第2回 「十」と「十一」

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僕は北京に留学していましたが、北京は秋がいちばんいい季節といわれています。冬は寒いし、春は黄砂の嵐(沙尘暴shā chén bào)や柳絮(柳絮liŭ xù)が吹き荒れますし、夏は結構な猛暑です。それに比べて秋はほとんど雨も降らないし涼しいし、非常にいい季節です。日本でも「天高く馬肥ゆる秋」と言ったりしますが、中国では秋のよい天候を指して「秋高气爽qiū gāo qì shuăng」と言ったりします。秋の空が「高い」と感じるのは、日本人も中国人も同じなのでしょうね。

さてある人が、「十shí」と「十一shí yī」の区別が微妙で難しいとおっしゃっていました。本当に難しいですよね。実は僕もいまだに「十」と「十一」には苦手意識があります。言い分けるのも聞き取るのも難しいです。

聞き取るときは、状況が許すならば、できるだけ聞きなおして確認するようにしています。「十 一」というように、少し間を空けて、はっきり「十一」に聞こえるようにして尋ねると、確認がとれると思います。

このように、聞き取る場合はこちらから確認することができますが、こちらの言う数字が間違って相手に伝わったら大変です。なんとか、スマートに(大袈裟に「十 一」というのでなく)、正しく相手に伝えたいものです。

「十」と「一」は、ピンインで書くと「shí」と「yī」で、どちらも母音は「-i」なのですが、実は微妙に違うのです。これをうまく区別できれば、聞き間違えられなくなるかもしれません。

中国語には、ピンインで同様に「-i」と書いていても、実際には3種類の音があります。

  1. z- c- s- の後に現れる -i の音
  2. zh- ch- sh- r- の後に現れる-i の音
  3. それら以外

中国語を習い始めて最初に母音を習いますが、その時に出てくる -i の音は、3番の音です。唇を横に引っ張って、口の中を狭くして「イー」と言います。嫌いな人に向かって「いーだ!」というときの「イー」に似ています。

中国語の -i の音は、基本的にはこの3番の音だと思っていていいのですが、明らかに違う音になっているのが1番の音です。

zi ci si これら3つの音の母音は、我々が聞くと「ウー」という音に聞こえます。唇の形は1番の -i の音の時と同じで、唇を横に引っ張り、「イー」ではなく「ウー」と発音します。日本語の「ウ」の音に似ていますが、もっと唇を横に引っ張らないといけませ
ん。

余談ですが、最近の人気映画スター「チャン・ツィイー」は漢字で書くと「章子怡」、ピンインだとzhāng zĭ yíです。「章」を「チャン」と書き、「怡」を「イー」というのはいいのですが、「子」を「ツィ」と書くのはどうしても承服できないです。

これはおそらく中国語の出来ない人がピンインで「zi」と書いてあるのを見て「ツィ」だと思ったのだと思います。しかしそうではありません。むしろ「ツー」と書くほうが、まだ本当の発音に近いです。いつかご本人に会う機会があれば、「日本ではこう呼ばれてる
のですが、ご本人から訂正していただけませんか?」と言ってみたいものです(笑)。

冗談はさて置き、2番の音です。これは、あまり指摘されないのですが、3番の -i の音とは微妙に違うのです。

お気づきかと思いますが、2番で書いたzh- ch- sh- r- は全て「巻き舌音」です。舌先を上に立てて発音します。このように舌が複雑な形(?)をしていますので、いきおい口の中は広くなります。

ところが、3番の -i の音は口の中を狭くして発音します。

ですから、「巻き舌音」の後に3番の -i の音はくっつけられないわけです。

では、2番の -i はどう発音するか、というと、「巻き舌音」を発する時の口の形、舌の形のまま、母音を発してみてください。なにか、こもったような「イ」の音が聞こえてくると思います。これが2番の -i の音なのです。

クリアで平べったい音である3番の -i と、こもったような音である2番の -i の音、かなり音色が違いますから、その違いをしっかり意識して「十」や「十一」を発音すれば、聞き間違えられる可能性は低くなると思いますよ。

さぁ、それでは、手持ちの中国語のCDを聴くか、友達の中国人を捕まえて、1番、2番、3番の音の違いを体感してみてください!

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