第24回 雨が降ってきた

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日本では夏にお盆という行事がありますね。東京等一部の地域では7月にお盆をするそうですが、日本全国で見ると8月にお盆をする地域の方が多いようです。

お盆は「盂蘭盆」の略です。「うらぼん」と読みます。これ、もとはインドの言葉で、中国に入ってから漢字が当てられたのです。それが日本に入って、最後の漢字「盆」だけが残って「お盆」と言われるようになったようです。

ですから中国人にお盆の説明をする場合は「盆pén」と言ったところで当然通じません(笑)。ちゃんと「盂兰盆节yú lán pén jié」と言いましょう。

…まぁ、ちゃんと「盂兰盆节」と言っても通じないでしょうから、細かく説明してあげなければなりませんけどね。

ところで、実は伊藤の実家はお寺です。お盆の時期は、それはそれは忙しく、大変です。檀家さんのおうちを訪問してお経をあげるので、要するに「外回り」なのですが、そうなると夕立が降ると本当に困るのです。ですから、お盆の時期、我が家では天気の話で持ちきりです(笑)。

さて、「雨が降ってきた」は普通どう言いましたっけ。

下雨了。

xià yŭ le

語順を確認してみると、日本語と違うのが分かりますでしょうか。

下 雨了
降ってきた 雨が

つまり、日本語では「雨」は主語の位置に入るのに対し、中国語では「下」という動詞の目的語の位置に入るのです。

おそらく、ちょっと不思議な語順に感じるのではないでしょうか。

実は、以前にもお話しましたが、これは「存現文」です。存在・出現・消失を表す文のことです。ちょっと復習しておきますと、「場所」+「(存在・出現・消失を表す)動詞」+「(存在・出現・消失する)モノ」という語順をとるのでした。そしてこの文型を使う場合、「(存在・出現・消失する)モノ」は、不定のもの(話者たちがそれまで話題にしていなかったもの)でなければなりません。

さてところで、先日僕の生徒さんに「下雨了」という表現をお教えしたところ、案の定(?)質問されました。どうして「雨」が文頭に出ないのかと。

さぁ、伊藤先生の出番です(笑)。でも相手はまだ初心者。あまりややこしいことは言わないで、「中国語では、不定のものは動詞の後ろに行く傾向があるんですよ」というようなことを簡単に説明しました。

するとこの生徒さん、面白い質問をしてきました。

「では、たとえば、先に雨の話題が出ていて、その雨はいついつに降り出した、というような場合はどうなりますか?」

なるほど。そう言う場合なら、雨は不定ではないわけです。ということは、「雨」は「下」よりも前に出るはずですが、果たして本当にそのようになっているのでしょうか。

その場では僕も自信がなかったので、帰宅後調べてみることにしました。僕は実際に見たこと、聞いたことのある表現しか信じる気がしません。ネイティブスピーカーではない自分の中国語の語感を過信してはいけませんし、いい加減なことを生徒さんに教えるわけにもいきませんので調べてからお教えしようと思ったのです。

その結果、こんな表現がインターネットで見つかりました。

今天突然下起了暴雨。(中略)在菜市场买菜的时候,雨突然下起来。
Jīn tiān tū rán xià qi le bào yŭ。
(中略)
Zài cài shì chăng măi cài de shí hou, yŭ tū rán xià qi lai

翻訳

今日突然暴雨が降ってきた。(中略)野菜市場で野菜を買っている時、(その)雨は突然降り出した。

この文では、まず暴雨の話を出し、その時の様子を更に詳しく言いなおしている感じなのでしょうね。つまり、1回目の「暴雨」の話は、聞き手にとっては初めて聞く話題ですから、「暴雨」が動詞「下」よりも後に入っています。一方2回目に「雨」の話をするとき、その「雨」はすでに「不定のもの」ではなくなっています。だから「雨」が動詞「下」より前に置かれるのです。

こういう語順を英語やフランス語等になれた人が見ると、中国語って文法がないんだ、と思ってしまうのでしょうね。でもそうではありません。中国語には中国語の文法の世界があるのです。そこのところ、皆さんは分かってくださいね(笑)。

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