第108回 唐詩

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皆さんも高校生の頃、漢文を習いましたでしょう?

僕は、以前も書きましたが、漢文が大の苦手でした。共通一次でも漢文部分の正答率は50%しかなく、こんなので中国語学科に行ってもいいのか?と自分に突っ込みを入れるくらいでした(笑)。

しかし、中国語を習う中でいくつか漢詩を覚えさせられたり、古い文献を読んだりしたので、簡単な漢文なら読んで分かるようになってきました。今なら高校時代の漢文のテキストを読んでも楽しめるかもしれません(今さら遅いですけど)。

さて、我々が漢文と呼ぶものは、中国では普通「古汉语gŭ hàn yŭ」と呼び、我々が漢詩と呼ぶものは、中国では普通「唐诗táng shī」と呼んでいるようです。

「唐诗」と呼ぶのはなぜかと言うと、色々ある韻文の形式の内、唐の時代に流行し発展した形式だからだそうです。ですから、別に唐の時代に作られた詩でなくても、形式が「唐诗」風であれば「唐诗」と呼ぶのですね。

僕も専門ではないので、詳しいことは全然分かりませんが、いくつか「唐诗」を暗唱する中で、その魅力が少しは分かってきました。味わい方を一緒に探ってみましょう~。

日本の人がみんな大好き(?)なこの唐詩、ご存知ですよね?

春晓 chūn xiăo

孟浩然 mèng hào rán

春眠不觉晓 chūn mián bù jué xiăo

处处闻啼鸟 chù chù wén tí niăo

夜来风雨声 yè lái fēng yŭ shēng

花落知多少 huā luò zhī duō shăo

高校の漢詩の授業で習った『春暁』です。漢詩は「起承転結」がわかりやすくて面白いですねぇ。この詩も、

第1句「春眠不觉晓」から第2句「处处闻啼鸟」へと春の朝の話が進みますが、

第3句「夜来风雨声」では春の朝とは関係なさそうな昨夜の雨の話が出て、

第4句「花落知多少」(どのくらい花が落ちてしまっただろうか)で、うまく全体をまとめています。丁度、典型的な4コマ漫画のようですね。

そしてその「起承転結」が発音にも現れています。

押韻というのを、高校時代に習いましたよね?絶句(4行詩)の場合、第1句と第2句と第4句のそれぞれ最後の字が韻を踏みます。

この「春暁」という詩では、

春眠不觉晓 の 「晓xiăo」

处处闻啼鸟 の 「鸟niăo」

夜来风雨声(では押韻してなくて)

花落知多少 の 「少shăo」

以上、3つの句末の漢字の母音部分が同じになっています。

これは、我々が書き下し文で「春眠暁を覚えず、処処啼鳥を聞く…」というようにやっていては絶対に感じられない「音の芸術」ですね。そして、第3句で押韻しないのは、ここが「起承転結」の「転」にあたるからです。
聞いている人は、意味的にも音的にも「え?」とか「お?」というように、意外な感じを受けるのです。もしくは、「第3句ではまだ話が終わらない、次の第4句を聞いてくれ」という気持ちの表れでもあります。

つまり、ここで押韻しないことは、感情の起伏の頂点を表してもいるのです。実際、唐詩の朗読を聞いていると、第3句が最も盛り上がり、非常にドラマティックです。書き下し文で味わうのも面白いですが、中国語の発音で聞くと、唐詩が「音の芸術」であることが体感できます。

では、もう1つ。詩仙(诗仙shī xiān)と呼ばれた李白(李白lĭ bái)の詩を味わってみましょう。

静夜思 jìng yè sī

李白 lĭ bái

床前明月光 chuáng qián míng yuè guāng

疑是地上霜 yí shì dì shàng shuāng

举头望明月 jŭ tóu wàng míng yuè

低头思故乡 dī tóu sī gù xiāng

僕の高校の国語のテキストにも出てきていましたが、皆さんは覚えていますか?

ある静かな夜に寝台の前に月の光が差し込むのを見て、まるで地上に降りた霜かと思った(それくらい明るかった)。頭を上げてみると、そこには明るい月が見えた。月を見ていると、ふと故郷のことが思い出されて、知らず知らずの内に頭がうなだれ、望郷の念に浸るのである。

この詩の場合も、第1句末「光guāng」、第2句末「霜shuāng」と押韻が続き、第3句では押韻しないでクライマックスを迎え、最後に「乡xiāng」という音で全体を締めくくっています。

このように、漢詩は音でも楽しめる芸術です。中国語を始めたら、ぜひ中国語の発音で漢詩を味わいたいですね。漢詩を集めたCD付きの書籍もありますし、NHK教育テレビでも早朝に「漢詩紀行」という番組があり、映像とともに漢詩を味わえます(副音声で中国語による朗読も味わえます)ので、興味のある人は見てみてください。

漢詩なんて必要ないと思う人もいるでしょうが、漢詩の朗読は発音練習の格好の教材ですし、いくつか覚えておくと、中国人の出席している宴会などで披露すれば拍手喝采間違いなしですので、宴会芸としても役に立ちます(笑)。そういう意味でもオススメですよ。

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