第61回 反語

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「反語」と言えば、古文の授業を思い出しますね。「〜〜だろうか?いや、〜〜でない」と、半ば不自然な日本語に訳すよう強制された覚えがあります(笑)。

これほど強い反語でなくても、我々の一般会話の中に軽い反語的表現はたくさんでてきますね。これを反語と言っていいのかどうか知りませんが、形は反語的のように感じます。つまり:

「彼は日本人じゃないか!」

この表現、形は否定文の疑問文ですが、言いたいことは「彼が日本人であること」、つまり肯定内容を言いたいのです。古文の翻訳風に訳すと「彼は日本人ではないのか?いや、日本人だ」という感じですね。

同じような表現が中国語にもあって、結構多用されます。

他不是日本人吗!

tā bú shì rì běn rén ma
彼は日本人じゃないか!

否定文の疑問文という意味で、日本語と全く同じですよね。とても面白いです。こういうのって本当にたくさん出てきます。他にも見てみましょう。

这不是很可笑吗?

zhè bú shì hěn kě xiào ma
これってとても可笑しくないですか?

我不是说你一定喜欢吗?

wŏ bú shì shuō nĭ yí dìng xĭ huan ma
君がきっと気に入るって言ったでしょう?

気をつけたいのは、中国語では、文の最初の方に「不是」と言われてしまうので、耳で聞いていると否定文のように思ってしまいがちだということです。「不是」と聞いた時点で「あ、否定文だ」と思わないように気をつけたいですね。慣れないうちは難しいですが。

可不是吗!

kě bú shì ma
全くその通り!

これはよく相槌を打つのに使われています。時々省略されて、

  • 可不是!
  • 可不!

と言われることもあります。

この「可不是吗」に限らず、最後の「吗」はよく省略されるので注意が必要ですね。「吗」が省略されると、ただの否定文みたいになってしまいますから。ですから、慣れないうちは文脈をよく把握しておくことが必要です。

さて、同じようなことを言いたい時に使われる助詞がありましたが、覚えていますか?

そう、「嘛 ma」です。日本で発行されているテキスト類にはあまり出てこないのですが口語では多用されています。

この「不是〜吗」は、「〜嘛」と非常によく似ているように感じます。たとえば冒頭の例文「彼は日本人じゃないか!」というのは「嘛」を使って言うとこのようになりますね。

他是日本人嘛!

tā shì rì běn rén ma
彼は日本人じゃないか!

ピンインだけ見ると「他是日本人吗?」(彼は日本人ですか?)というのと全く同じですね。でも意味は大違いです。maの発音のニュアンスも少し違います。

  • 他是日本人嘛!……maは押さえつけるような感じで低めに発音する。
  • 他是日本人吗?……maはフワッと浮き上がるような感じで高めに発音する。

面白いのは、時々中国人でも混乱するようで、「不是〜」と文の前半で言っているくせに最後を「嘛」の方のmaで締めくくって書かれていることがあります(笑)。これは、「〜嘛」が「不是〜吗」の意味とほぼ同じであることを示していると思います。

きっともともとは同じものだったのでしょうけど、いつしか文前半の否定形を省略するようなことが起こって、そのような否定形のない状態の文ではmaを「嘛」という字で書くようになったのだろうなぁと想像しています。

こういう変遷を想像するのって楽しいと思うのは、僕だけでしょうかね(変人…笑)。

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