第48回 フォーカスを絞る

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以前、塾で英語等の先生をやっていたのですが、中学生くらいになると本当に生意気になってきますね(笑)。勉強したくないので色々と屁理屈を並べたりするのです。

一番多いのは、「英語の勉強はなんのためにするのか」という質問ですね。

でも、確かに面と向かって聞かれると困ってしまう質問ではあります。だって英語なんか出来なくても日本で生きていく以上は全然困りませんものね。いくら世界がボーダレス化してきていると言っても、大人になって英語をバリバリ使っている人って、僕の周りではそんなに多くないです。

では、何のために我々は中学生になると全員強制的に(?)英語を勉強させられるのでしょうね。

僕は、日本をよりよく知るためだと思っています。

1つのものを知りたい時、そのもの自体を観察・研究することも必要ですが、何か別のものと比較することも絶対に必要です。別のものを知ってから、改めて元のものを見直すと、なるほど!と思うことが必ず見えてきます。

私たちも、母国や母語のことをよりよく知るためには、必ず別の国や別の言語を少しは知る必要があるのではないでしょうか。何語でもいいのです。そしてその言語や文化を通して母国の言語や文化を振り返ると、更に愛着が増してくるのではないでしょうか。

と、屁理屈をこねる中学生にはこんな風に諭していましたが、たいていは納得してくれませんでした(笑)。

さて、皆さんの多くは、英語と中国語の勉強の経験があるのだろうと思いますが、ただ漫然と勉強するのではなく、日本語との相違点や共通点を確認しながら勉強すると、面白いと思いますよ。

たとえば、僕がとても面白いなと思うのが住所の書き方です。

日本語や中国語では、国-都道府県や省名-都市名…という風に、大きなくくりから小さく限定していく方法で住所を書きますが、英語等の西洋語では反対に番地からだんだん範囲を広くしていきます。

このことを知った時、僕は本当にびっくりしました。そんな書き方をして、わかるのだろうかと。だって、実際に住所を頼りに誰かの家を探す時、我々は当然ながら、広い範囲からだんだんと場所を特定していきますよね。
大阪からイケフクロウという待ち合わせ場所に行くのであれば、まずイケフクロウが東京にあることを考えて東京にいき、東京の池袋にあることを考えて池袋まで移動し、池袋駅の北口改札近くにあることを考えて北口改札から出て…

という風に、広い範囲からフォーカスを絞っていくではありませんか。だったら、英語でもそういうふうに住所を書けばいいのに(笑)。

ま、英語のことはさておき(笑)、広い範囲から段々フォーカスを絞っていくという捉え方、日本語と中国語の面白いところにも現れています。

主述述語文ってご存知でしょうか。述語部分が「主語+述語」の形になっているようなもので、結果的には主語が2つあるように見える文です。たとえば:

大象鼻子很长。

dà xiàng bí zi hěn cháng
象は鼻が長い。

構造上は、主語が「大象」、述語が「鼻子很长」で、その述語部分も「主語(鼻子)+述語(很长)」という構造になっているわけです。こういう文を「主述述語文」といいますが、要するに日本語でいうと「AはBが〜〜〜」という文に相当します。

構造上はともかく、話す場合の意識としては、主語が2つある感じだと思います。そしてこの2つある主語の語順が、まさに「広い範囲からフォーカスを絞る」語順なのです。
上の例文で言いますと、まず最初に「大象」という主語を置くことで、「これから象の話をしますよ」ということを示します。

次に「鼻子」という主語を置くことで、「象の話といっても象そのものの話をするのではなく、象の鼻の話をしますよ」ということを示すのです。

象というものから、更にフォーカスを絞って、鼻にスポットを当てている感じ、お分かりいただけましたでしょうか。1つ目の主語が大枠を表し、2つ目の主語は更に話題を絞っているのです。

他の例も見てみましょうか。

我弟弟身体不好。

wŏ dì di shēn tĭ bù hăo
私の弟は体がよくない。

この文では、「私の弟」の話題をまず提示しています。そして次に、「私の弟」の「体」について話すことを表明するわけです。つまり、「私の弟」から「私の弟の体」にフォーカスを絞っているのです。

日本語の場合は「は」と「が」で区別することができますが、中国語は語順で表すしか方法がないのです。中国語って語順が本当に大切なのですね。

汉语词序很重要!

hàn yŭ cí xù hěn zhòng yào
中国語は語順が重要だ

これでもう主述述語文も怖くないですね。え?元から怖くない?これは大変失礼を申しました(笑)。

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