第49回 インド出身

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以前書いたことがありますが、僕の実家はお寺です。一時期、インド哲学を専攻していたこともあったりします(笑)。

インド哲学の知識は、今現在は直接役に立ってはいないのですが、ちょっとした時に「なるほどねー」と思えることがあります。例えば、オウム真理教の事件が世を賑わしていた時、様々な聞きなれない言葉が飛び出しましたが、サンスクリット語やパーリ語の知識のある我々には非常に興味深かったのです。

第7サティアンとか言っていた「サティアン」という言葉はsatya-という言葉の単数・主格の形で、「真理」というような意味です。サリンのことを「サッチャン」と呼んでいたということですが、これはsatya-のパーリ語形sacca-のことでしょうね。世の人々は「サリンだからサッチャンと愛称で呼んでいた」と思っていたでしょうけど。(そうかもしれませんが…笑)

もっとあります。幹部の人たちのホーリーネームは非常にすごい。某Jさんは、たしかマイトレーヤ正大師とかなんとか言ったと思いますが、マイトレーヤ(maitreya)というのは弥勒菩薩のことです。クシティガルバという人もいましたよね。クシティガルバ(kshitigarbha)とは地蔵菩薩(いわゆるお地蔵さん)のことです。恐れ多くもすごい名前をつけたものです。

え〜、今日は別にこんなことを話すつもりではないので、これくらいにして、本題に入ります(笑)。

日本語に入っている言葉の中には多くの漢語(中国からの外来語)があることはご存知の通りですが、中にはインド起源の言葉もあります。多くは仏教の言葉ですが、それ以外もあります。これが、中国語の知識とサンスクリット語等の知識があれば、なるほどねーと思うこともありますので、今日はその辺りを攻めてみたいと思います(笑)。

地藏

dì zàng
先ほど書いたように、地蔵はサンスクリットではクシティガルバと言います。このサンスクリット語の単語は複合語でして、「クシティ(kshiti)」と「ガルバ(garbha)」に分かれます。「クシティ」とは大地のような意味、「ガルバ」とは胎のことです。つまり「クシティガルバ」とは「大地をその胎に持つ者」という意味なのですね。それを中国では意訳して「地藏」と言ったのです。よく考えていますねぇ。


女性のお坊さんのことを「尼」とか「尼僧」とか言いますが、この「尼」という字は一体何なのでしょうか(笑)。

この字はこれ以外にはほとんど使われませんね。中国語ではníと読みますが、この字で思い出す単語というと、

「尼泊尔ní bó ěr(ネパール)」くらいです。

実は女性のお坊さんのことをパーリ語ではビックニー(bhikkhunii)と言いますが、中国語に訳されたときに「比丘尼」(bĭ qiū níビクニ)という字が当てられました。男性の場合は「比丘」というので(パーリ語:bhikkhuビク)、「尼」に「女性の僧侶」の意味を当てたのだと思われます。考えてみればものすごく大胆な省略の仕方ですね。しかし効率的な省略方法ではあります。


日本では「仏」という字を使いますが、簡体字では「佛」という字を使います。簡体字の方が画数が多いですね。

これは「ほとけさま」のことを指す字ですね。サンスクリット語ではブッダ(buddha)という単語でして、動詞budhの過去分詞形です。英語みたいで面白いでしょう?(笑)

budhとは「覚醒させる」というような意味ですから過去分詞形だと「覚醒させられた〜」という意味。つまり「悟った者」ということです。そのbuddhaという単語を音訳したものが「佛陀fó tuó」です。現代中国語は音がすっかり変わってしまっていますから似ていませんね。むしろ日本語の漢字音のほうが原語に似ています(笑)。

狮子

shī zi
日本語でも「獅子(しし)」と言いますからご存知ですよね?ライオンのことです。

考えてみればライオンなんて中国にはいないわけでして、元から「狮子」という単語があるはずはないのですよね。外来語のはずです。でもつい最近まで「狮子」が外来語だと思っていませんでした。なんてバカなんでしょう(笑)。

でも「ライオン」という英語と「狮子」という言葉は似ても似つかない。少なくとも英語から入った外来語ではありません。ではどこから?

実はこれもインド起源の言葉なのです。

サンスクリット語ではライオンのことをシンハ(sinha)と言います。その「si-」の部分を取り上げて「狮」という字を当てたのでしょうね。

余談ですが、シンガポールの「シンガ」の部分は元々「sinha」だったようです。だから、シンガポールには「マーライオン」がいますね?

jīng
お経というと、お坊さんがムニャムニャ読んでるもの、というイメージがあるでしょうが、この「お経」という言葉はどうして「お経」というか、考えたことがあるでしょうか。経典といえば、非常に大事な教えの書いてあるもの、という程度の意味でしょうけど、どうして「経」という字が当てられるのか。不思議ですよね。

実は、サンスクリット語ではお経のことをスートラ(suutra)と言います。スートラとは織物の縦糸のことです。

縦糸は織物の基礎ですね。これがあって初めて横糸を通すことができるのですから。

仏教にとっての教義は、織物にとっての縦糸のようなものだということで、お経のことをスートラというようになったのです。

そして実は、「経」という字は元々「縦糸」という意味なのです。つまり、スートラを「経」と訳したのは、意訳なのです。面白いですねぇ。

インド起源の言葉って他にも結構あります。またネタのない時にご紹介します(笑)。

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