第81回 道草

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最近出版される語学系のテキスト類、学校で使われる英語の教材も含めて、「実用的な表現」ということが非常に重視されているように思います。

昔から日本の英語の教科書は、実用性がないということで有名でしたよね(笑)。その典型的な例として、

This is a pen.

というのがあります。

確かに、ペンを前にして「これはペンです」という人は滅多にいないでしょうねぇ(苦笑)。

しかし、文法を少しずつ基礎から固めていきたい時、こういう使えない表現が少しくらい混じってしまうのは、まぁ別にいいんじゃないだろうか、というのが僕の最近の考え方です。

以前にも書きましたように、僕は学習塾の先生をやっていたことがあるのですが、最近の中学1年の英語の教科書(学校で使われているもの)を見ると、「This is a pen.」的な表現から入るわけではないようですね。

いきなり簡単な会話文だったりしているようです。当然be動詞の文から入るのかと思っていた伊藤はビックリ。会話文ですから疑問文も出てくるわけで、中学生達は、be動詞の文の疑問文の作り方と一般動詞の疑問文の作り方をいっしょくたに覚えていかねばならないようでした。

お陰で、僕が見ていた生徒の中にはすっかり混乱している子もいて、「Do you play the piano ?(あなたはピアノを弾きますか?)」と言いたいところを「Play you the piano ?」のように言ったりして、ちょっと可哀相にも思いました。

使えない表現ばっかり並んでいるのもどうかと思いますが、実用性ばかり追求するのもどうかなと思いますね。バランスが難しいですねぇ。

さて、前置きが長くてすみません。僕も時々本を出版させていただいていますが、ある本の原稿を書いている時に、コラムの原稿が1つボツになりました。

何を書いていたかというと、動物の鳴き声を中国語でどう表すか、という内容でした。

こういうのって僕は結構好きで、このメルマガでもご紹介したことがありましたよね?

犬とか、猫とか、羊とかを出して、最後にニワトリを出し、ニワトリは日本語とも英語とも違って面白いですね、というような締めくくりにしたのですが、、、

ニワトリ以外は日本語とあまり変わらないし、これを知っていても会話で何か役に立つとは思えない、という理由でボツです。

う〜む。確かに、これを知っていても会話に役に立つわけではありませんがね、でもこういう「語学の王道の脇に生えている道草」を食うことが、語学の楽しみでもあると、僕は思うのです。

語学を勉強するのって大変じゃないですか。でも、時々どうでもいいような発見があったりして、そういうのが面白いから続けられると思うのです。それを取り上げられて使える表現、実用的なフレーズばっかり教え込まれても、飽きちゃうと思うのです。

それに、動物の鳴き声が、ニワトリ以外は日本語と変わらないというけれど、実はほとんどすべて第1声で読まれるとか、口へんの漢字が多いとか、色々面白い発見もあるのですよね。

<例>
犬:汪汪wāng wāng
猫:喵喵miāo miāo
羊:咩咩miē miē
… 等々

そう思って、面白いと思って書いたのに、ボツになってちょっと憤慨しました(笑)。

僕がよく授業で使うテキストには「シルクのシャツ」という単語が出てきます。

丝绸衬衫
sī chóu chèn shān

これは、確かにビジネスでは滅多に使わない単語でしょうね。よく生徒さんにも「おそらく一生使いませんよ〜」と言われます。僕も笑って「ですよね〜」と言いますが、この単語は発音練習にはとてもいいですね。声調も子音も母音も気をつけるべきことが満載で、発音練習にはうってつけだと思っています。無駄だと思っていても、何かに役に立っているのです。

語学を勉強する上で、道草はとても重要だと僕は個人的に思っています。飽きっぽい僕が中国語を20年以上続けてこられたのも、道草のお陰なのですから(苦笑)。

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