第22回 劉さん?

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もう少し方言の話をします(笑)。

北京话

方言というと、どうしても南方の話が中心になりますが、実は北京方言もかなり激しいものがあります。

「え?北京に方言なんてあるの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、日本でいえば標準語に対する江戸弁という感じで、中国にも「普通话pŭ tōng huà」に対して「北京话běi jīng huà」というものがあります。

北京话と普通话は、似て非なるものとでも言いますか。結構聞き取りにくいのです。

北京话の最大の特徴は、r化音です。

北京は寒いからでしょうか、みんなあまり口を開かないのです。口の中で器用に舌を回して話すものですから、すぐ舌が奥に丸まって、結果的にr化音が多用されるのです。

r化についてはご存知ですね?たとえば、「遊ぶ」という動詞は「玩wán」でもいいですが、たいていは「玩儿wánr」と読みます。「しばらく」という単語は「一会yí huì」でも間違いではありませんが、普通は「一会儿yí huìr」と読みます。このように、音節の最後にrの音が付加されることを「r化」というのです。

標準語を勉強している限り、このr化音はそんなに出てきませんし、南方では使わないようなので、別にやらなくたって間違いではありません。しかし、北京ではほとんどすべての音節の最後がr化しているのではないか、と思うくらい、激しくr化音を使用しています。

たとえば、普通地名にはr化音はつけないという風に言われていますが、北京ではそんなことはありません(笑)。僕の留学していた北京師範大学の近くに「小西天xiăo xī tiān」という地名がありますが、ほとんどすべての人がこう言っていました。

小西天儿xiăo xī tiānr

更に、音節の最後がr化するだけでなく、音節の最初の音もrに近くなる場合もあったりします。

たとえば、北京動物園の近くに「白石桥bái shí qiáo」という地名があります。これもたいていは真ん中の音節「石」がいい加減に発音され、こんな感じになります。

白石桥bái rī qiáo

以前のメルマガで、三音節語だと真ん中の音節がいい加減に発音される傾向があるという話を書きましたが、「白石桥」でも同じことが起こって、「石」がいい加減に発音され、shでちゃんと息を出さずにrのような音になってしまうのでしょう。

更に、「不知道bù zhī dào」(知らない)はほとんどこんな発音になっているように聞こえます。

不知道bù rī lào(?)

ここまでくると、もう標準音とはかけ離れていますよね。北京の人より、地方の人の話す普通话のほうが、聞き取りやすいかもしれませんよ(笑)。

nとl

「なにぬねの」と「らりるれろ」って全然違う音というイメージだと思いますけど、世界には「なにぬねの」と「らりるれろ」を区別できない人々がいます。中国の南方もその傾向があります。

たとえば有名な広東語(广东话guăng dōng huà)では、「あなた」というのを「nei5」といいますが、「lei5」のように発音する人もいるようです。

僕たちからすれば、どうして区別できないのか不思議ですが、よく考えると舌先の当たる位置は似ていますから(いずれも上の前歯の裏か少し上辺り)、そう不思議なことでもないのかもしれませんね。日本人が英語のrとlの区別ができないのに比べると、まだましな方でさえあるかもしれません。笑。

さて、こういう地域の中国人が普通话を話すと、やはり困ることが起こります。牛のレバーのことを「牛肝niú gān」と言いますが、僕が最近お世話申し上げている重慶人たちは、「liú gān」と発音するのです!

「liú」と聞くと、僕の頭の中では「劉」という字が出てきてしまって、
刘干(?)来了没有?
liú gān lái le méi yŏu

と聞かれて、僕はてっきり「劉干という人は来たか?」と聞かれていると思い込んでしまい、思わず「谁?shuí」と尋ねてしまいました。だって、関係者に「劉」という人は一人もいなかったのですから。

実は彼らは、

牛肝来了没有?
niú gān lái le méi yŏu
牛のレバーは来たか?

と尋ねていたのですね。

今日もいっぱい重慶風の普通话を聞いてきました。重慶風の普通话がうつってしまいそうで怖い今日この頃です(笑)。

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