第83回 簡体字って

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皆さんもご存知の通り、中華人民共和国では「簡体字」という漢字が使われています。少しでも漢字を覚える負担を軽減しようということで作られた、簡略化された漢字です。

負担軽減が目的ですから、元の形よりも画数が少なくなっているわけですが、「これこそ簡単にしてよ〜」と思えるような複雑な字もあれば、原形をとどめていないような思い切った簡略化(?)もあり、眺めているだけでも結構面白いです。

今日はちょっと漢字について見てみましょう。

全く違うもの

パスポートって中国語でなんと言いましたっけ?

「护照 hù zhào」ですよね?

この「护」という字は、日本では見ませんね。なんという字の簡体字なのでしょうか。

そう、「護」という字です。

しかし、これはちょっとビックリですよね。部首まで変わっています。「護」は「ごんべん」ですが、「护」は「手へん」です。部首が消えている例なら、まぁあるのですが、すっかり違う部首を使っている例はそんなにないと思います。これは、なぜなのでしょうか???

これは、全く違う字を再構成したのだそうです。

つまり、「護」という字は「守る」というような意味です。守る、と言えば、手で防御するようなイメージがありますよね?どうやらそのイメージで、「手へん」を使い、元々の「hù」という音を表すために「户hù」という字を合わせて、「护」という簡体字が生み出したのだそうです。つまり、新しい「形声文字」(意味を表す部分と音を表す部分を組み合わせた漢字)と言えますね。

このパターンは、他に「驚」という字があります。この字の簡体字はご存知でしょうか?


jīng

つまり、驚くというのは心の動きですから、心を表す「りっしんべん」を用い、「驚」という字はjīngと読むので、同音の「京jīng」という字を組み合わせて作った字なのです。なかなか思い切ったことをしますよね〜、中国も(笑)。

更に、新たに作った「会意文字」もあります。会意文字というのは、2つの漢字を組み合わせて作った字のことです。たとえば「人+言⇒信」というようなものを会意文字と言います。

たとえば「竈(かまど)」という字。ヒッジョーに複雑ですよね(笑)。中国ではどんな字になっているかご存知ですか?


zào

竈(かまど)と言えば、地面に作ってあるイメージがありますし、そこで火を起こして煮炊きをするわけですよね。その2つのもの(土と火)を組み合わせて作った字なのです。火(huŏ)も土(tŭ)もzàoという音とは全く関係ありませんから、上で述べた形声文字ではありません。つまり、新しい会意文字といえます。

日本の常用漢字と少しだけ違うもの

我々にとって一番やっかいなのがこのパターンだと思います。日本の常用漢字とそっくりなものは、その違いに気付かない可能性があります。実際、僕も、中国語を始めて20年になりますが、いまだに「ええ?こうなっていたのか?」と思う発見があります。

たとえば「鼻」という字。簡体字では「鼻」です。ほとんど同じに見えますよね。

でも実は、下の部分が少し違います。日本の漢字では「廾」となっていますが、中国の簡体字では「丌」となっています。突き抜けているかどうかだけの違いですし、結構複雑な字なのでなかなか気付きませんでした(苦笑)。

また、「決」という字は、日本では「さんずい」ですが、中国語では「にすい」です(簡体字は「决」)。

「博」という字の右上の部分は、中国語では「甫」となっています(「博」)。「圧」という字は右下辺りに「玉」という字のように「、」を打ちます(「压」)。もう枚挙に暇がありませんね。

「鼻」や「決」はまぁいいですが、「博」や「圧」は日本の常用漢字に比べると書きにくくなったり画数が増えたりしますよね。それを指してよく生徒さんから「『簡体字』と言いながら、どうして書きにくくなったり画数が増えたりするのですか?」と文句を言われることがあるのですが(笑)、別に中国語の簡体字は日本の常用漢字を略して作ったわけではなく、別々に発展(退化?…笑)してきた結果です。

たまたま日本の方が簡単になっている字があるだけなので、不満に思わないでくださいね(笑)。

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