第10回 「二」と「两」

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伊藤祥雄、先日ものすごく久しぶりに中国へ行ってきました。中国語を扱う仕事をしていますが、なぜか数年間全く中国へ行く機会がなく、実に数年ぶりに上海と北京を訪れたのですが、あまりの変貌振りにもうただただビックリです。

でも、落ち着いてくると、変わっていない部分も見えてきてホッとしたりしました。例えば、上海の外灘辺りの建物は、見た目にはあまり変わっていないように見えましたし、北京の西単の北のほうの新街口あたりは、店は随分変わっていましたが雰囲気はなぜか全く変わっていなくて懐かしい気がしました。

変わらず愛想がいいのが、中国東方航空のスチュワーデスさん。ニコニコ楽しげに仕事をする人が多いように昔から思っているのですが、たまたま伊藤の運がいいだけでしょうか。

ところで、その東方航空の前身である中国民航の上海発成都行きの飛行機に乗った1988年3月25日(笑)、当時伊藤はほとんど中国語が出来ませんでした。ある優しいスチュワーデスさんが、飲み物のサービスのときに僕と隣の乗客に向かってこういいました。

你们二位要什么?

nĭ men èr wèi yào shén me ?

「そちらのお2人は何を召し上がりますか?」といった意味ですが、当時の伊藤にとってある意味衝撃でした。

何が衝撃かというと、「二位」という表現。

「位」というのは量詞です。人を数えるときに使うのですが、尊敬の意味が入っています。普通人を数えるときは「个」を用いますが、敬語にするときは「位」を使うのですね。

さて、数字の2ですが、普通数量を言うときは「两liăng」を使いますよね?ですから、「2人」というときは「两个人」と言います。他の量詞を使う場合も、「二」ではなく「两」を使います。

ところが、「位」の前で「二」が出ている!これはすご〜い発見!

と、思ったのですね。純真だった当時はそんなことでも嬉しくて(苦笑)。

「二」と「两」とは、使い分けがあります。数字を単独で述べる場合は、「二」ですし、数量を言いたいときは「两」です。順番を言いたいときは「二」のようです。

ややこしいのもいくつかありますね。数字の「十」「百」「千」…等の前に「2」とつけたいとき、「二」と「两」のどちらをつけるか、というと、分かれてしまいます。

「二」をつける:「十shí」「百băi」 「两」をつける:「百」「千qiān」「万wàn」
「亿yì(億のこと)」「万亿wàn yì(兆のこと)」

「200」は「二百èr băi」という人もいるし「两百liăng băi」という人もいます。意味・用法に違いはないようですね。

(余談ですが、「兆」は普通「万亿」と言います。3兆なら「三万亿」です。ただ、最近は「兆zhào」も使われるようになってきました)

このように「二」と「两」にはある程度使い分けがあり、特に量詞の前では普通「两」を用いるのですが、なぜ「位」という量詞の前では「二」も出てくるのでしょうか。「两位 liăng wèi」という表現もありますが、なぜか「二位」という表現も並立しているわけです。

言葉というのは、あまり無駄なものがありません。「二百」と「两百」のように、全く同じ意味・用法の単語が2つ以上並立していることは、あまりないと思います。だから、「二位」と「两位」が並立している以上何か違いがあるのではないかと思い、あれから約18年見つめてきました(笑)。

それで分ったのは、「二位」というのは、人数を言うというより「お二方様!」と呼びかけるようなときに使われているようだな、ということです。先ほど書いたスチュワーデスさんの言葉もそうですよね。

「两位」にも同様の用法があるようなのですが、例えば「几位?jĭ wèi(何名様ですか?)」と問われたとき「2人です!」と答えるならどういうかというと、やはり「两位!」であって「二位!」ではないのですね。

(ちなみに、本来「位」は敬語ですから自分たちの人数を言うのに「两位」と言うのは、少々おかしい表現だと思います。ただ、今回中国のレストラン等で、中国人が「三位!」とか「五位!」と答えているのを何度も聞きました。単に言葉の乱れなのかもしれませんが、そういう人が増えているのは確かだと思います。)

つまり、呼びかけとして「二位」というときは、人数を数えているわけではないので、「两」ではなくて「二」になる、ということのようです。

なるほど。ここまで用法がはっきり違うなら、いっそ全然違うものとして見る方がいいのかもしれませんね。

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