第169回 漢字の話

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ご存知のとおり、漢字は、大雑把に言うと3種類あると考えていいかと思います。

  • 繁体字台湾や香港、韓国で使われる字体。画数が多くて複雑な形。
  • 日本の漢字日本で使われる漢字の字体。繁体字より画数が少なくて覚えやすくなっている。
  • 簡体字中華人民共和国で使われる字体。画数がかなり抑えられている。

というわけで、単純に言うと、画数の多い順に並べると、

繁体字≧日本の漢字≧簡体字
例:豐>豊>丰
例:開=開>开
例:國>国=国
例:本=本=本

という順番になるのですが、どの漢字もこの式に合致するかというと、そうでもありません。繁体字が最も画数が多いのは変わりませんが、中には日本の漢字のほうが簡体字より画数が少ない場合もあります。例えば:

「圧」(日本の漢字体)

この字は、繁体字だと「壓」となり、非常に画数が多いですね。日本の漢字体だと上記のようになるわけですが、この字の簡体字形は次のようになります。

「压」(簡体字)

違いが分かりますか?右下部分に「、」がついていますね。つまり、日本の漢字より画数が1つ多いのです。

こういう漢字が出てくると、生徒さんから「簡体字なんていっても、この字は日本の漢字体よりも画数が多いじゃないですか。」なんて詰られることがあるのですが、その批判は当たりません。

というのは、簡体字は日本の漢字体を元に作られたわけではないからです。

つまり、繁体字を元に、日本では日本の漢字体が作られ、中華人民共和国では簡体字が作られたわけです。

どうしても、簡体字の方が画数が少ない場合が多いので、日本の漢字を元にしてさらに略してあると思いがちですが、日本の漢字と簡体字とは、それぞれ別々に発生し、それぞれ別々に育ってきたのです。ですから例えば:

「対」(日本の漢字体)

この字の簡体字は「对」ですね。

ついつい我々日本人は、「対」の字の左半分の「文」の部分から、上の点を取り除いたのだと考えてしまいますが、そうではないのです。

繁体字は「對」という形です。つまり、「對」という字体から、日本では「対」というふうに略し、簡体字では「对」と略したわけです。

「伝」という字はどうでしょう。

この字の簡体字は「传」です。

変な形をしていますよね。日本の漢字体「伝」よりも複雑です。で、実はこの簡体字の右半分は、「専門」の「専」という字の簡体字「专」と同じ形をしています。

これも繁体字を見れば合点がいきます。繁体字は「傳」。つまり「にんべん」に「専門」の「専」の繁体字「專」がくっついているのです。

つまり、「傳」という字を、日本では「伝」と略したのに対し、中華人民共和国では「にんべん」+「専という字の簡体字形(专)」(すなわち「传」)というふうに略したのですね。

同じことが「転」という字でも起こっています。この字の繁体字は「轉」、簡体字は「转」です。

我々はどうしても、日本の漢字体を基本として簡体字を見てしまうので、「はて?」と思うこともあると思いますが、繁体字が基本となっているということ、日本の漢字と簡体字は別々に成立していることを頭に入れておけば、納得できることも多いと思います。

皆さんは簡体字を見ていて不思議に思ったことありませんか?何かあったら僕にも教えてくださいね。

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