第57回 書き間違い

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

皆さんもよく漢字を書き間違えたりしますよね?

僕は以前、学習塾の先生をしていて、国語も教えたことがあります。漢字テストをすると、面白い間違いがよくありました。たとえば「いそがしい」を漢字で書かせると、かなり多くの生徒(小学生)が「急がしい」と書くのです。
「いそぐ」と混同してしまうのですね。意味も似ているし、確かに紛らわしいです。

それから「ひょうか」。これは実は僕自身が長いこと「評可」と書いていました(苦笑)。本当は「評価」ですよね。
これは中国語の「评价píng jià」という言葉を覚えてから、日本語でも間違わなくなりました。「価」と「可」は日本語ではいずれも「カ」と読みますが中国語では違う音だからです。(「价」はjià、「可」はkě)

書き間違いはたいてい同音字を当ててしまうことや、形の似た漢字を当ててしまうことで起こります。皆さんも、きっと誰でも1度や2度は絶対に経験があることと思います。そして我々はそれを回避するために(?)、記憶が曖昧な場合はひらがなやカタカナを使って急場をしのぐのですが、中国語にはそういう便利な表音文字がありません。

ですから、中国人の手書きの文書を見ると、結構書き間違いがあったりするものです。これがまた、結構面白い(失礼…苦笑)ので、ちょっとご紹介しましょう。

「导样」?

ある手書きの文書の中にこんな表現が出てきました。

那一种导样的眼神…

nà yì zhŏng dăo yàng de yăn shén
一種の「导样」な目つき…

この「导样」という単語が分からなくて困りました。色々調べてみたのですが意味が通りません。嫌になって(笑)その日は寝てしまい、次の日に見てみると、ピ〜ンときました。

そうか、書き間違いなんだ!と。

ここは、おそらく「异样(異様)」と書きたかったのだと思います。「異様」と読めば意味が通ります。「一種異様な目つき」という意味だったのです。

日本語の漢字だと「異」と「導」では音も似てないし字の形も違いますが、この手書き文書は当然ながら全て簡体字で書かれていました。この2つの字の簡体字、非常に似ています。

  • 「異」の簡体字は「异」。
  • 「導」の簡体字は「导」。

上半分が同じなのです。書き間違えても不思議はありませんね。

こういうこともあるので、手書き文書は頭のさえている時に読まなければダメですねぇ(笑)。

「兴福」?

とある中国の小学生からの手紙を読んでいたところ、「兴福(興福)」という言葉が出てきました。

こんな字を見ると、真っ先に思いつくのが「興福寺」です。奈良の有名なお寺です。でも、相手は中国の田舎に住む小学生。興福寺のことを知っているはずもなく、また文脈(忘れましたが)から考えても興福寺が出てくるような場面ではありません。

これも随分考えたのですがその日は分からず、まぁいいわい、と思ってそのまま放置していたのですが、後日再び読み返したときに音読してみて、ハッと気付きました。

「兴」という字はxīngもしくはxìngと読みますよね?「兴福」はxīng fúもしくはxìng fúと読むことになりますよね?

シンフー、シンフー、シンフー……あ!「幸福xìng fú」!

音読するとすぐ分かったのに、僕も馬鹿ですよねぇ。「興」の簡体字「兴」はとても画数が少ないので、小学生にとってはそちらの方が書きやすかったのでしょうね。

-nと-ng

先日まで行われていた仙台国際音楽コンクールのピアノ部門では、中国人が何人かエントリーしていたのですが、このコンクールの公式プログラム等には名前がカタカナとアルファベットでしか書いてありません。中国人たちの名前はどんな漢字を書くのか知りたかったので事務局に問い合わせて教えてもらいました。そしてその中に「刘飞玲」(仮名)という人がいました。

彼女は今回の中国人の審査員の先生と親しいという話だったのですが、先生が彼女の名前を「刘飞琳」とメモしていました。

それを見て僕はビックリです。だって、「玲」はlíngで、「琳」はlínでしょう?中国人は「n」と「ng」を全く違う音として聴いていると思っていたのに!

やはり、中国人であっても「n」と「ng」は混同しがちなのでしょうか。そういえば友達の中国人から「この字は-n?それとも-ng?」と尋ねられたことがありましたっけ(笑)。

僕にとって、これはちょっとした発見です。

中国語翻訳のお問い合わせはインターブックスにどうぞ

それぞれの国の事情を理解したネイティブ翻訳者が翻訳を担当いたします。
台湾語をはじめ北京語、広東語、上海語などの方言や簡体字、繁体字などにも対応しています。
電話番号 03-5212-4652
お問合せはこちら

関連する記事