第29回 逆輸入

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日本は外来語が大好きですよね。カタカナ語にあふれています。カタカナ語は便利ですが、覚えるのが大変です。

よく、「そんなわけの分からないカタカナ語を使わなくても、日本には古来から使っている言葉がいっぱいあるのに」というようなことを言う人がいます。

僕もそれは多少賛成です。女性の整髪剤の広告で「これを使うとコウムのすべりがいいの」などと書いてありましたが、「コウム」とは何だろう、と一瞬考えてしまいました。

多分、英語のcombですよね?確かに「コウム」のように読む単語ですが、なんでわざわざ英語を使うのでしょうかね。「櫛」でいいじゃないですか(苦笑)。

ただ、日本語は昔から外来語が大好きだったようです。我々が普通に使っている漢字語の多くは、中国から輸入された単語です。つまり、外来語なのです。

たとえば上に述べた「賛成」も中国語から入った言葉です。「輸入」もそうですね。日本と中国で意味・用法がずれてしまっている単語もありますが、本当にたくさんあります。

しかし、すべて中国から日本に輸入されたわけではありません。中には日本人が漢字を組み合わせて作った単語が中国に輸入されて広まっている例もあります。たとえば、「哲学」「抽象」「政治」「理論」「健康」「社会」等。

こういった単語はすっかり中国語の中に根を張っており、もう外来語という感覚すらない単語だと思いますが、もっと最近逆輸入された単語があり、少しずつ定着してきています。今日はそんな単語を見ていきましょうか。

日本料理

普通、「料理」といえば中国語では「菜cài」と言いますね。だから、日本料理だったら「日本菜rì běn cài」と言いますが、最近はよく「日本料理rì běn liào lĭ」と書かれた看板を見たり、実際に耳にすることがあります。

もともと「料理liào lĭ」とは「処理する」といったような意味の動詞。日本語で言う「料理」の意味なんて全くなかったのですよ(但し台湾では早くから、日本語で言う「料理」の意味で使われていました)。

ですから日本料理と言いたければ必ず「日本菜」といわなければなりませんでした。ところが最近はそのまんま「日本料理」といえば、すっかり通じるようになりました。これは我々にとってはラッキーですね(笑)。

研修

中国から人を呼んで、日本の工場や企業等で仕事上の技術を学んでもらうこと、よく「研修」と日本では言っていますよね。

以前は「进修jìn xiū」と言わないと通じなかったものですが、最近はそのまま「研修yán xiū」といえば通じるようになりました。それだけ、中国人研修生を受け入れて研修を行っている会社等が多いということなのでしょうね。

空港

空港のこと、中国語で何と言いますか?

そう、普通は「机场jī chăng」と言いますよね?ところが、最近「空港kōng găng」という言い方が出来てきたようです。

まだ「空の港」というようなニュアンスで使っているようです。少し文学的と言いますか、おしゃれなイメージといいますか…。

ですから、普通に言う場合は「机场」と言わねばならないのですが、今後は「空港kōnggăng」という言い方が定着するかもしれません。そうなって欲しいですね(笑)。

写真

写真のこと、中国語では何と言いますか?

そう、普通は「照相zhào xiàng」とか「照片zhào piàn」でしょうね。ところが、最近は「写真xiě zhēn」という言い方が現れたようです。

まぁ、漢字の意味を考えると、「空港」も「写真」も、イメージがわきやすくてなかなかよろしいかと思います。中国人に受け入れられるのも無理からぬことかもしれません。

我々としては、日本語がそのまま使えるのは大歓迎ですよね?単語を覚える手間が省けるので(笑)。

〜〜屋

僕が北京に留学していた頃、北京大学の構内に「北大书屋」という本屋さんがありました。
今でもあるのでしょうか…(笑)。

この「书屋shū wū」という言葉、あまり中国語らしくないと思いませんか?

「〜〜屋」って、日本語っぽいですよねぇ。

日本では「本屋」と言いますが、このまま「běn wū」と言っても多分中国人には全く通じませんよね。ですから「本」の意味を表す単語「书shū」を使って、その後ろに日本風の「〜〜屋」というのをくっつけたのでしょう。

僕が留学していたのは20年近く前の話ですが、最近は「〜〜屋」という言い方が他にも見えてきました。先日ある空港で「咖啡屋kā fēi wū」と書いてある喫茶店を見ました。普通、喫茶店は「咖啡厅kā fēi tīng」と言いますから、ちょっと驚きました。また、ヘアサロンのことを「发屋fà wū」と言ったりもしますね。まだそんなに多くはないように思いますが、確実に増えています。今後もドンドン増えていくのではないでしょうか。

長く中国語・中国語翻訳をやっていると、ほんの少しですがこういった「変遷」が見えてきて面白いです。今後はどんな風になっていくのでしょうね。

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