第99回 マクドナルドの秘密(大げさ)

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別にマクドナルドの回し者ではありません(笑)。

え〜、漢字の音の話をしたいと思います。

漢字はご存知のとおり中国で生まれた文字です。で、その音は、昔からず〜っと同じ音が保たれているわけではありません。時代と共に変化して現在に到っています。

何語でもそうですが、中国語の発音の変遷も結構激しいです。例えば古い中国語には「-m」で終わる音節と「-n」で終わる音節があったのですが、現代語では全て「-n」で終わる音節になってしまっています。

しかし、古い発音は周辺の地域に残っていたりするもので、広東語なんかには「-m」で終わる音節が保たれています。韓国語の漢字音にもありますね。そしてなんと日本語の漢字音にも、その名残が少し残っているのですよ。

例えば数字の「三」は、現代中国語では「sān」、日本語でも「サン(san)」、どちらも「-n」で終わる音節になってしまっていますが、この単語(日本語)はどう読みますか?

三位一体

これ、「サンイイッタイ」とか「サンニイッタイ」と読む人はいません。「サンミイッタイ」と読みますよね?

「三(サン)」と「位(イ)」がくっついて、どうして「サンミ」と読むのでしょう。ローマ字で書いてみると:

san+i⇒san mi

この「m」はどこから出てきたのでしょう。不思議ですよね?

これは、もともと数字の「三」が「sam」というような発音だった名残なのです。「三位一体」という言葉に限って、いまだに「m」の音が残っているのですねぇ。

さて、同じように現代中国語では消えてしまった音があります。「-p」「-t」「-k」で終わる音節です。

こういうのを入声(にっしょう)と言います。

現代中国語ではすっかり消えてしまいましたが、広東語などの方言や、韓国語にはかなり濃厚に残っていて、日本語の漢字音(歴史的仮名遣い)にも名残があります。例えば:

十…現代中国語では「shí」、広東語では「sap6」、日本語では「じふ」

結…現代中国語では「jié」、広東語では「git3」、日本語では「けつ」

一…現代中国語では「yī」、広東語では「yat1」、日本語では「いち」

落…現代中国語では「luò」、広東語では「lok6」、日本語では「らく」

的…現代中国語では「dí等」、広東語では「dik1」、日本語では「てき」

つまり

「-p」で終わる音を持つ漢字は、日本語では「〜ふ」で終わる。

「-t」で終わる音を持つ漢字は、日本語では「〜つ」「〜ち」で終わる。

「-k」で終わる音を持つ漢字は、日本語では「〜く」「〜き」で終わる。

つまり、ある漢字が入声音なのかどうかは、現代中国語を話す中国人には分からないのですが、我々日本人にはすぐ分かるのです。漢字の本場ではわからなくなっているのに、我々のような周辺国ではわかるなんて、面白い現象ですね〜。

さて、このように、現代中国語と広東語ではすっかり音が違ってしまっているので、音訳の外来語の漢字の選び方も必然的に変わって来ます。広東語を話す香港経由で入ってくる音訳外来語には、この入声音をたくみに利用しているものも少なくありません。例えば:

タクシー: 的士広東語発音 dik1 si6現代中国語発音 di2 shi4

お分かりでしょうか?タクシーの「ク」の音を意識して、広東語では「的」という字を当てたのです。今ではこの「的士」という単語は中国全土で通じるようになったので、この単語をご存知の方も多いでしょうが、この字の選択にはちゃんと意味があったのですね。

そして、お待ちかね(?)のマクドナルド。マクドナルドって中国語で何というか覚えていますか?

・麦当劳mài dāng láo

でも、「MacDonald」との発音と似ているようで似ていません。これは広東語ではこんなふうに発音します。

・麥當勞mak6 dong1 lo4(「マッ(ク)ドンロー」という感じ)

英語の発音とかなり似ている感じがします(少なくとも現代中国語で「マイダンラオ」と発音するよりは英語に近い)。それに、何と言っても「Mac」の「c」の音がちゃんと意識されているのがすごいな〜と思うのです。

入声の知識があると、今まで不思議だなと思っていた音訳外来語の謎が解けることもあります。日本の漢字音が分かれば入声かどうか分かるので、皆さんもちょっと色々探してみてください。

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