第105回 多い 少ない

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今日はまずは少し日本語の話をさせてください。

日本語の数ある形容詞の中でも「多い」と「少ない」はちょっと特殊な存在なのだとか。

例えば、「美しい人がいる」とか「厚い本がある」というのは全くおかしくない普通の日本語ですが、形容詞を「多い」「少ない」に変えてみるとどうなるでしょう。

×多い人がいる
×少ない本がある

いずれもかなり違和感がありますよね?つまり、同じ形容詞といえども「多い」と「少ない」は直接名詞を修飾することができないのです。

しかし、「多い」「少ない」という形容詞は述語として使うとしっくりきます。

○人が多い。
○本が少ない。

「多い」と同じような意味の「多くの」というのを使えば「多くの人がいる」というのは言えますね。でも「少ない」の方は他に言い換えられません。

なんだか不思議な形容詞ですね。でも実は面白いことに、日本語だけでなく中国語でも同じようなことが起こるのです。

中国語の形容詞はふつう、名詞を直接修飾することができます。例えば:

・美句子
měi jù zi
美しい文

・厚书
hòu shū
厚い本

しかし、「多」や「少」はそれができないそうです。つまり、

×多句子
×少书

そして形容詞はふつう、「很hěn」や「不bù」をその前に付け加えたら、直接名詞を修飾することはできない(「的」を介在させればできます)のですが、「多」と「少」は「很」や「不」をその前に付け加えれば直接名詞と結びつくことができます。つまり:

×很美句子(「很美的句子(美しい文)」ならOK)

○很多句子
hěn duō jù zi
とても多くの文

×不厚书(「不厚的书(厚くない本)」ならOK)

○不少书
bù shăo shū
少なからぬ本(多くの本)

日本語だけでも不思議なのに、中国語でも似たような現象があるというのは、非常に不思議で興味深いです。

ただ、実は日本語にはちょっと面白い言語現象があって、次の文は成立するのですね。

○多い日も安心。(笑)

「多い」は直接名詞を修飾することができないはずなのですが、この場合は成立しています。これは、中国語にはおそらく無い現象ですね。

この日本語は「(〜が)多い日も安心」ということで、「何が多いのか」を省略しているわけです。なんとなく言いにくいから省略しているのです。

この場合は「多い」が直接「日」を修飾しているわけではなく「〜が多い」というフレーズが「日」を修飾しているわけです。だから成立するのです。

「多い」とか「少ない」というのはよく使う形容詞ですが、実は特殊な存在です。しかも、日本語と中国語で同じようなことが起こっているというのが非常に不思議で興味深いです。

他の言語ではどうなのでしょうね。興味は尽きません。

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