第79回 濁音

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外国語を勉強してると、世界が広がるような感じを経験することがありますね。皆さんはどうですか?

僕も若い頃はちょっと語学オタクな面がありました。今までにちょっとでもかじったことのある外国語を挙げると、けっこうたくさんあります。英語、ドイツ語、フランス語、アラビア語、チベット語、サンスクリット語、パーリ語、韓国語、そして中国語。
多少ものになったのは中国語だけなので偉そうなことは言えません(アラビア語なんて3ヶ月で諦めたし…笑)。でも、ちょっとかじるだけでも、世界は広いな〜と思えることが必ずあります。

たとえば、アラビア語には母音が3つしかないとか、サンスクリット語には単数形と複数形だけでなく両数形という変化形があるとか、、、

でも、入門段階で驚くことが一番多かったのは、なんと言っても中国語ですかね(笑)。

まず、声調に驚きました。こんなに声調に縛られていて自由に話せるんだろうか、とすごく不思議に思ったものです。

そして日本語や英語には似たものがない母音の e 。この音が安定してできるようになるまでにはかなりの時間を要したように思います。

でも、何より僕を驚かしたのは、有気音と無気音です。

中国語には濁音は無く、息がたくさん出るかあまり出ないかの違いがある、と言われた時は、意味が分かりませんでした(笑)。

今僕は教える立場にあるわけですが、やはり有気音と無気音の話をした時は驚かれます。そして、ある程度有気音や無気音の練習をした後、時々このような質問をされる生徒さんがいらっしゃいます。

「本当に濁音ってないんですか?濁音を使うことってないんですか?中国語を聞いていると、濁音のような音が聞こえることがあるのですが…。」

その疑問は、まことにごもっとも(笑)。

確かに、濁音のように聞こえる音もありますね。特に無気音の音が軽声になっている場合などは、ますます濁音っぽく聞こえる気がします。

おそらく、物理的には、濁音になっている音もあるはずだと思います。何か、濁音か清音かを聞き分けるような機械があったとして、それを通して中国人の発音を聞くと、濁音と判定される音も必ずあると思うのです。

それをなぜ「濁音はない」と言うかというと、中国人がそれを濁音と思って発音していないからです。

なんのこっちゃと思われるかもしれませんから、分かりやすく日本語の例を出してみますね。

皆さん「トマト」と発音してみてください。何も考えず、とりあえず普通に「トマト」と言ってみてください。言いましたか?

「トマト」の最初の「ト」と最後の「ト」、同じ音でしょうか。

確かにどちらも「ト」と表記するわけですから、同じ音と思いますよね?我々日本人は、同じ音だと思って発音しています。

でも、物理的には同じ音ではないのです。

最初の「ト」は、ちょっと息が鋭く出ていますよね?微妙ですが。

最後の「ト」は、息がほとんど出ていないと思います。どうですか?口を手に当てて発音してみると分かりやすいと思います。

つまり、最初の「ト」は中国語風に言うと有気音で、最後の「ト」は無気音なのです。

でも、我々はそれを「有気音だ」とか「無気音で発音しなきゃ」と思っているわけではなく、勝手にそうなるわけです。それに、実際我々は同じ音だと思って発音していますよね?

それと丁度反対のことが中国語でも起こっています。たとえば:

这是我的书。
zhè shì wŏ de shū
これは私の本です。

この中の「的」という字は、ほとんど濁音で言っているような気がします(はっきりゆっくり発音すると、無気音で発音されますが、普段は濁音のように聞こえる気がします)。

しかし、それは中国人の意識的な濁音ではないのです。

面白いですね〜。我々日本人も有気音や無気音を無意識に出しているし、中国人も濁音を無意識に出しているのですね。日本語に有気音や無気音があることは、中国語を勉強しなければ気がつかなかったと思います。

やっぱり外国語をやるのは、楽しいですね〜。

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