第12回 褒め殺されないように

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お正月には必ずかくし芸大会のような番組がテレビで放映されていますよね。

僕は小さい時これが大好きで、よく見ていました。大抵、英語劇のようなものもあり、結構めちゃくちゃで面白かった覚えがあります。

確か、大学生の頃だったと思いますが、中国語劇もやっていたことがあります。当時、すでに中国語を習っていた伊藤祥雄は、楽しみに見ていたのですが、あまりにも発音がひどく、笑うに笑えませんでした。

芸能人たちがどこまで真剣に中国語劇をやっていたかは分りませんが、確かに中国語の発音は難しいですよね。英語の発音も、ネイティブ並みになろうと思うと大変でしょうが、「通じればいい」レベルにまでなるのは比較的容易だと思います。ところが、中国語はそうはいかない。だから、あのような笑えない中国語劇が出来てしまうのでしょう。

もう1つ理由があると思います。それは、恐らく発音指導をしていたのが中国人であったこと。中国人は我々外国人がちょっと中国語を話すと、大袈裟なほど褒めてくれますよね。これに騙されてはいけません(笑)。

今回は、日本人の陥りやすい発音の癖をあげて、自戒を込めて対策を考えてみます。初心に戻って、お互い自分の発音を反省してみましょう。

大地の子

山崎豊子原作のNHKドラマ「大地の子」は中国残留日本人孤児を扱ったドラマでした。ご覧になった方も多いかと思います。ご覧になっていない方は、是非ご覧ください。中国語もふんだんに聞けますし、中国理解にとても役立つ資料だと思います。

さて、このドラマの主人公やその周辺人物は日本人でも結構台詞に中国語が出てきますね。皆さん本当に健闘されていました。素晴らしいです。本心から尊敬します。

ただ、当然ながら時々「?」と思う発音もないではありません。一番印象深かったのは、「e」の母音です。

例えば「和」(hé 「〜と」)という言葉。「大地の子」の中では、よく「ハー」と読まれていました。この「e」の母音は日本人にとっては厄介ですね。「エ」ではない。よくテキストなどに振ってある読み仮名では「オー」と書いてあったりするがそうでもない。「ウー」に一番近いようにも思うけど「ウー」でもない。コマリモノです。

僕がいつも講師として説明するときは、こう言っています。

「口の力を抜いて、だらしなく半開きにしてください。そのまま何か母音を発してください。その時の声が e の母音です。」

つまり、だらしないだれた音だということですね(笑)。研究してみてください。

劇団四季

実は僕はミュージカルが大好きで、時々見に行きます。最近四季にも中国人が結構入っていて大活躍していますね。言葉の壁を越えて、本当に頑張っているなと思います。

2005年8月25日、台風の中(笑)ミュージカル「李香蘭」を見に行ってきました。ご存知のとおり、これは、日本人でありながら「日本語のできる中国人歌手」として日本軍の宣伝に使われた女性の物語です。舞台のほとんどは中国。

で、この中で歌う曲の内、1〜2曲は中国語で歌われました。有名な「夜来香yè lái xiāng」の後半と、抗日の気持ちを歌ったという「松花江上sōng huā jiāng shang」という曲です。

いやぁ、中国語の発音、よかったです。劇団内には中国人がいますから、きっと中国人から発音指導されたのだと思いますが、大変よかったです。

ただ、気になったのは、「918」。この数字は、メルマガ第3号にも書きましたが満州事変のことを指します。この言葉(数字)が「松花江上」のサビの部分に出てきます。

この「918」(jiŭ yī bā)がどうしても「918」に聞こえません。僕の頭の中でまず変換された文字は、なぜか「去吧」(qù ba)(行け)でした。

理由としては、「j」の子音がちょっと強く歌われていて有気音になりかけていた、ということがあります。僕も合唱をやっていますから分りますが、声楽では子音をはっきり歌わないと聴衆に言葉が伝わらないので、ちょっと強めに発音するように指導されるのですね。その影響が出ちゃっていまして、無気音「j」が有気音「q」のように聞こえたというわけです。

その後、中国のテレビで同じ歌曲を聴く機会がありましたが、さすがにネイティブスピーカーが歌うと、しっかり「918」に聞こえました(笑)。

歌で言葉を伝えるのは難しいです。ましてノンネイティブは、発音一つ一つをかなりしっかり訓練しないとネイティブに言葉が伝わらないと思います。皆さんも、中国カラオケを気持ちよく歌えるように、しっかり発音をブラッシュアップしましょう。

僕は、中華人民共和国国歌しか歌えませんけどね(苦笑)。

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