第107回 レッドクリフ見ました?

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伊藤は『三国志(三国演义sān guó yăn yì)』が好きで中国語の世界に迷い込みました。

三国志が好きな人は意外と多いですね。企業で中国語を教えていても、三国志の人物名を使った例文を使うと、反応する人が結構います。ですから、このメルマガの読者の皆さんの中にも、三国志が好きだという人がきっといることと思います。

映画『レッドクリフ』、ご覧になりましたか?

これは三国志の映画ですね。三国志の中のクライマックスとも言える「赤壁の戦い」を描いた映画なのですが、パート1とパート2に分かれていて、肝心の「赤壁の戦い」はパート2の方で描かれます。でもパート1から見所満載で、結構長い映画なのに全然飽きませんでした。パート2は個人的には気に入りませんでしたが(笑)、とてもおもしろい映画だったと思うので、機会があれば皆さんもDVDなどでご覧ください。

さて、今日は三国志関連の成語をご紹介しますね。「ああ、今回はネタが無かったんだな」とは思わないでください(無かったんですけど…苦笑)。

周瑜関連の言葉

『レッドクリフ』の中でトニー・レオン(梁朝偉)が演じていた周瑜(周瑜zhōu yú)という人、皆さんはご存知でしょうか。
呉の武将です。蜀の諸葛孔明(诸葛孔明zhū gě kŏng míng)のライバル的存在です。紅顔の美少年ということでも有名で、「美周郎měi zhōu láng」とも呼ばれていました。
トニー・レオンはどちらかというとワイルドなタイプのように思うので、周瑜役をするにはちょっとイメージがずれている気がしましたが、髭を生やしていなかったのは「美周郎」ということを意識していたのかもしれませんね。

さて、この周瑜がらみの成語がありますのでご紹介します。

「周郎顾曲zhōu láng gù qŭ」
音楽や芝居に精通していることを言います。

周瑜は武人でしたが、音楽や芝居といった文化面に対する造詣も深かったと言われています。これが玄人はだしで、ほんの少しの音の狂いも聞き逃さなかったと言います。『レッドクリフ』でも金城武演じる諸葛孔明と琴を弾くことで会話する(?)というような場面がありますが、こういうこともありえないではないなと思わせます。

まぁ、でも専門家でもないのにそこまで音楽にうるさく音感がいいと、ちょっと専門家はたまったもんじゃありませんね(笑)。

劉備関連の言葉「髀肉之嘆」

劉備(刘备liú bèi)は、歴史で学ぶと「蜀の皇帝」というように言われるのですが、蜀の皇帝になるまでにそれはそれは大変な苦労をします。特に諸葛孔明に出会うまでの間は、負け戦続き。孔明に会う直前は、荊州(荆州jīng zhōu)の劉表(刘表liú biăo)のところに身を寄せます。

荊州は当時、豊かで平和な土地だったようで、武将である劉備は何もすることがありません。ある日、ふと自分の太ももに贅肉がついていることに気付きました。そこで思わず劉備はため息をついてしまうわけです。

「以前は毎日のように馬に乗って走り回っていたからこんなところに贅肉がつく暇もなかったのに、今は何もすることがなく、太ももに贅肉がついてしまった…」

これが世に言う「髀肉之嘆(ひにくのたん)」です。

中国語ではこう言います。

「髀肉复生bì ròu fù shēng」
安楽な生活に甘んじ、することが何も無いさまを言います。

「髀肉复生」を日本語に直訳すると「モモの肉がまた生じた」というような意味になります。日本語では「髀肉之嘆」(モモの肉の嘆き)というような意味です。やはり日本語は結論をぼやかして名詞で終わるのがすき、中国語は動詞的なのですね。面白い違いです。

曹操の息子、曹植

曹植(曹植cáo zhí)は詩人として有名ですが、実は曹操(曹操cáo cāo)の息子でもあります。曹操の三男なのですが、非常に才能があったため曹操の跡継ぎを狙うようになります。それを恐れたのが長男の曹丕(曹丕cáo pī)です。
なんとか曹植を殺してしまおうと思うのですが、母親に「兄弟で争うのはやめなさい」とたしなめられます。そこで、曹丕は曹植に無理難題を言って、できなければそれを罪に問うて殺してしまおうと思うのです。

その無理難題というのが、七歩歩く間に詩を一首吟じよ、というものです。しかも、「兄弟」をテーマにし、しかも「兄弟」という言葉を使ってはならぬ、と申し付けます。

そこで曹植が吟じた詩がこれです。

・七步诗
qī bù shī

・煮豆燃豆萁
zhŭ dòu rán dòu qí
(豆を煮て豆の箕を燃く)

・豆在釜中泣
dòu zài fŭ zhōng qì
(豆は釜中にあって泣く)

・本是同根生
běn shì tóng gēn shēng
(もと是同根より生ず)

・相煎何太急
xiāng jiān hé tài jí
(相煎る何ぞはなはだ急なる)

「豆(曹植)もまめがら(曹丕)も、同じ根から生じた兄弟なのに、どうしてまめがら兄さんは僕を過酷に攻めるのでしょうか?」というような意味です。

これを聞いて、曹丕は思わずホロリとし、許してしまうのです。まぁ実権は剥奪してしまいましたが殺しはしなかったのですね。

この話から、こんな言葉ができました。

「七步之才qī bù zhī cái」
才能があり学識高いこと

「七步成诗qī bù chéng shī」
詩を作る才能がすぐれていること

それにしても、お題を与えられてすぐに、しかも七歩歩く内に、素晴らしい詩を詠んでしまうなんて、すごい才能ですねぇ。

『七步诗』を見ると、押韻がハッキリしていて面白いですね。漢詩の話もいつかしてみたいと思います。

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