第27回 歌うときの発音って?

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実は、伊藤はあまり中国語の歌を知りません(笑)。

歌が嫌いなわけではないのです。むしろ歌は大好きで、合唱団にも参加していますし、カラオケも日本語の歌なら大好きです。要するに、単なる食わず嫌いというか、中国の歌を知らないだけなのですね。

そんな僕が歌のことを書くのも申し訳ないのですが(苦笑)、たまには歌のことも書いてみましょう。

歌うときは声調がほとんど無視されますよね。メロディラインをある程度イントネーションに合わせて作曲されてはいるようですが(全楽曲を確かめたわけではないですが、その傾向にはあるようですね)、第何声なのかを正確に判定することはできないと思います。

ですから、子音や母音の発音がかなり大切。特に有気音の息の音がきれいに聞こえると、僕なんかはしびれます(笑)。

さて、中国の歌を聞いていて、あれっと思うことがありませんか?普段の発音と違うな〜と思うこと、ありませんか?

「他的书」という時の「的」、普通はdeと読みますが、歌の中では普通diと歌っていますよね?

「到了!」という時の「了」、普通はleと読みますが、歌の中では普通liaoと歌っていますよね?

これって面白い現象ですよね。

「的」は、助詞としてではなく、もっと実体のある意味で使われる場合は「dī」「dí」「dì」と読まれます。たとえば、タクシーに乗ることを「打的dă dīまたはdă dí」と言いますし、「目的」は「mù dì」と読みます。

つまり、この字は本来的には「dì」等と読むのですが、助詞として使われる場合は軽く読まれるために、発音も曖昧になり、いつしか「de」と読まれるようになったのでしょう。

しかし、歌として歌うときは、「的」という音節にも音符が1つ与えられるので、ちゃんとした本来の発音が戻るのでしょうね。軽く読む「de」という発音をたとえ八分音符程度の長さであっても伸ばすのは、少し抵抗がありますからね。

「了」も同じです。本来この字は「liăo」と読みます。可能補語の文を思い出すと分かりますよね。

买不了

măi bu liăo
買いきれない

この場合、「了」には「終わる、終える」という実体的な意味があります。しかし、完了の助詞「了」は、助詞ですし、あまり実体的な意味はありません。だから、軽く読まれ、徐々に発音も曖昧になり、「le」となったのでしょうね。

しかし、「的」のときと同じ理由で、歌のときは本来の発音が戻るのでしょう。

たとえば僕の大好きな中華人民共和国国歌ですが(笑)、こんな歌詞があります。

中华民族到了最危险的时候

翻訳

これ、普通に読むと、こうなりますよね。

zhōng huá mín zú dào le zuì wēi xiăn de shí hou

歌だとこうなります。

zhōng huá mín zú dào liao zuì wēi xiăn di shí hou

ところが、最近の若い歌手の歌う歌を聞くとちょっと変わってきているようです。「的」はdiでなくde、「了」はliaoではなくleと歌うのですね。会話の発音でそのまま歌っているわけです。皆さんはお気づきでしょうか。

僕も古い人間のようでして、これには大きな違和感を覚えます。まぁ、言葉は変化していくものですから、別に構わないのですが、助詞として使う「的」や「了」は、会話ではすごく短く軽く発音されますから、音符に乗せるとすごく歌いにくいと思うのです。意味を伝えようとすると、軽く短く歌いたいのに音符がそれを許してくれない。だから、こういうのはやっぱり「di / liao」と歌うべきだと思うのです。

しかし、現代の若い歌手たちは、より意味をはっきり伝えるためには普段使っている発音で歌うのが一番よい、と思っているのでしょう。それも一理あります。

皆さんはどう思われますか?どちらが正解というわけではありませんが。

今後はde / le に流れていくだろうことは容易に想像がつきますが、古い歌は今までどおり di / liao と歌って欲しいなと思う今日この頃です。

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