。確かにテレビに出始めた頃のマルシアさんの日本語は必要以上に丁寧だったりして面白かったのを覚えています。

中国の時代劇がどうして難しいかというと、やはりちょっと文語調だからです。文語というと、何のことかというと、皆さんが中学や高校の国語の時間に習った「漢文」です。

現代の中国語を勉強している皆さんはもうお気づきでしょうが、現代の中国語と「漢文」は結構違いますよね?基本の基本は同じでも、かなり違います。だから、中国の時代劇を見ても分からない、分かりにくいのは当然です。

今日はちょっとだけ、時代劇の中国語を一緒に見てみましょう。日常会話にはほとんと使うことはありませんが、冗談で言ってみると意外とウケルかもしれません(笑)。

●也

「也ye3」は現代中国語では「~も」の意味になっていますが、我々日本人としては「AはBなり。」という時の断定の助動詞「なり」というイメージが強いですよね?実は中国の時代劇でも、この「断定」の意味の「也」はよく出てきます。

たとえば、ドラマ『三国志』の中に「煮酒论英雄zhŭ jiŭ lùn yīng xióng(酒を煮て英雄を論ず)」という有名なシーンがあります。

まだ曹操と劉備がはっきり敵味方の関係になっていないころ、曹操は劉備のことを次第に恐れるようになってきました。このまま放置すればいつか大きな敵になるのではないか、と。

ある日曹操は劉備が本当のところはどういう男なのか、どういう考えを持っているのか見極めようと思い、呼び出して酒を飲みながら色々話をしました。

曹操:当世の英雄とは一体誰であろうか?

劉備:袁紹などはいかがでしょう。英雄とは申せませんか?

曹操:袁紹のような小心者、英雄とは申せん。

とまぁ、こんな会話が続くのですが、「英雄とは申せん」というところで中国語では「非英雄也。fēi yīng xióng yě(英雄にあらざるなり)」と言っています。

こんなふうに、文末に「也yě」が来るなんて、現代語ではありえませんから、初めて聞いたときはなんだか不思議でした。慣れると、「ああ、文語っぽくてカッコイイ」とか思ってしまいますが(笑)。

ちなみに、この話の続きですが、劉備が挙げた人を曹操はことごとく「非英雄也。」と言って突っぱねます。最後に劉備が「谁能当之?shuí néng dāng zhī(だれが該当しえますか?)」と尋ねると「唯使君与操耳!wéi shĭ jūn yŭ cāo ěr(ただ貴公と私だけである!)」と答えます。

劉備は、曹操が自分をそれほどまでに恐れているということを知り、驚いて思わず箸を落としてしまいます。たまたまその時雷鳴が鳴り響いたので、雷鳴に驚いて箸を落としたことにしました。雷を怖がっているらしい劉備の姿を見て、曹操は思わず警戒心を解くのでした。

曹操がこの時警戒を解かないで劉備を殺しておけば、その後の歴史は大きく変わったことでしょうね。

●慢

諸葛孔明は有名ですから、三国志を読んだことがなくても名前くらいは聞いたことがあると思います。しかし「庞统páng tŏng」という人はあまりご存知ないのではないでしょうか。

この人も孔明と同じくらいの優秀な人です。すぐ亡くなってしまうので、あまり活躍しないのがとても残念です。

彼が劉備の元に来ると、劉備は彼を見かけで判断し、適当に地方の役人というポストにつけますが、彼は日がな一日酒を飲んで仕事をしません。見かねた劉備は義弟の張飛を遣わします。酒びたりの彼を見て張飛は非常に怒るのですが、孫乾という文官が張飛の怒りを納めるようにこう言います。

三将军,且慢!

sān jiāng jūn, qiě màn !

張飛将軍、しばらくお待ちを!

「三将军」というのは張飛のことです。「且」というのは「しばらく」という意味です。

残った「慢」ですが、現代語では「ゆっくりである」「(スピードが)遅い」というような意味ですね。基本的には形容詞なのですが、ここではあたかも動詞のように使われています。「遅い」→「動作がゆっくりだ」→「動作をゆっくりにする」→「動作をゆっくりにしろ」→「待て」と、こう書くと、「慢」が「待つ」という意味で使われるのも、分かる気がしますよね?

清朝のドラマとかを見ていても、よく偉い人が厳かな感じで「慢!màn !(待て)」と言っています。一言ですが、重みのある一言で、なぜか僕はこの言葉が好きです。いつかどこかで使ってみたいのですが、それこそマルシアさんのデビュー当時の日本語のように思われるかも知れませんね。

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