第103回 百聞は一見に如かず

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先日、授業で比較の表現について生徒さんにお教えしていました。

普通の比較は、「比bĭ」を使う文型ですから、皆さんもご存知ですよね?

我比他高。
wŏ bĭ tā gāo
私は彼より背が高い。

で、この比較の文の否定は、日本で売られているテキスト類にはたいていこのように書いてあります。

我没有他高。
wŏ méi yŏu tā gāo
私は彼ほど背が高くない。

しかし、昨日の授業で使ったテキスト(北京語言大学出版社)には、比較の文の否定は3つ方法があるように書いてありました。上の「没有」を使う表現の他に以下の2つの方法です。

我不比他高。
wŏ bù bĭ tā gāo
私は彼ほど背が高くない。

我不如他高。
wŏ bù rú tā gāo
私は彼ほど背が高くない。

この、3つ目の「不如」という表現、なるほど、確かにこうやって見ると比較の否定の表現と同じ意味になりますね〜。今までそういう意識でこの文を見たことが無かったもので、このテキストを見て軽く感動しました(笑)。

この文では最後に「高」というような形容詞がついていますが、「不如」の文はこの「高」のような形容詞等が無くても文として成立します。つまり:

・我不如他。
wŏ bù rú tā
私は彼にかなわない。

この表現、つまり「A不如B」という表現、AとBを比べて「どちらかのほうがいい」と言う表現ですが、AとBのどちらの方が評価が上なんだっけ?と、いつも一瞬迷ってしまっていました。皆さんはどうですか?

これは、Bの方が上なのです。「不如」の後に入っているモノの方が上だと話者は考えているのですね。つまり大雑把に書くと、こんなイメージです。

A不如B
A < B

ですからこんな有名な表現も、意味がすぐ分かりますね〜。

・百闻不如一见。
băi wén bù bú yí jiàn
百聞は一見に如かず。

というより、この表現を1つ覚えておけば、「不如」の前と後ろのどちらが上なのかを思い出すことができますよね。僕はいつもこのことわざを思い出して意味を確認していました。まどろっこしいですけどね(笑)。

ただ、僕が大学1年生の頃にテキストに出てきた表現で、どうも意味がとりにくかったものがあります。皆さんはどうでしょうか。

…,过着牛马不如的生活。
guò zhe niú mă bù rú de shēng huó

これ、地主に捕らえられて奴隷のように働かされている農村出身の女の子の話(白毛女)です。文脈から言うと、「牛馬にも劣る生活を過ごしていた」という感じでしょうか。

でも、「不如」の前に「牛马」が来ています。ということは、牛馬の方が下だということになりはしないか?ということは、まだ女の子の方がマシってこと?だとすると女の子の生活の苦しさを強調する表現にならないではないか、というふうに、色々考え込んでしまって意味がよく分かりませんでした。

でもこれは、要するに、「悲惨さ」という意味では牛馬より女の子の方が上だ(悲惨だ)ということなのですね。

つまり、上か下かというのは、一般的な価値観に基づいた評価ではなく、その時の比較の基準における「上か下か」なのです。

なんだか話がかえってややこしくなりましたかね(笑)。

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