第121回 ピンイン

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僕は、中国語を教えさせていただく時、ピンインも結構詳しくお教えしています。

そのせいで嫌がる人もいるだろうと思うのですが、中国語は発音が命と言われますし、正しい発音を身につけるためにはしっかりピンインを理解して欲しいと思うのです。

とはいうものの、、、ピンインの綴り方って、難しいですよねぇ。どうしてこうなったのか、と思うようなことがイッパイあります。

例えば、-iouという三重母音がありますよね?

これは、前に子音がつかない場合は you と綴りますが、前に子音がつく場合は o を省略します。つまり:

φ+ iou → you

j + iou → jiu (jiouとは綴らない)

だから、「又yòu」と「就jiù」は、ピンインの綴りを見るとあまり似ていませんが、実は同じ母音なのです。なんだか嫌ですよね(笑)。

あと、母音のüも結構難しいですね。

実際にピンインの綴りとしてüが現れることは非常に少ないのです。 üの前に子音がつかない場合は yu と綴りますし、ü の前に子音がついても「j q x」がついたら ü ではなく u と綴ります。事実上üと綴るのは、前に「n」か「l」がつく時だけなのです。つまり:

φ + ü → yu

n + ü → nü

q + ü → qu

だから、「语yŭ」と「女nǚ」と「取qŭ」は、綴りを見る限りは違う母音のようですが、いずれもüの音なのです。

逆に、「努nŭ」と「语yŭ」は、見かけは同じ母音のようですが、「语」は実は ü の音なので、別の母音なのです。困ったものですね(笑)。

とまぁ、こういう例は「不胜枚举bú shèng méi jŭ(枚挙にいとまがない)」で、こんな話をし始めたら、正に「没完没了méi wán měi liăo(果てしがない)」です。

ある会社の専務さんの個人レッスンをしていた時のこと、やはり伊藤はノリノリでピンインの話をしていたのですが、その生徒さんがすごく不思議そうな顔して、こんな質問をしてくださったことがあります。

「先生、ピンインっていうのは、中国語の発音を表記するための、発音記号なのですよね?」

そのとおりです、とお答えすると、、、

「だったら、なぜ、表記上のお約束がたくさんあるのですか?発音記号である以上、発音する全ての音を表記すべきでしょう?なのにどうして『子音がついたらoを省略する』みたいなことが起こるのですか?」

最初、僕は、この生徒さんが何を悩んでいるのか、さっぱり分かりませんでした。生徒さんとしばらく話をして、ようやく気がついたのです。英語の発音記号は、普段使わないような不思議な記号を使って発音を表しますが、その記号さえ知っていればすぐ読めるような完全な「発音記号」ですし、前に子音がつくかどうかで母音の表記方法が変わったりは絶対にしません。

ところがピンインは、たくさん「表記上のお約束」があるわけですから、この専務さんは「ピンインとはなんぞや?」と思ったのでしょう。

実は、どうやらピンインは、漢字に次ぐ中国語の表記方法として開発されたものなのだそうです。つまり、漢字の発音を表記するだけではなく、中国語の正式な文字として使えるように、開発されたものなのだそうです。

たとえば、ベトナムは、元々漢字を使ってベトナム語を表記していたらしいのですが、今はすっかり漢字を捨て、全てアルファベットで表記しているそうですね。中国も同じようにしよう、という考えがあったようなのです。それで、ピンインだけでちゃんと綴れるように、あまり複雑な表記をする音節が無いように、等々という配慮が働いて、あのような「表記上のお約束」がたくさん出来てしまったのではないかと思います。

ピンインは、今やすっかり定着してしまったので、今さら綴り方を変更するのは混乱の元です。パソコンでの入力もピンインの綴り方を使っているので、今さら変更されると僕も困ります(笑)。

でも、正に入門しようというこの最初期でこんなにも複雑な綴り方を覚えなければならないというのは、どうにも理不尽ではありますね。

まぁ、みんな乗り越えてきた道なので、頑張って覚えてもらうより他ないですねぇ。

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